東京都の賃貸オフィス市場は2026年9月、平均坪単価24,811円、空室率3.1%を記録し、緩やかながらも着実に回復基調を辿っている。前月比では坪単価が377円上昇し、1.5%の伸びを示した。空室率は前月比で横ばいながらも、市場全体の引き締まり感は増している。
特に注目すべきは、新築ビルの空室率の顕著な改善だ。新築ビル全体では28.2%(前月比-1.3ポイント)、新築大規模ビルでも27.6%(前月比-1.1ポイント)と、大幅な低下を見せた。これは、竣工前のテナント契約が進んだことや、市場の需要が新築物件にも波及してきたことを示唆している。一方で、既存ビルは2.1%、既存大規模ビルは2.0%と、既に低い水準で安定推移しており、新築ビルとの乖離が依然として大きい。
区別に見ると、市場の明暗がより鮮明になる。坪単価の上昇が目立つのは渋谷区で、前月比+1,328円(+4.7%)と大幅に上昇し、29,683円/坪に達した。港区(27,084円/坪)、千代田区(26,723円/坪)と合わせて、都心部の高単価エリアの強さが際立つ。千代田区は坪単価で+747円(+2.9%)の上昇に加え、空室率も-0.3ポイント改善する好調ぶりを見せた。
空室率の改善という点では、品川区と千代田区が共に-0.3ポイントと最も改善幅が大きかった。しかし、大田区では空室率が+0.8ポイントと大きく悪化し、5.1%となった。渋谷区でも+0.3ポイントの上昇が見られ、活発な動きの中での需給バランスの変化がうかがえる。
賃料水準を見ると、200坪超の大型区画は33,959円/坪と、20-30坪帯の20,703円/坪と比較して約13,000円もの開きがある。これは、大型ビルにおける賃料交渉力の差や、テナントニーズの多様性を示唆している。
過去6ヶ月の推移を見ると、坪単価は2026年4月の22,799円から着実に上昇を続け、9月には24,916円となっている。この間、空室率のデータは示されていないものの、賃料の上昇傾向は市場の回復を裏付けている。
最近のニュース動向も、この市場の活況を後押ししている。都心5区の中小規模オフィス市場では、募集平均坪単価が全区で上昇し、特に千代田区では+18.8%と顕著な伸びを示した。新宿、渋谷、中央、港区では空室率が低下し、需給が引き締まっている。これは、割安物件の成約による「入れ替え」が主因と分析されており、テナント側のオフィス見直しや賃料高騰への対応が加速している状況がうかがえる。また、オフィス移転プラットフォーム「cocosy」の新機能公開は、テナントが自ら相場を把握し、迅速な意思決定を支援する動きとも連動している。
総じて、東京都の賃貸オフィス市場は、新築物件の消化が進み、既存ビルも安定した需要に支えられ、全体として堅調な回復基調にあると言える。エリアやビル種別による差は依然として存在するものの、市場全体の引き締まり感は今後も継続していく可能性が高い。