2026年7月の東京都賃貸オフィス市場は、平均坪単価が24,260円と前月比で1.1%上昇し、24,000円台を回復しました。空室率は3.0%と、前月から0.3ポイント悪化し、4,171区画が市場に残る状況です。この空室率の上昇は、主に新築ビルの動向に起因しています。新築ビル全体の空室率は28.7%と、前月から7.9ポイントも急上昇しました。特に新築大規模ビルでは27.6%と、9.2ポイントもの増加が見られ、新規供給が市場に与える影響の大きさを物語っています。
一方、既存ビル群は堅調さを保っています。既存ビル全体の空室率は2.3%と前月から横ばい、既存大規模ビルも2.1%と安定推移しました。これは、需要の根強さと、既存物件へのテナントの定着が進んでいることを示唆しています。大規模ビル全体で見ても空室率は2.9%と、前月比0.3ポイントの上昇に留まっており、既存物件の安定感が市場全体を支えていると言えるでしょう。
過去6ヶ月の推移を見ると、2026年2月以降、坪単価は着実に上昇傾向を辿ってきました。7月時点では24,115円/坪となり、緩やかながらも着実に上昇していることが確認できます。この賃料上昇の背景には、経済活動の活性化に伴うオフィス需要の回復に加え、建築費の高騰による新規供給コストの上昇が影響していると考えられます。
坪数帯別に見ると、市場の二極化が浮き彫りになります。最も単価が高い200坪以上の区画は31,556円/坪に達する一方、最も単価の低い20〜30坪の区画は20,919円/坪にとどまります。その差額は約10,600円/坪に達しており、広大なオフィススペースを求める企業と、限られたスペースで効率を重視する企業との間で、賃料に対するニーズが大きく異なっていることが分かります。
区別の動向に目を向けると、千代田区では坪単価が前月比で4.3%と大幅に上昇し、24,826円/坪となりました。しかし、空室率も2.9ポイント悪化し4.9%と、都心部としてはやや高めの水準となっています。これは、新規供給の増加や大型ビルの退去などが影響した可能性が考えられます。
坪単価の上位を見ると、渋谷区が28,250円/坪でトップを維持し、次いで港区が26,751円/坪、中央区が25,917円/坪と続きます。これらのエリアは、依然として都内オフィス賃料の牽引役となっています。
空室率の改善という点では、台東区が0.4ポイント低下し2.6%となったほか、文京区、港区もそれぞれ0.3ポイント低下し、空室の吸収が進んでいます。一方で、空室率が悪化した区では、前述の千代田区のほか、品川区が0.8ポイント上昇し4.3%となっています。
最近のニュース動向では、2026年第2四半期の東京都心部オフィス市場において、Aクラスビルの賃料が11期連続で上昇し、38,000円/坪台を回復したという報告があります。空室率も0.8%と低水準であり、品薄感が強い状況が続いています。Bクラスビルも上昇傾向、Cクラスビルもコロナ禍前水準を回復しており、全体として賃料上昇と品薄感が顕著です。テナントにとっては、移転コストの増加が課題となるでしょう。また、2026年6月の都心5区では、募集面積ストックが前月比で縮小し、消化が進んでいます。特に千代田区と港区で募集終了面積が募集開始面積を上回り、ストック減少に寄与しました。茅場町・八丁堀・新川エリアでは、日本生命東八重洲ビルやONE SHINKAWAといった大規模ビルの退去がエリア全体の動向を左右したとのことです。CBREのレポートでも、需要が旺盛である一方、空室が不足しており、テナントの賃料目線は上昇傾向にあると分析されています。
こうした中、秋葉原ではサンケイビルが木造✕鉄骨造ハイブリッド構造のオフィスビル「KiGi AKIHABARA」を開業しました。鉄骨使用量を削減しCO2排出量を抑制するだけでなく、木材を構造や空間に活用することで、環境配慮と利用者体験を両立させた新たなオフィス開発の可能性を示しています。三菱地所リアルエステートサービスによる7月発行のレポートでは、都心5区の公示価格は上昇を続け、オフィス賃料も東京主要7区で上昇傾向が継続、特に千代田区で大幅な上昇が記録されたことが示されています。マンション賃料指数も全タイプで上昇し、ファミリータイプの上昇が顕著である一方、建築費指数は最高値圏で推移するも上昇は鈍化しているとのことです。
総じて、東京都の賃貸オフィス市場は、既存ビルの安定した需給バランスと賃料上昇基調が続く一方で、新築ビルへの新規供給が一時的に空室率を押し上げるという、二面性を持った状況と言えます。テナントにとっては、物件選定の難しさが増すとともに、コスト管理がより一層重要になる局面を迎えています。