2026年5月、東京都の賃貸オフィス市場は、平均坪単価23,707円、空室数3,825区画、空室率2.8%を記録しました。前月比では坪単価が56円(+0.2%)上昇し、空室率は0.1ポイント低下するなど、市場全体としては緩やかながらも引き締まりの兆候が見られます。特に注目すべきは、新築ビルにおける空室率の顕著な改善です。新築ビル全体の空室率は22.5%と前月から1.7ポイント、新築大規模ビルに至っては20.4%と1.9ポイントも低下しました。これは、竣工前のテナント誘致が進んだ結果と考えられ、新規供給に対する市場の吸収力の高さを示唆しています。対照的に、既存ビルは2.4%と安定した水準を維持しており、既存大規模ビルも2.2%と、こちらも安定推移しています。
区別の動向を見ると、市況の二極化が鮮明になっています。坪単価の上位3区は渋谷区(28,249円/坪)、港区(25,874円/坪)、中央区(25,628円/坪)が占め、特に渋谷区は前月比で+1.8%と賃料上昇を牽引しました。一方、千代田区は坪単価が-1.6%と下落しましたが、空室率は前月並みを維持しています。新宿区も坪単価は+3.2%と大きく上昇しましたが、これは前月比-0.1ポイントの空室率改善という背景があります。品川区も坪単価+3.1%と賃料が上昇しており、これらのエリアでは企業活動の活発化が賃料に反映されているようです。
空室率の改善という点では、豊島区が-0.4ポイントと最も顕著な改善を見せました。次いで港区が-0.3ポイント、新宿区が-0.1ポイントと、いずれも空室が減少しています。こうした中、文京区は空室率が+0.2ポイントと上昇に転じ、渋谷区も+0.1ポイントと微増しています。文京区の空室率上昇は、直近のニュースでも触れられているように、オフィス環境改善や人材獲得を目的とした移転需要が高まる中で、エリアごとの需給バランスの変化を示唆しているのかもしれません。
坪数帯別に見ると、賃料水準には大きな隔たりがあります。200坪超の大型区画は平均29,950円/坪と最も高く、20〜30坪の小規模区画の20,568円/坪と比較すると、約10,000円近い差があります。この差は、大型ビルにおける高度な設備やブランド力、そしてまとまった執務スペースを求める企業ニーズの強さを物語っています。
最近の市場動向としては、関西エリアでもオフィス空室率の低下と募集賃料の上昇が報告されており、全国的なオフィス市場の回復基調がうかがえます。東京においても、主要7区の潜在空室率は微減傾向にあり、平均募集賃料は上昇圧力が継続しています。企業が賃料高騰と供給枯渇に対応するため、オフィス移転時の面積最適化を進めているという報道もあり、今後の需要動向は注視が必要です。特に、東京都心5区の大規模オフィスビル空室率が1%台前半の低水準を維持し、募集賃料が2008年11月以来の33,000円/坪台を回復したというニュースは、需給逼迫の度合いを示しています。一方で、四半期成約面積が対前年同期比でマイナスとなっている点は、まとまった面積の募集床が限定的で、移転計画の見送りも増加していることを示唆しており、今後の市場の動向を慎重に見極める必要がありそうです。過去5ヶ月の推移を見ると、坪単価は概ね上昇傾向にあり、2026年1月時点の21,960円/坪から5月には22,835円/坪へと着実に上昇しています。この上昇トレンドが今後も続くのか、注目されます。