2026年6月の東京都賃貸オフィス市場は、平均坪単価が23,986円と前月から253円(1.1%)上昇し、市場全体の堅調さを示しました。空室率は2.7%と前月から0.1ポイント低下しており、空室数も3,850区画と減少傾向にあります。この賃料上昇と空室率低下の動きは、企業活動の活発化とオフィススペースへの根強い需要を反映していると言えるでしょう。
特に注目すべきは、新築ビルにおける空室率の顕著な改善です。新築ビル全体の空室率は20.8%と前月から1.7ポイント、新築大規模ビルに至っては18.4%と2.0ポイントも低下しました。これは、近年の新規供給が限定的であることに加え、竣工前のテナント契約が順調に進んでいることを示唆しています。一方で、既存ビルは2.3%と安定した低空室率を維持しており、既存大規模ビルも2.1%と、いずれも前月比で0.1ポイントの低下を見せています。この差は、新築ビルがまだ入居テナントの入れ替わりや稼働率の調整段階にあるのに対し、既存ビルは成熟した市場として安定した需要に支えられている構図を示しています。
区別の動向を見ると、坪単価の上昇が目立つのは港区と中央区です。港区は前月比で545円(2.1%)上昇し26,419円/坪、中央区も532円(2.1%)上昇し26,160円/坪となりました。この両区は、東京都のオフィス賃料を牽引する存在であり、その上昇傾向は市場全体の賃料水準を引き上げる要因となっています。渋谷区も坪単価は28,312円/坪と依然として最高水準を維持し、空室率も1.9%と低位で安定しています。
空室率の改善という点では、江東区が前月比で0.3ポイント低下し4.2%となりました。中央区も0.2ポイント低下、渋谷区も0.1ポイント低下と、主要区での空室率低下が続いています。しかし、台東区では2.9%と前月比0.2ポイント、品川区では3.5%と前月比0.1ポイントと、空室率が上昇に転じたエリアも散見されます。特に品川区は坪単価も4.7%と大きく上昇しており、需給バランスの変化がうかがえます。
坪数帯別に見ると、賃料の幅広さが特徴的です。200坪超の大型区画は30,164円/坪という高値圏にある一方、20〜30坪の小規模区画は21,111円/坪にとどまっています。その差は約9,000円/坪に達しており、大規模なオフィススペースを求める企業と、比較的小規模なスペースで効率化を図る企業との間で、賃料に対する考え方や需要の強さに違いがあることを示しています。
最近のニュース動向も、市場の活況ぶりを裏付けています。7月に開催される「オフィス移転フォーラム2026」では、高騰する東京都心オフィスマーケットの展望や、人が集まるオフィスの作り方といった、テナント企業が直面する課題解決に焦点が当てられています。これは、企業がオフィス戦略を練る上で、現在の市場環境をいかに読み解くかが重要になっていることを示唆しています。また、5月末の東京オフィスマーケットでは、主要7区の潜在空室率が2.38%と低位で推移し、平均募集賃料は32,217円/坪と上昇傾向が継続しているとの報告もあり、貸手市場の優位性が続いています。新規供給の低水準が予測される中、今後も品薄感は強まり、テナントにとっては移転判断がより難しくなる可能性も指摘されています。中東情勢の悪化によるコスト増も、オフィス移転を検討する企業にとって新たな懸念材料となり得るでしょう。
総じて、2026年6月の東京都賃貸オフィス市場は、賃料の上昇と空室率の低下という、貸手にとって有利な状況が継続しています。特に新築ビルでの需要取り込みが進んでいる点が注目されますが、エリアやビルタイプによる差も依然として存在します。企業は、賃料高騰と供給枯渇という厳しい状況下で、面積の最適化や戦略的なオフィス移転計画がこれまで以上に求められるでしょう。