神奈川県賃貸オフィス市場レポート(2026年7月)
神奈川県の賃貸オフィス市場は、7月に入り平均坪単価が16,937円と、前月比で1.7%上昇し、約288円の増加となりました。空室率も5.3%と、前月比で0.2ポイント改善しており、市場全体に堅調な動きが見られます。特に、空室数は458区画と、前月より減少傾向にあり、テナントの需要が供給を上回る状況がうかがえます。
ビル種別で見ると、新築ビルと既存ビルの空室率の差が依然として大きいことが特徴です。新築ビルの空室率は38.8%と高い水準ながらも、前月比では0.3ポイントの改善を見せています。これは、竣工前の契約や、比較的新しい物件へのテナントの関心の高まりを示唆していると考えられます。一方、既存ビルの空室率は5.1%と、全体平均を大きく下回る水準で推移しており、安定した需要に支えられていることがわかります。大規模ビル全体では6.3%の空室率となっており、こちらも前月比で0.2ポイントの改善が見られました。
エリア別では、横浜エリアが坪単価17,719円、空室率5.8%と、市場を牽引する存在感を示しています。坪単価は前月比で1.9%、約326円の上昇を記録しましたが、空室率は0.1ポイント上昇と、需給の逼迫が賃料の上昇を後押ししている様子がうかがえます。対照的に、横浜以外の神奈川エリアでは、坪単価14,933円、空室率4.8%と、横浜エリアに比べて賃料水準は低めながらも、空室率は0.4ポイントと大きく改善しました。これは、横浜エリアへの集中を避けたいテナント層の受け皿となっている可能性や、地域経済の活性化が影響しているのかもしれません。
賃料水準は、坪数帯によって大きな差が見られます。最も高額な200坪超の区画は20,568円/坪に達する一方、20〜30坪帯の小規模区画は15,527円/坪にとどまり、その差は約5,000円に及びます。この価格帯の差は、企業の規模や事業内容、立地条件など、多様なニーズがオフィス選びに反映されていることを物語っています。
最近のニュース動向からは、オフィス市場の多様化とサステナビリティへの関心の高まりが読み取れます。TKPが個室ワークボックス「TKPビズBOX」を貸会議室に導入するという動きは、ハイブリッドワークの普及と、それに伴う柔軟な働き方への対応が求められている現状を示しています。また、クリエーションライン株式会社が横浜市みなとみらいへ本社を移転した事例は、都心部以外への移転や、柔軟な働き方を支援するオフィスへの関心の高まりを裏付けています。さらに、横浜市と那須塩原市が連携し、木質バイオマス由来の熱エネルギーを横浜みなとみらい21地区で活用する取り組みは、オフィスビルにおける脱炭素化への意識が、テナント誘致やESG投資の観点からますます重要になっていることを示唆しています。これらの動向は、今後の神奈川県におけるオフィス市場のあり方に、さらなる変化をもたらす可能性を秘めています。