2026年6月、神奈川県の賃貸オフィス市場は、平均坪単価が16,649円、空室率は5.5%となりました。前月比では、坪単価は105円下落し、空室率は0.3ポイント改善という結果です。特に注目すべきは、空室率が前月比で0.3ポイント低下した点であり、市場全体の引き締まりを示唆しています。
ビル種別で見てみると、新築ビルでは空室率が39.1%と依然として高い水準にあるものの、前月比では0.7ポイントの改善が見られました。これは、新規供給に対するテナントの取り込みが進んでいることを示唆しています。一方、既存ビルは5.3%と安定した空室率を維持しており、こちらは大規模ビルも同様の傾向です。新築ビルと既存ビルの空室率の差は歴然としており、新築物件の稼働状況が市場全体の空室率に影響を与える構造がうかがえます。
エリア別では、横浜エリアが坪単価17,393円、空室率5.8%と、依然として神奈川県内では最も賃料水準が高く、テナント誘致の動向が注目されます。横浜エリアの空室率は前月比で横ばいでしたが、神奈川エリアその他では坪単価が400円下落し、空室率も0.6ポイント改善しました。これは、賃料の調整が進むことで、より多くのテナントがこのエリアへの入居を検討し始めている可能性を示しています。
賃料水準は、オフィス区画の広さによって差が見られます。例えば、200坪超の大型区画では坪単価が20,363円に達する一方、最も小さい20〜30坪帯では15,255円と、約5,000円の開きがあります。この差は、大規模オフィスへの需要と、比較的小規模なオフィスへの需要の質の違いを反映していると考えられます。
最近のニュース動向としては、クリエーションライン株式会社が7月に東京都千代田区から神奈川県横浜市みなとみらいへ本社を移転するという事例が挙げられます。フルリモートを基本とする柔軟な働き方や、全国・全世界への事業拡大戦略を背景としたこの移転は、都心部以外へのオフィス移転ニーズ、そして柔軟な働き方を支援するサービスオフィスへの関心の高まりを示唆するものです。WeWorkオーシャンゲートみなとみらいのような、こうした新しい働き方をサポートする物件への注目が集まる可能性があり、今後の市場動向に影響を与えるかもしれません。
過去6ヶ月の推移を見ると、坪単価は概ね16,500円台から16,800円台で推移しており、大きな変動はありませんでしたが、直近の6月は16,134円とやや下落傾向にあります。空室率については、過去のデータで明確な数値は示されていませんが、今回の6月で5.5%となり、前月比で改善したことはポジティブな兆候と言えるでしょう。
総じて、神奈川県の賃貸オフィス市場は、新築物件の稼働状況に注目が集まるものの、既存ビルは安定した基盤を保っています。エリア間での賃料や空室率の差異は依然として存在しますが、柔軟な働き方や事業拡大戦略を背景とした移転ニーズは、今後も市場に影響を与え続けると考えられます。