愛知県の賃貸オフィス市場は、2026年7月時点で平均坪単価15,559円、空室数498区画、空室率7.0%となり、前月比では坪単価が0.1%上昇、空室率は0.2ポイント低下と、緩やかながらも改善基調が続いている。特に注目すべきは、新築ビルの空室率が15.6%と前月比で1.5ポイントも大きく低下した点だ。これは、7月末に竣工した明治安田名古屋駅前ビルが、名古屋駅前の引き締まったオフィス需給に対応する狙いを持って供給されたものの、その需要吸収力の高さを物語るものと言えるだろう。新築大規模ビルでも同様の傾向が見られ、空室率は15.3%と前月比で1.6ポイント低下した。
一方、既存ビル全体では空室率4.7%と安定した推移を見せ、大規模ビルに限っても4.0%と、市場全体の空室率を大きく下回る水準を維持している。大規模ビル全体の空室率も前月比0.5ポイント低下の5.1%となり、市場全体の引き締まりに寄与している。
区別で見ると、名古屋市中村区は坪単価19,512円と依然として高値圏にあるものの、前月比では0.9%下落し、空室率も0.6ポイント低下の6.0%と、改善の兆しを見せている。これは、新規供給の吸収が進んだ結果とも考えられる。対照的に、名古屋市中区は坪単価14,254円で前月比0.2%上昇、空室率は8.0%と0.2ポイント上昇しており、一部で需給の緩和が見られる。
賃料水準を見ると、坪単価は200坪超の大型区画で19,650円に達する一方、20〜30坪帯では13,539円と、約6,000円の開きがある。この差は、立地やグレードによる物件特性の違いを反映したものだろう。
過去6ヶ月の推移を見ると、坪単価は14,000円台で概ね横ばい、または微増傾向で推移しており、大きな変動は見られない。しかし、7月に入り空室率が低下傾向を示したことで、今後は賃料の上昇圧力も高まる可能性がある。
最近のニュース動向としては、東京都心部でオフィス需要が活発であり、募集賃料が上昇傾向にあることが挙げられる。愛知県においても、新規供給の吸収が進んでいることから、同様の動きが期待される。また、ハイブリッドワークの普及に対応するため、全国規模で個室ワークボックスの導入が進んでいる点も注目される。これは、多様な働き方を支援するオフィス環境へのニーズが高まっていることを示唆しており、今後のオフィスビル開発や改修においても重要な要素となるだろう。さらに、名古屋駅周辺をはじめとする中部地区の再開発計画の見直しには、オフィス需要の回復が不可欠との指摘もあり、市場全体の活性化が待たれる状況だ。
全体として、愛知県の賃貸オフィス市場は、新築ビルを中心に空室率が改善し、緩やかながらも底堅い動きを見せている。今後、新規供給へのテナント需要の吸収が順調に進めば、賃料水準の上昇も期待できるだろう。