2026年5月、愛知県の賃貸オフィス市場は、平均坪単価15,581円、空室数515区画、空室率7.6%を記録しました。前月比では坪単価が286円下落し、1.8%のマイナスとなったほか、空室率も0.3ポイント低下しています。特に注目すべきは、新築ビルにおける空室率の急激な変動です。新築ビル全体の空室率は20.3%、新築大規模ビルでは19.9%と、いずれも前月から3.0ポイントも大幅に悪化しました。これは、新規供給の増加がテナントの需要を上回ったことを示唆しており、今後の動向が注視されます。
一方、既存ビル群は比較的堅調な推移を見せています。既存ビル全体の空室率は5.0%、既存大規模ビルは4.5%と、いずれも前月比で0.2ポイントの小幅な改善に留まりましたが、安定した市場環境を維持しています。大規模ビル全体で見ても、空室率は6.0%と前月比0.5ポイントの改善が見られ、既存ビルの強さが市場全体を支えている構図と言えるでしょう。
区別で見ると、名古屋市中村区では坪単価が19,559円と県内トップクラスの価格帯を維持しつつも、前月比で631円(3.1%)下落しました。空室率も0.9ポイント改善しており、一部のテナントニーズに応えられた形跡が見られます。対照的に、名古屋市中区は坪単価14,286円、空室率7.8%と、県平均を下回る水準ですが、空室率が前月比0.3ポイント悪化しており、需要の停滞がうかがえます。
坪単価の幅を見ると、20坪から30坪の小規模区画が13,367円/坪であるのに対し、200坪以上の大型区画は21,029円/坪と、約7,600円もの開きがあります。これは、企業の規模や事業内容によってオフィスに求める条件が大きく異なり、特に広範なスペースを必要とする企業においては、より高い賃料を支払う意欲があることを示しています。
最近のニュース動向を見ると、東京都心部では大規模オフィスビルの空室率が低水準で推移し、募集賃料が上昇傾向にある一方で、成約面積は対前年同期比でマイナスに転じ、移転計画の見送りも増加しているという情報があります。また、名古屋市においても、新築ビルの竣工があったものの、空室消化も進み、募集賃料は下落傾向にあるものの、今後の募集床の品薄感が強まる見通しが報じられています。これらの動向は、愛知県のオフィス市場にも影響を与える可能性があり、特に新規供給の動向とテナント需要のバランスが今後の市場を左右する鍵となりそうです。過去5ヶ月の推移を見ると、坪単価は概ね14,000円台で推移しており、大きな変動は見られませんが、今回の新築ビルにおける空室率の悪化は、今後の市場に新たな局面をもたらすかもしれません。