大阪府の賃貸オフィス市場は、2026年9月現在、平均坪単価16,221円、空室数1,514区画、空室率4.8%となっています。前月比では坪単価が51円下落(-0.3%)し、空室率も0.2ポイント低下しました。この低下は、市場全体で空室が徐々に消化されていることを示唆しています。
特に注目すべきは、新築ビルの空室率の顕著な改善です。新築ビル全体の空室率は20.3%と、前月から2.4ポイントも大幅に低下しました。新築大規模ビルに限っても18.6%と、2.8ポイントの縮小が見られます。これは、新規供給の消化が進んでいる証拠であり、市場の引き締まり傾向を裏付けています。一方で、既存ビルは3.7%と安定した推移を維持しており、大規模ビルでも3.0%と低水準を保っています。全体として、新築ビルにおける空室消化の進展が、市場全体の空室率改善に寄与している構図と言えるでしょう。
過去6ヶ月の推移を見ると、2026年4月以降、坪単価は概ね15,000円台で推移していましたが、7月以降は一時的に上昇傾向も見られました。9月時点の坪単価16,221円は、この期間の平均を上回る水準であり、賃料の底堅さを示唆しています。
区別の動向に目を向けると、明暗が分かれました。大阪市北区は、坪単価19,267円、空室率3.0%と、依然として高水準の賃料と低い空室率を維持しています。前月比でも坪単価は39円上昇し、空室率も0.3ポイント改善しており、市場の強さが際立ちます。淀川区も坪単価は17,197円と高く、前月比で396円(+2.4%)という大幅な上昇を記録し、空室率も0.2ポイント低下しました。これらのエリアでは、企業からの引き合いが強く、賃料上昇と空室消化が進んでいると考えられます。
対照的に、大阪市中央区は坪単価16,263円、空室率5.9%と、府平均を上回る空室率となっています。坪単価も前月比で170円下落しており、需給バランスの緩みが見られます。西区も坪単価13,764円、空室率4.2%と、中央区ほどではないものの、空室消化に課題が見られます。ただし、西区の空室率は前月比で0.3ポイント改善しており、一定の動きは見られます。大阪市その他エリアも空室率6.6%と高めですが、坪単価は前月比で221円上昇しています。
坪数帯別に見ると、賃料の幅が広がっていることが分かります。20〜30坪の小規模区画は13,488円/坪であるのに対し、200坪以上の大型区画は27,450円/坪と、倍以上の価格差があります。これは、大企業や成長企業による大規模オフィスへの需要の強さを示すとともに、小規模オフィスでは賃料交渉の余地が比較的大きいことを示唆しています。
最近のニュース動向を見ると、東京都心部では空室率が1%を切り、募集賃料が10ヶ月連続で上昇するなど、非常に引き締まった需給状況が報告されています。今後3年間で19.5%の上昇予測も出ており、企業は移転先選択肢の限定から現オフィスの再契約を選択する動きも見られます。福岡市では、新築・築浅ビルの空室消化が進み、空室率が低下した一方、募集賃料はわずかに下落しました。大阪市では、大規模オフィスビルの空室率が7ヶ月ぶりに上昇したものの、募集賃料は10ヶ月連続で上昇し、2000年以降の最高値を更新しています。新規供給が低水準の見込みの中、好立地のビルへのテナント需要は依然として活発なようです。WeWorkのようなフレキシブルオフィスの進出や、オフィスにおけるICT活用による生産性向上・柔軟な働き方の実現に向けた取り組みも進んでおり、これらが今後のオフィス市場の動向に影響を与える可能性があります。
大阪府の賃貸オフィス市場は、新築ビルを中心に空室消化が進む一方で、エリアやビルタイプによる差が見られます。特に、中心部では堅調な需要が賃料を支える一方、一部エリアでは需給バランスの緩和も見られます。今後も、新規供給の動向や企業の働き方の変化などを注視していく必要があります。