2026年5月の大阪府賃貸オフィス市場は、平均坪単価が16,044円と前月から261円(1.7%)上昇し、市場の回復基調が鮮明になった。一方で、空室数は1,327区画、空室率は5.5%と、前月比で0.7ポイント上昇しており、需給バランスには依然として課題を残す。特に中央区では空室率が3.1ポイントと大幅に悪化し、市場全体の足かせとなっている。
ビル種別で見ると、新築ビル空室率は26.9%と前月から0.2ポイント低下したものの、依然として高い水準を維持している。これは、新築大規模ビル空室率が25.9%と、こちらも0.5ポイント低下したものの、依然として需給が緩い状況を示唆している。これに対し、既存ビル空室率は4.2%と前月から0.1ポイント上昇、既存大規模ビル空室率も3.8%と0.1ポイント上昇しており、全体としては緩やかながらも既存物件への需要が根強く存在していることがうかがえる。大規模ビル全体では4.5%と、前月比0.1ポイントの上昇に留まった。
区別では、大阪市北区が坪単価18,788円、空室率4.1%と、都心部としての地位を確立している。坪単価は前月比2.2%増の402円上昇し、空室率も0.3ポイント上昇したものの、依然として低空室率を維持している点は注目に値する。一方、大阪市中央区は坪単価16,515円、空室率9.1%と、空室率が3.1ポイントという大幅な悪化を見せた。これは、新築ビルへの移転や、一部企業の事業縮小などが影響している可能性が考えられる。大阪市西区は坪単価13,621円、空室率4.8%と、空室率が0.1ポイント上昇した。大阪市淀川区は坪単価14,437円、空室率2.7%と、空室率が0.2ポイント低下し、空室率改善区として挙げられる。大阪市その他エリアは坪単価13,629円、空室率6.7%と、空室率が0.1ポイント上昇している。
賃料水準を見ると、坪単価は200坪超の大型区画が26,965円/坪と最高値を記録する一方、20〜30坪帯は13,363円/坪にとどまり、その差は約13,600円にも達する。この価格帯による大きな開きは、企業の規模や業種、求めるオフィス機能によって、賃貸オフィスに求める条件が大きく異なっていることを示している。
過去5ヶ月の推移を見ると、2026年1月以降、平均坪単価は15,000円台で推移しており、緩やかながらも上昇傾向にあることが確認できる。これは、市場全体の底堅さを示唆する一方で、空室率の動向も注視していく必要があるだろう。
最近のニュース動向としては、大阪市内のオフィスビルで日本生命や住友生命といった大手不動産所有者の物件が低空室率を維持しているという報道は、大阪都心部におけるオフィスビルの堅調さを示唆している。また、東京都心部で募集賃料が上昇し、成約面積が減少しているというニュースは、大阪市場にも影響を与える可能性があり、今後の需要動向を注視する必要がある。さらに、コクヨが大阪・梅田の「グラングリーン大阪」に新本社を移転し、ライブオフィスとしてオープンするという動きは、単なる執務スペースとしてのオフィスではなく、企業文化の変革や交流を重視する新しいワークプレイスのあり方を示唆しており、今後のオフィス市場におけるテナントニーズの変化を読み解く上で重要な示唆を与えている。