HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【Shop Japan】コールセンターは“コミュニケーションセンター”へと進化する。札幌拠点の全面リニューアルに込めた思いとは
通販ブランド大手の『ショップジャパン』を運営する、株式会社オークローンマーケティング。国内に5拠点を構える同社は、2017年3月に札幌センター(コールセンター)を全面リニューアルしました。従来の「コールセンター」という枠にとらわれず、お客さまと密なコミュニケーションを行う拠点として成長すべく、リニューアルに強い思いを込めたそうです。
そこで今回、札幌センターリニューアルに携わった八倉巻徳佳さん(写真左)と太田亮さん(写真右)にお話を伺ってきました!(公開日:2018/02/08)
八倉巻:札幌センターは、2016年に開設10年目を迎えました。これを1つの節目として、内装の全面リニューアルを行うことになったんです。繁忙期と重なったため当初の予定より少し遅れましたが、2017年3月に無事オープンすることができました。
今回のリニューアルでは、「コールセンターからコミュニケーションセンターへ」というコンセプトを掲げています。ただ電話を受けるだけの「コールセンター」ではなく、お客さまと様々な繋がりを持つ「コミュニケーションセンター」へと進化させたい、という思いを込めました。
札幌センターリニューアルの前に、東京オフィスを2014年8月に移転しており、そちらの内装テーマと合わせるような形になっています。
八倉巻:まず意識したのが、ブランドイメージを体現した内装であることです。弊社では、お客さまの電話対応を行うスタッフのことを「コミュニケーター」と呼んでいるのですが、コミュニケーターはお客さまとショップジャパンが唯一直接的に繋がる、非常に重要な役割を担っています。そのため、コミュニケーターが「ショップジャパンの顔」であることを意識しながら働いてもらえるようにしたいと考えました。
エントランスは、まさにブランドイメージの象徴とも言える場所です。壁には「バブルデザイン」を散りばめて、お客さまにとっても社員にとってもワクワク感のある空間に仕上げています。
太田:通常のコールセンターというのは、セキュリティを高めるために間仕切りをつくったりして、オフィスが閉鎖的な空間になってしまいがちなんです。今回リニューアルをするにあたって、セキュリティ面に配慮しながら極力壁を取り払ったり、ガラス張りの部分を増やしたりと、開放感のある空間に仕上げました。
また、ワークスペースはレイアウトも工夫しています。中央の動線をはさんで、ハの字型に島を配置しているんです。あえて真っすぐではなく斜めに向かって座ることで、同じ島にいるチームメンバーの様子がよく見え、団結感が醸成されるように設計しています。
コミュニケーターの業務はお客さまと1対1でのやりとりが多いのですが、社内では横の繋がりを意識してチームワークを大切にしたい、という思いを込めました。
八倉巻:他にもチームを意識できるような工夫として、ワークスペース内にサイネージを設置し、目標の数字や実績、連絡事項をチームごとに表示させています。重要な情報を“見える化”することで、チームの一体感がより醸成されていると感じますね。
八倉巻:コミュニケーターがお客さまとやりとりをしながら、いつでも商品を手にとれるようにしているんです。マニュアルや取扱説明書に頼るのではなく、お客さまの目線で分かりやすい情報をお伝えできるよう心がけています。
サイズの違う商品をバランスよく置けるよう、棚は既製品ではなく自分たちでつくりました。ショップジャパンらしさを感じられるよう、ロゴを入れるなどデザインにもこだわっています。通年で販売している商品はもちろん置いていますが、季節性のある商品は定期的に入れ替えるなどして、時流に合わせた展示を行っています。
太田:以前の休憩スペースは無機質な空間で、ただ机と椅子があるだけだったんです。コミュニケーターがリラックスできる場所にしたいということで、カーペットカラーをグリーンにしたり、デスクを木目調にすることで、優しい色合いでカフェのような雰囲気にしました。また、休憩中もショップジャパンらしさを感じてもらえるよう、商品の展示スペースを設けています。
弊社のコミュニケーターは9割以上が女性なので、お化粧直しができるミラー付きのパウダースペースも設置しました。
太田:ショップジャパンは、キッチン関連の商品が非常に多いんです。お客さまに自信を持って商品の良さをお伝えするには、やはり自分で使ってみることが一番大事だと考えています。
実際に商品を使って料理をつくる研修もありますし、コミュニケーターが発案したレシピをお客さまにご案内する取り組みも行っています。商品知識を養うという目的以外にも、コミュニケーター同士が相談しながらレシピをつくることでコミュニケーションの活性化にも繋がっていると思います。
太田:はい。商品名を決めるための人気投票を行ったり、新商品に込められた思いを掲示したりと、コミュニケーターへの情報共有を意識的に増やす取り組みを行っています。
八倉巻:オフィス全体に開放感が生まれて、明るい雰囲気になったという感想が多かったです。執務スペースについては、一人ひとりのスペースを広くしたため、業務効率が上がったという声もあります。また、ショップジャパンらしい内装デザインやモチーフがあることで、他拠点との垣根がなくなり一体感を感じるという意見もありましたね。改装前と比べて、働きやすい環境を提供できているのではないかと思います。
太田:一般的なコールセンターの勤続年数は約3年と言われますが、弊社は約6年と長いんです。札幌センターはオープンして10年が経ちましたが、開設当初から働いているコミュニケーターも沢山います。より長く働きたい職場だと感じてもらえるのは嬉しいことですね。
八倉巻:コミュニケーターの研修体制を全面的に見直しました。従来のように管理者が研修を行うのではなく、成績上位のコミュニケーターが研修プランを作成し、同僚のコミュニケーターに対して研修を行うのです。実際のオペレーションを熟知したスタッフが指導をすることで、研修を受ける側の理解度も高まりますし、研修を行う側の責任感・モチベーション向上も期待できます。
このように、コミュニケーターがショップジャパンの一員としての帰属意識を高め、自主性を育む環境づくりを意識しています。自発的な取り組みや意見交換が増え、業務に対する積極性も高まってきており、徐々に効果が現れていると感じますね。
太田:ただ電話が鳴るのを待つという受け身の「コールセンター」ではなく、こちらからお客さまに寄り添って密に対話する「コミュニケーションセンター」へと成長させていきたい、という思いが強くあります。従来のコールセンターの概念や業務内容を超え、お客さまとのより良いコミュニケーションを追求することが大切だと考えているのです。
実際の業務でも、電話対応だけでなくお客さまとの接点を増やす取り組みを行っています。たとえば、地元のラジオに出演して商品の魅力をお伝えしたり、店舗での実演販売をしたり。先日は「楽ちんヒアリング」という集音器の商品体験会をこの札幌センター内で開催するなど、お客さまとFace to Faceでコミュニケーションをする機会も増えてきました。
八倉巻:急激な入電の増加に対応できるよう、アウトソーシングで外部のセンターを積極的に活用しているため、その分コミュニケーターも電話業務以外の時間が確保できるんです。お客さまへのフォローコールをしたり、手書きのメッセージを書くなど、従来のコールセンターでは行うことができなかったきめ細やかなサービスを提供できていると思いますね。
太田:お客さまが情報を得る媒体はどんどん多様化しているので、ショップジャパンも「テレビショッピング」という枠にとらわれずに、新しい情報発信のカタチを模索していく必要があると思います。現在取り組んでいるFace to Faceでのコミュニケーションも続けていきたいと考えていますが、今後は時代の流れに合った形、たとえばチャットやLINEなどテクノロジーを駆使したコミュニケーションも取り入れていきたいですね。
八倉巻:コミュニケーションセンターのリニューアルをはじめ、2017年は様々なプロジェクトに挑戦した、まさにスタートダッシュの年でした。コミュニケーターに積極的に企画してもらうことで、チームワークも醸成され、全社の団結力が高まったと感じています。今後はその次のフェーズとして、それらの学びをふまえ導入すべき取り組みやフローを精査し、現場でスムーズな運用ができるよう定着させていきたいです。
(photo:佐藤アキラ/interview:梁原立寬/text:澤木香織)
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