HOME > officee magazine > エリア特集 > 虎ノ門・麻布台が再開発で一変!グローバル需要を取り込み、より国際色豊かな街へ
虎ノ門から神谷町・六本木一丁目方面へと向かう辺り一帯で、森ビルによる大規模な再開発事業が進められています。プロジェクトの詳細と、今後の展望についてまとめました。(公開日:2019/08/23)
まずは、新駅誕生で広く注目を集めている虎ノ門ヒルズの再開発について。
森ビルは現在、「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」と「虎ノ門ヒルズ レジデンスタワー」を着工し、両ビルとも2019年内の竣工を目指しています。さらに、2022年度を目標に「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」も完成させるとのこと。既に竣工している虎ノ門ヒルズ森タワーを含めて4棟のタワーが誕生することになり、都内でも有数の高層ビル群が誕生することになります。
この再開発事業によって、虎ノ門ヒルズの敷地面積は80万㎡にまで拡大。約30万㎡のオフィス、約800戸のレジデンス、約26,000㎡の商業店舗、約350室のホテル、約15,000㎡の緑地空間を備える巨大な複合都市が完成するそうです。
虎ノ門は1955年に森ビルが創業した場所でもあるので、本プロジェクトには並々ならぬ思いが込められていることでしょう。2020年東京オリンピック開催によるグローバル需要の取り込みが期待されていることもあり、東京都からの熱い視線も注がれています。
今回の再開発によって取り壊しになった建物は、虎ノ門11森ビル・虎ノ門15森ビルといった「ナンバービル」や、ポニーキャニオン本社、西松建設の旧本社ビル、日本基督教団芝教会などです。
虎ノ門界隈の再開発は2014年ごろから進められていたので、既に最後の追い込みといったところ。虎ノ門ヒルズ森タワー開業を皮切りに、周辺施設のリニューアルも続々と進められてきました。虎ノ門病院(2019年5月オープン)や、ホテルオークラ東京(2019年9月オープン予定)などのニュースが記憶に新しいですね。
交通の面では、2020年に日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ駅」開業が控えています。銀座線の虎ノ門駅と地下通路でつながるため、利用可能な路線も増え、一気に利便性が高まるはずです。さらに、新しい交通網のBRT(バス高速輸送システム)も導入される予定で、エリア内の回遊性が向上していくでしょう。
もう1つ、森ビルと日本郵政が共同で進めている再開発事業があります。六本木一丁目と神谷町の間で行われている「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業」です。住宅や事務所のほか、店舗、ホテル、インターナショナルスクールが入るそうで、国際色豊かな麻布台エリアにぴったりですね。
こちらはA・B-1・B-2と3棟の高層ビルに加え、C街区で低層の物件を複数建設し、完成は2023年3月頃を予定しています。最も規模が大きいA街区は高さ325.24mで、大阪・天王寺にある「あべのハルカス」を抜いて日本一になるそうです。(ただし、2027年に東京駅・常盤橋再開発が完成するまでの短い期間ですが…)
A・B・C街区の各棟は、地下通路を通じて日比谷線・神谷町駅と南北線・六本木一丁目駅に直結するとのこと。竣工後は、両駅の乗り換えも便利になりそうですね。
このプロジェクトでは、旧・郵政省本庁舎であった日本郵政グループ板倉ビル(麻布台郵便局)が取り壊され、90年の歴史に幕を閉じました。昭和初期に建てられた歴史的建造物だったため、その解体を惜しむ声も多かったようです。
ちなみに、麻布郵便局のすぐ隣にある外務省外交史料館や、三年坂のそばにある霊友会釈迦殿、西久保八幡神社(板倉八幡宮)は引き続き残されます。
竣工時の名称はまだ発表されていませんが、森ビルが参画しているプロジェクトということで「麻布台ヒルズ」という名前が有力なのではないか?と言われています。背後にはアークヒルズ仙石山森タワーがそびえていますし、虎ノ門から麻布台エリアにかけて、森ビル色が一層強まりそうですね。
古い街並みが日々失われてゆく寂しさを感じつつも、今回の再開発によって新たな客層が増え、街の価値が高まっていくことを期待したいです。
虎ノ門・麻布台エリアは、霞が関から近いため、官公庁の関連企業や建設会社といった堅いイメージの企業が多い街。また、各国の大使館が集まっていることから外資系企業も多く、エグゼクティブ層向けの高級住宅もたくさんあります。
再開発と言えば、街のイメージをがらりと変えるケースもありますが、虎ノ門・麻布台エリアに関しては正反対で、その特色をより強めていく印象を受けました。というのも、2019年7月現在、虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーは既に9割以上テナントが内定していますが、入居予定の企業はFacebookやSupershipホールディングス、西松建設など。このラインナップからも伺えるように、森ビルとしてはITベンチャー・スタートアップというよりも大手企業やグローバル企業を積極的に取り込み、エリアならではのカラーを色濃くしていきたいようです。また、オフィスだけでなくレジデンスも充実させるそうなので、ハイクラスの外国人移住者もおのずと増えることでしょう。
さて、オフィス市場の観点ではどうでしょうか。2019年現在、東京のオフィス空室率は非常に低く、こと虎ノ門・麻布台エリアに関しても例外ではありません。2021~22年にかけて都内では新築オフィスが大量に供給されますが、借り手のニーズも増える一方なので、オフィスが余るような状況ではないとも噂されています。
市場の流れは刻一刻と変わるのに対して、オフィスビルの供給はプロジェクトが始動してから数年単位を要します。2020年オリンピック後の景気やオフィス需要がどうなっていくか、今後も注意深く観察していく必要がありそうですね。
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