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【シフトブレイン】オフィスとは、個人ではできない実験的チャレンジを創造する場所――代表・加藤琢磨氏インタビュー

外苑前に一軒家のオフィスを構えるWebプロダクション・株式会社シフトブレイン。海外にも支社を持つ同社は、オフィス設計においても海外のクリエイティブ企業を参考にされているそうです。

そこで今回、シフトブレイン代表取締役社長である加藤琢磨氏にインタビューし、同社のオフィス設計について、またオフィスのあるべき姿についてお話をお伺いしました。(公開日:2017/03/23)

月5万円の窓なしオフィスからスタート。14年で7つのオフィスを経験

── まるでブティックのようなお洒落な一軒家のオフィスですが、創業当時はどういったオフィスだったのでしょうか?

最初は中野坂上で月5万円、窓なしのオフィスでした。メンバーは3人でしたが、洗面所に板を置いてデスクにしたりしていました。その後は、「ITといえば、渋谷でしょう!」ということで渋谷の12万円のオフィスに5人くらいで移転したり、CINRAさんとシェアオフィスさせてもらったりと、14年で7つのオフィスを経験しています。

いまは一軒家を改築しているので、長居することになりそうですね(笑)。

── いまのオフィスに決めた理由はなんですか?

シフトブレインは増やしてもあと5人、全部で25人ぐらいの組織で維持したいと思っていまして、規模拡大やビジョンの変更での移転ではないんです。前のオフィスに耐震性の問題があって、出ていく必要があったというのが一番の移転理由で(笑)。

あとは、この近くは同じくWeb制作をしているソニックジャムさんのオフィスがあって、「お互いに刺激し合える関係がいいな」ということで選びました。前もCINRAさんとシェアオフィスをして、刺激をもらえてたんですね。それもあって、刺激し合える企業が近くにいるというのは、とても大切だなと。

ソニックジャムさんとはスポーツを一緒にやったり、飲み会をやったり、スタッフ同士で交流したりしています。

「知らないおばさんも入ってきた(笑)」外部の人も含めて “集まれる場” となるオフィス

shiftbrain_03加藤様

── 御社のオフィスはフリーアドレス制ということで、何か工夫はありますか?

フリーアドレスって、「フリーアドレスですよ」と言っても実際は固定の席に座っちゃうんですよね。なので僕たちは専用バッグやロッカーをつくろう、ということになって。

出社したらまずロッカーに荷物を置いて、特注のバッグに必要なものを入れて、好きな場所で働いていいですよ、としています。ただ、最初は毎日席が変わっていたんですけど、だんだん根を生やすようになっちゃってますね(笑)。それでもプロジェクトごとに席が変わったりしているので、それはよかったなと思います。

── オフィス設計は海外の企業を参考されているということですが、具体的にどういった点を参考にされているのでしょうか?

4年前にいろいろなヨーロッパの制作会社を見学させていただきましたが、スタンディングテーブルを取り入れている会社が結構多くて、シフトブレインでも導入しました。バッと集まって話し合って、すぐに仕事に戻れるのは会議が長引かず、効率的でいいですね。

また、ヨーロッパの制作会社のほとんどは、オフィスにキッチンがあるんですよ。それで「キッチンとクリエイティブは関係あるな」と思って、キッチンを取り入れました(笑)。

キッチンは設置して本当によかったです。福利厚生としてエナジードリンクやビールなどを半額で飲めるようにしているのですが、何人かがキッチンスペースでビールを飲んでいると帰りがけのメンバーが合流したりして、コミュニケーションをとるキッカケになっているなと。

ソニックジャムさんのメンバーも帰りがけに「あっ、やってるな」って一緒に飲んだりしてますし、この前、いつものように集まっていたら知らないおばさんがお店だと思ったのか、「こんにちは」って入ってきちゃって驚きました(笑)。

そういった社員以外の方も含めて「集まれる場」ができたのは本当によかったなと思います。

shiftbrain_04カフェ

── シフトブレインではリモートワークを導入されていますか?

実験的なプロジェクトが社内にいくつかありまして、その1つとしてリモートワークを導入しています。まだ開始して数ヶ月ですが、メンバーの希望で開発部のみ、毎週水曜日をリモートワークにしていて。オフィスに来たい人はオフィスに来てもいいし、自宅やカフェで仕事がしたい人はリモートワークをする、といった形です。他の仲いい会社さんのオフィスでリモートワークしているメンバーもいます(笑)。

いまのところ、刺激的ということもあり、それぞれのパフォーマンスはあがっている印象がありますね。

── リモートワークがより普及してきたとき、オフィスの存在意義はなんだとお考えですか?

いまは案件ごと、プロジェクトごとに参画するワークスタイルもありますから、「オフィスの存在意義」を考えると、「組織ってなんだろう?」という問いにぶち当たると思うんですね。だから非常に答えが難しく、他の経営者ともよく話したりするのですが、……まあ飲みながら話したいくらいのテーマですね(笑)。

ただ、僕自身は同じ場所で同じ人と仕事をすることで視野が狭まり、考えが凝り固まってしまうことへの恐怖感が昔から強いんですよ。だからメンバーにもいろいろな場所へ行って、いろいろな人から刺激を受けて成長し続けてほしいし、生き生きと仕事をしてほしいなと思っていて。

例えば、オフィスにキッチンを置くことって、売上に直接繋がることではないじゃないですか。だけど、キッチンがあることで人が集まり、そこから刺激を受けられるような環境がつくれるということに意味があるなと。刺激的に働き、メンバーのパフォーマンスを最大化できるような環境が、オフィスには大切なのかなと思います。

「人は必ず学習意欲がある」学習機会という福利厚生を提供

shiftbrain_05facebookより

セブ島にて(SHIFTBRAIN Inc. 公式Facebookページより)

── 刺激的に働く上で、会社として進めていることはありますか?

「交流」「環境」という要素以外に、いまは「学習」も支援したいと思っています。そこで、「会社で半分支援するから海外に行ってきてもいいよ」というのをやりはじめました。

僕も先日、2週間セブ島留学に行ってきたんですよ。午前中は仕事して、午後は英語の授業を受けて、夜は飲みに行って。そして宿泊先に戻って明日の英語の宿題をやる、という生活を送っていたのですが、「この充実感は新しいな」と感じました。

人には学習意欲が必ずあるにもかかわらず、なにかを学びたいと思っても働いていると時間がなくて、会社を辞めるしかなかったりするじゃないですか。会社を辞めちゃうのはもったいないので、それであれば会社で支援してあげたいなと。留学以外にも、オフィスに英語の先生を呼んでレッスンをやったりしていますね。

── あらためて、加藤さまが考える「理想のオフィス」とはどういったものでしょうか?

個人ができないことをできるのが組織であり、個人を最大化する、新しいことをする場所がオフィスだと思います。個人であれば、時間やお金がないと実験的なチャレンジができないじゃないですか。一方で会社は、蓄えがあれば実験的なチャレンジもできるんですよね。

ちなみに「実験」って表現がいいなと思っています。

なにか新しいことに挑戦するときに、「実験」って言うと急に気が楽になって、前向きになれる気がするんです(笑)。「1週間、実験してみましょうか」みたいな。

先日も「アーリーバード」という制度をはじめて、1時間早く来て1時間早く帰る、というのをやっているんですけど、みんな喜んでくれていて。そういった「実験」を、これからもやっていきたいですね。

(書き手:永田 優介)

株式会社シフトブレイン

会社HP shiftbrain.com

所在地 東京都港区南青山2-19-14

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取材を終えて

編集担当:阿久津

編集担当:阿久津

数々の賞を受賞されており、webサイトもオフィスもお洒落なイメージが強く、おうかがいするまでは緊張していたのですが加藤さまとお会いした瞬間から和やかな雰囲気になり終始楽しくインタビューさせて頂きました。 SHIFTBRAIN様のオフィスは、いわゆる一般的なオフィスのイメージとは全く違う内装で見ているだけでワクワクしました!しかし、単にお洒落なだけではなく、いたるところにクリエイティブな発想を高めるための工夫がされており、とても勉強になりました。今後、オフィスの形がどんどん変化するのだろうなと思わせられる楽しい時間でした。

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