HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【リブセンス】いつまでもベンチャーとして成長し続けるために。創造性を発揮するための環境づくりとは
2012年に東証1部上場し、代表取締役である村上氏の “最年少上場” で注目された株式会社リブセンス。同年、オフィスを目黒に移転し、2017年5月にはオフィス空間の一部リノベーションを行います。もともとは洗練された印象のある白基調の空間でしたが、リノベーションにより温かみのあるウッドテイストの空間へと変貌を遂げました。
なぜ同社はリノベーションに踏み切ったのか。また、リブセンスにとってオフィスとはどんな存在なのか。ブランド戦略グループリーダー高木康正さん(写真右)、広報の永澤歩さん(写真左)にお話を伺いました。(公開日:2017/11/07)
高木:創業は2006年、代表の村上が早稲田大学の校舎の一角でリブセンスを立ち上げたのがスタートです。その後、高田馬場の小さなオフィスに移り、当時は5〜6人のメンバーが集まって「まさにスタートアップ」といった環境で仕事をしていました。
次に渋谷に移転をするのですが、そこではじめてクリエイティブな発想が生まれる空間を意識し、オフィスデザインに注力するという方針になり、某有名テレビCMのクリエイティブディレクターの方にご協力をお願いしました。発想力や創造力を掻き立てる空間づくりを目的とし、アートを取り入れたのもそのときからです。
そして2012年、現在の目黒のオフィスへ移転をしました。
高木:一番の理由は、ワンフロアで400坪以上ある物件がタイミング良く見つかったからです。社員が急激に増えていき、以前のオフィスではスペースが足りなくなってしまったんですね。同じ渋谷内で移転先を探しましたが、渋谷にはワンフロア400坪以上という条件に当てはまる物件がなく、他のエリアで探し始めたんです。そんな中、ちょうどこちらの新目黒東急ビルが検討にあがり、諸条件が良かったことが決め手になりました。
また、当時は目黒にそこまでベンチャー企業が集まっていなかったので、「開拓」という意味合いもありました。
高木:オフィスは企業ブランドの象徴であるが故に、デザインには様々な創意工夫がされています。何より、コミュニケーションを促す職場を意識し、有効な情報を会社内できちんと共有できる環境をつくることに重点を置いています。良い人間関係を築き、心と身体が健康的な状態を維持できるような環境を提供することで、生産性の高い仕事ができると考えています。
そして私たちは「チーム・リブセンス」という考え方を大切にしており、一体感を感じられる環境を意識しています。現在、新目黒東急ビルの他に目黒にもう一ヶ所、また宮崎にもオフィスを構えています。月に一度全社員が集まるMonthly・Meetupという会議では、東京オフィスと宮崎オフィスをSkypeでつなぎ、一体感を大切にしています。
永澤:これまでのオープンスペースは、白を基調としたデザインでした。洗練されていてスタイリッシュなイメージだったのですが、「ベンチャー企業である私たちのブランドイメージを表現できているのだろうか」という疑問も出ていたんですね。そこで、リブセンスが目指すベンチャー企業として社会に発信したいことを体現するため、リブランディングの一環としてオフィスリノベーションを進めることになりました。
その結果、白を基調とした内装から、本物の木材を使用した温かみのあるカジュアルな空間に仕上げています。「コラボレーションラウンジ」と名付けたとおり、社員同士のコミュニケーションを活性化させ、これまで以上に創造性を発揮できるような空間を目指してリノベーションをしました。
来客も含めて、少人数での打ち合わせができるようなスペースを増やし、よりカジュアルなコミュニケーションが取れるようにと、ファミレスブースを設けたりしています。リノベーション前と比べて、とても印象が変わったと思いますね。
永澤:とても好評です!現在、新目黒東急ビルには、社員・アルバイト含めて約300名のメンバーが在籍しているのですが、それくらいの規模になると、運用ルールを設けないとスムーズにオフィスを活用できないことが多いと思います。しかし、リブセンスのメンバーは「この場を気持ちよく使おう」という意識を持つ人が多いので、特別なルールを設けなくても、次に使うメンバーが不快にならないよう自然に配慮して使ってくれるんです。その自主性が、リブセンスらしいなと思いますね。
コラボレーションラウンジではBGMを流したり、気軽にコーヒーを飲めるようにして、より居心地の良さを感じてもらえるよう工夫しています。そのおかげか、ミーティング中に「あの人からも意見もらおうよ!」と近くにいるメンバーに声をかけやすくなったりもしているみたいです。
また、毎週金曜日に「コラボレーション・モーニング」という自主参加性の取組みをはじめて、200円で利用できるモーニングを一緒に食べながらコミュニケーションを図ったりもしています。さらに、ランチの時間になるとボードゲームをやっているメンバーがいたりして、コラボレーションラウンジができたことでメンバー同士の交流がより活性化したなと感じますね。
高木:全体で意識しているのは、社員が気持ちよく働ける空間をつくることです。たとえば、集中したいというときは自席よりもコラボレーションラウンジの方が集中できるかもしれません。また、会議室よりもコーヒーを飲みながらラウンジで話している方がアイデアが出るときもあるでしょう。
オフィスはイノベーションを創出するために重要な役割を果たすと考えているため、社員の声を聞きながら、働きやすい環境づくりを大切にしています。
また、執務スペースに関して言えば、壁がないこともこだわりです。ワンフロアだからこそ、全体を見渡せるような設計になっています。
ちなみに、天井にも遊び心を持たせており、ブルーのトーン違いのパネルをランダムに配置しています。視界の邪魔になることもなく、全体的にブルーの空間に包まれているような感覚で、とても気分が良いんです。
他にも、座り心地の良い椅子を取り入れたいとか、グリーンを置きたいとか、色んなこだわりをつめこんでいます。コラボレーションラウンジは、リノベーションに関わったメンバーが色や素材など丁寧に選び、細部にこだわっています。
高木:リブセンスには、越境文化、すなわち職種を越えて歩み寄る文化があるんですね。たとえば、営業メンバーがSQLやエンジニアリングを学んだり、業種を問わずオープンに専門知識を教え合うような光景はよく見られます。
コラボレーションラウンジではスクリーンにプレゼン資料などを投影できるので、勉強会は頻繁に開催されていますね。また、リブセンスでは縦割りの事業部制をとっているため、事業部をまたいでデザインに関する勉強会が開催されていたりと、まさに越境文化を体現する使われ方をしているなと感じています。
高木:より多種多様な働き方を生み出す場、ですね。そして、会社や組織のためのオフィスではなく、その中で働くメンバー1人1人のためのオフィスだと考えています。みんなが自由で気持ち良く、心も身体も健やかに働けることが何よりも大切ですし、その役割を果たすものこそがオフィスだと思うんです。
また、リブセンスは「あたりまえを、発明しよう。」というビジョンを掲げ、事業を通じて世の中に不可逆な変化を起こし、社会に貢献し続けていきたいと考えています。こうしたビジョンや会社の方向性が、リブセンスで働くメンバー1人1人に正しく伝わっていることが大切です。
オフィスは、会社の姿勢やカルチャーを体現する場所でもあり、メンバーの働きやすさをしっかりと守っていく場所でもある。その両輪があってこそ、会社は成長していけると思うんです。そのため、これからもオフィスをもっと自由で、創造性がより多く生まれるような空間にしていくことで、あたりまえを生み出す事業を多く創出していきたいですね。
(photo:服部健太郎/text:永田優介)
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