HOME > officee magazine > オフィスインタビュー > 100坪〜300坪 > 【ファーストコネクト】東京から札幌へ。高い採用力と成長スピードを掴むためのオフィス戦略とは
歯科業界における人材紹介サービスのリーディングカンパニーとして、医療の質向上に寄与する株式会社ファーストコネクト。札幌を拠点として事業を展開する同社は、人員拡大とともに、創業翌年から3年連続でオフィスを移転。その高い採用力と成長スピードが注目を集めています。
元々東京で創業したという同社は、なぜ札幌という地に移り、事業を展開するに至ったのでしょうか?代表取締役・宮副 俊彦さんにお話を伺うべく、今回「officee magazine」では初めて北海道へ移転事例インタビューに行ってきました!(公開日:2017/12/07)
株式会社ファーストコネクト
会社HP firstconnect.co.jp
移転先 興銀ビル(札幌市中央区北一条西5-2)
移転元 大通公園ビル(札幌市中央区大通西6-10-10)
移転時期 2017年8月
移転規模 約68坪→約137坪
利用人数 約80名
はい。私を含めて創業メンバー3名が全員東京在住で、最初はマンションの一室からスタートしました。その後、人を採用しようというフェーズに入ってから、札幌に移転しています。実は、札幌という地にはみんな縁もゆかりもなかったんですが、元々この事業をやるなら札幌に行く、というのは決めていたんです。
私たちが行っている人材紹介という事業は、とても労働集約的な側面があり、雇用を拡大しながらスケールしてくというビジネスモデルなんです。東京だと採用の募集をかけても競合する企業が多く、常に良い人材を増やし続けることは難しい。よって、採用という観点での競争優位性が高い場所で、事業を展開していく必要がありました。
人を採用し続けることを前提とすると、立地を絞り込むうえで重要になってくるポイントがいくつかあります。まず、ある程度人口が多いこと。そして、労働人口となる若年層の比率が高いこと。さらに、人口流動率が高いことです。
求人広告を初めて目にする人が常に一定数いる、つまり、その都市内で人が入れ替わりつつ、人口のボリュームが増えている場所がベストなんですね。そうやっていくつかの条件に当てはめていくと、日本の地方都市のなかで、間違いなく私たちのビジネスモデルに適しているのがここ、札幌だったんです。
他にも、勤勉で真面目な人が多いとか、なまりが少ないといった土地柄も影響しています。弊社以外でも、札幌にコールセンターや開発拠点を置いている企業は多いですが、実に合理的な選択だと思いますね。
住み慣れた東京を離れ、新天地の札幌に乗り込んでいくという意味では、覚悟を決めていた部分もありますよ。自分の人生も、がらっと変わりますからね。いざオフィスを札幌に移転するとなった時には、「あぁ、ついに本格稼働だな」という感じはしましたね(笑)。
そうですね。立ち上げ時から、「数年スパンで三桁ぐらいまで人員を増やしたいね」という話はしていました。そして、そこから先も増やしていけないと、この事業をやる意味がないねって。
実際、札幌で採用活動を続けていると、本当に優秀な人材が多くて驚かされます。おかげさまで、創業から3年ほどで約80人規模の会社に成長させることができました。
そうですね。少しずつ増えてきているとは思いますが、まだそこまで多くはないと思います。
ことさら弊社の場合は、当初から採用面を意識して札幌進出を見据えていたので、東京に本社機能を置くべきではないと判断したんです。いきなり札幌に本社移転となったら、東京在住の従業員はみんな辞めてしまいますし、たとえ地方拠点という形で新設したとしても、余計なマネジメントコストが発生してしまうからです。
スタートアップにとっては、素早い意思決定と行動こそがビジネスの加速度を上げるといっても過言ではありません。拠点が離れていると、いろんなことがワンテンポ、ツーテンポ遅れていってしまいます。正しく意図が伝わっておらず、拠点同士の足並みが揃わなくなることも多いでしょう。また、従業員と経営層が同じオフィスにいて直接話せる環境、というのも大事だと思っていて。そういった意味では、拠点を1箇所にまとめているメリットは大きいと思いますね。
あと、他の企業もこぞって札幌に来ていたら、採用の競合が多すぎるので、逆に違う選択肢を選んでいたかもしれません(笑)。
もちろん札幌駅も中心地ではありますが、東京と同じように、本当の中心部って地下鉄の沿線だったりするんですよ。大通駅というのは、市営地下鉄の東西線と南北線がクロスしていて、各所からのアクセスが良いんです。
また、北を札幌駅、南をすすきの駅に挟まれた立地、というのもポイントですね。この辺りが札幌市の中で特に中心と言われるエリアで、大通駅はさらにそのど真ん中に位置しています。まさに、札幌を象徴するような場所でもあるんです。
まず採用という面では、アクセスの良さには一貫してこだわっていましたね。求人広告を見た人にとって、「ここなら通いやすいな」「便利そうだな」と思ってもらうことが大切で。駅近で雨の日でも濡れないとか、1階にコンビニが入っていたりすると、印象が良いなと感じます。
あと、ビルの設備面で気にするのは、人数あたりのトイレ個室数です。これはとても大事ですね。ざっくりとした計算ではありますが、50人規模なら個室は3個以上欲しいです。
オフィスは一日の大半を過ごす場所でもあるので、特にトイレについては清潔感がある物件を選ぶよう意識していました。たとえ坪単価が安かったとしても、トイレが和式だったりしたら使いづらいと思います。もし工事をして和式から洋式に変更した場合、どれくらいのコストがかかるか、なども計算しました。
本当に必要なものしか置いていないので、とても合理的にやってます、ということかと(笑)。今は極力無駄を省いて、必要なものにコストを割き、より良いサービスを展開していくフェーズだと思っています。
ただ、これは現時点での弊社のカルチャーであって、会社が成長するにつれてそのあり方は変わってくるはずです。また、オフィスは今働いている人だけでなく、これから採用する人へのメッセージでもあるので、どんな人材を採用したいかによって変えていくべきなんだろうなと思います。
誰かの犠牲のうえに会社を大きくする、というのはやりたくないと思っていて。例えば、ご家庭の事情で出社できない人が会社を辞めざるを得なかったり、お子さんのお迎えがある人がフルタイムという制約で働けなくなったり、というのを極力なくしたいと思っているんです。
そのため、特例として新しいシフトを作ったり、実験的にリモートワークを導入したりして、個々人の事情に合わせた柔軟な働き方を実現できるよう、経営陣が努力するように意識しています。こうした取り組みによって、今後もより良い人材が活躍できる会社にしていきたいなと思っています。
オフィスとは、従業員や日々会社を訪れる人たちに「そこがどんな会社なのか」を伝えるメッセージ、ですね。内装やレイアウトだけではなく、中で働いている従業員の雰囲気も含めて、勢いがあって派手な会社なのか、前衛的なのか、無駄がなく手堅いのか、どんな価値観で何を大事にしている企業文化なのか、といったことが明確に伝わってくるもの。それがオフィスだと思います。
オフィスを訪れる「誰」に「どんなメッセージを伝えたいのか」をしっかりイメージして、これからも「ファーストコネクトらしいオフィス」を作り上げていきたいですね。
(photo:佐藤アキラ/interview:梁原立寬/edit:澤木香織)
最初の移転のお話をいただいたのは、2015年1月でした。その内見当日は吹雪だったことも、強く記憶に残っています。私は現在、全国事業部で地方移転のお手伝いをしておりますが、実は事業部開設後にはじめて成約させていただいたプロジェクトが、2015年のファーストコネクトさまの札幌移転でした。それ以降、大拡張の移転を2回もお手伝いすることができ、大変嬉しく思います。改めて当事業部も、もっと成長していきたいと感じました。次のご移転でもお力になれるよう頑張ります!
オフィスをどこに構えるか。その問いに、「今いる東京都内で」という前提条件も取っ払い、事業と真正面に向き合って答えを出された姿勢に感心いたしました。そして、ビジネスの戦いに絶対に負けられないという熱い覚悟が、淡々と話される宮副さんの言葉の奥からひしひしと伝わってきました。叶えるべきもののためには、手段を問わない。改めて、その大切さを教わったインタビューとなりました。ファーストコネクトのみなさま、取材へのご協力ありがとうございました!
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