HOME > officee magazine > 編集部コラム > オフィス移転遍歴から見る株式会社ディー・エヌ・エーの歴史とは
オークションサイト『ビッダーズ』の開始を皮切りに、多角的な事業展開に取り組んできた株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)。インターネットサービスの提供にとどまらず、ベンチャー投資や球団運営なども手がけており、IT企業の枠にとどまらない経営戦略が注目されています。
創業から現在に至るまで、DeNAはどのような歴史を歩んできたのでしょうか。事業成長を支えてきたオフィスの変遷を追いながら、同社の沿革を振り返ってみたいと思います。(最終更新日:2018/08/30)
当時マッキンゼーでコンサルタントとして活躍していた南場智子氏は、ITビジネスに新たな可能性を感じ、職場の仲間を誘って独立。1999年3月のことでした。共同設立者は、エンジェル投資家である川田尚吾氏と、後にイギリスでQuipperを創業する渡辺雅之氏。3人は、寝る間も惜しんで仕事をしたといいます。
ちなみに、DeNAという社名は、遺伝子の“DNA”とeコマースの“e”を組み合わせたもの。「eコマースの新しい遺伝子を世の中に広めていく“DNA”でありたい」という思いから名付けられました。
当時DeNAにとっての最重要課題は、1人でも多く人材を採用すること。創業当初から、優秀かつ心から尊敬できる人を求めていました。南場氏は、当時をこのように振り返っています。
「職場はアパートの一室で、トイレは男女分かれていません。給与も大手に比べれば惨憺(さんたん)たるものです」
その上で、こう言った。
「助けてほしい。あなたの力が必要です」
どんなにきれいに化粧をした言葉より、これが効いた。
引用:DeNA創業者 大手からの人材獲得で最も「効いた」言葉
南場氏のまっすぐなメッセージに心を動かされ、IBMやオラクルなど大手企業を辞めてDeNAに加入するメンバーも。3人が6人になり、8人になり、、、と徐々に仲間を増やしていきました。
1999年9月には、前オフィスから歩いてすぐの場所、目の前に代々木公園を望む並木ビルに移転。新たな拠点でオークションサイト『ビッダーズ(現:Wowma!)』のリリースに向け日々奮闘していた最中、予想だにしない事態に直面することとなります。
システムの開発を終え、いざテストをしようという段階になって、なんと外注していたプログラミングの成果が全く無いことが発覚したのです。しかし、折悪しく『Yahoo!オークション』が9月にサービスを開始し、先を越されてしまいます。これ以上リリースを遅らせることはできないと、南場氏は苦渋の判断を下すことに。1999年11月、オークションサイトにも関わらず出品機能が無いという異例の形で『ビッダーズ』は誕生しました。オープン後も、機能の改善など様々な対応に追われることとなります。
2000年12月には、幡ヶ谷にあるFlos幡ヶ谷にオフィスを移転します。
PC版のオークションサイトに関しては、ヤフーに大きな遅れをとってしまったDeNA。しかし、南場氏は次なるプランを考えていました。それが、モバイルへの転換です。広くなったオフィスで人員を増やしながら着々と準備を進め、2004年1月にケータイオークションサイト『モバオク』を開始します。『モバオク』は時流を掴み、後に国内最大規模のモバイルオークションサイトへと成長を遂げることになるのです。
『モバオク』のリリースから2ヶ月後、DeNAは笹塚センタービルにオフィスを移します。この頃、社員数は100名前後にまで増加していました。勢いそのままに、2005年1月には『auオークション』を開始し、2月にはついに東京証券取引所マザーズに上場。そして、翌2006年2月には携帯向けゲームサイト『モバゲータウン』をリリースし、急激に売上を伸ばしていきます。
当時のオフィスでは社長室をガラス張りにして扉を開けっ放しにするなど、役職を意識せずコミュニケーションがとれるように工夫していたそう。また、南場氏はよくオフィスに愛犬さくらを連れてきて、社員の癒やしにもなっていたようです。
2008年2月には、初台にある新宿MIDWESTに移転。SNSの社会問題へ対応するべく、カスタマーセンターを設立しました。ソーシャルゲーム『怪盗ロワイヤル』の提供開始や、『モバゲータウン』のスマートフォン対応などで、売上は続伸。2011年12月には、横浜ベイスターズの子会社化を発表し、プロ野球への新規参入で世間を驚かせました。その間もオフィスは増床を繰り返し、移転直前には3フロアほど賃貸していたようです。
2012年4月には竣工したばかりの渋谷ヒカリエに本社を移転し、現在も入居しています。内装のコンセプトは「社員がつながる アイデア創造型オフィス」。開放感をイメージしたスケルトン天井や、オリジナルLED照明を設置し、社員にとって過ごしやすいオフィスを設計したそうです。愛犬さくらの名前にちなんで、「Sakura Cafe」と名付けた社内カフェスペースも併設。ちなみに、以前本社を置いていた新宿MIDWESTは初台オフィスとして現在も継続使用しています。
その後、2013年リリースの仮想ライブ空間『Showroom』をはじめ、多様な事業を手がけてきたDeNA。最近はAIの分野にも力を入れており、2018年に提供開始したタクシー配車アプリ『タクベル』や、自動運転技術の開発なども注目を集めています。DeNAが大切にしているのは、チームとして最大限のパフォーマンスを発揮するための共通意識、「DeNA Quality」。どこまでも挑戦をやめない姿勢と、現場生まれの事業を大切にする組織のあり方によって、これからも多くのサービスを世に送り出していくことでしょう。
DeNA 南場智子氏 「DeNAの成長の軌跡とグローバルNo.1に向けた新しい挑戦
– GLOBIS知見録 | 株式会社グロービス:2014/02/03更新
– AERA dot. | 株式会社朝日新聞出版:2014/07/10更新
【話の肖像画】ディー・エヌ・エー創業者・南場智子(51)(3)
– 産経ニュース|株式会社産経デジタル
イノベーションの現場から:DeNAが語るイノベーションの“DNA”
– ITmedia エンタープライズ|アイティメディア株式会社
DeNA、本社を「渋谷ヒカリエ」に移転 4月より新たな福利厚生制度も導入
– 公式プレスリリース|株式会社ディー・エヌ・エー
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