HOME > officee magazine > エリア特集 > 「天神ビッグバン」に「博多コネクティッド」!再開発で激変する福岡
福岡市の天神・博多エリアで、いま大規模な再開発が進められています。
市内の主要エリアにある大型物件は、築40年以上のものが多く、老朽化が進んでいました。こうした問題を解決すべく、市が力を入れて取り組んでいるプロジェクトが「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」です。
今回は、ここ数年で大きく景観が変わりそうな天神・博多エリアに注目して、プロジェクトのポイントや今後の動向について紹介したいと思います。(公開日:2019/09/19)
「天神ビッグバン」は、天神駅(天神交差点)を中心に、半径500m圏内を対象としたエリアで行われている再開発です。2015年に発足したプロジェクトで、2024年までに30棟の民間ビルの建て替えを目標に掲げています。
天神は空港からの距離が近いため、航空法によって建物の高さが制限されているのですが、その規制が緩和され、より高層物件を建てられるようになりました。また、福岡市でも独自に容積率の緩和制度を設けるなど、プロジェクト推進に力を入れています。
建て替えについては各ビルオーナーやデベロッパーに判断が委ねられていましたが、想定以上の建築確認の申請があったようで、2019年6月には目標数の30棟を達成できそうだ、と市が発表しました。
プロジェクト第1弾として稼働中なのが、福岡地所が手掛ける「天神ビジネスセンタープロジェクト」。2021年9月の竣工を予定しています。優れたデザインもさることながら、最新の免震構造や災害対策設備を備えていて、オフィスの供給面積は約1万坪にも及ぶそうです。
2014年に閉校した旧大名小学校跡地の再開発が目玉と言われていて、ホテル・オフィス棟(地上24階/高さ110m)、コミュニティ棟、公共施設、広場(約3,000㎡)、イベントホールなどが誕生。九州初進出となるリッツカールトンが入るとあって、特に注目を集めています。スタートアップ支援施設(Fukuoka Growth Next)が入っている既存の南校舎はコミュニティ棟と連携し、企業間の交流が生まれる環境づくりを促進していくとのことです。
また、58年の歴史を刻んだ大型物件・福岡ビル(通称:福ビル)に加えて、ファッションビルの天神コア、天神ビブレの3棟が取り壊わされ、1棟の巨大複合ビルが誕生する予定。さらに、天神イムズも取り壊しになるということで、相次ぐ閉館に寂しさを感じる博多民が続出しています。新施設の具体的なテナント構成はまだ明らかにされていませんが、パワーアップして生まれ変わることを期待したいですね。
もう1つの大型再開発「博多コネクティッド」は、2019年5月に福岡市が発表したプロジェクト。JR博多駅を中心とした半径500mのエリアを対象に、積極的な建て替えを進めていくものです。
地下鉄七隈線を天神南から博多まで延伸し、はかた駅前通りなどを再整備していくほか、古い建造物(※1)を建て替える場合、容積率を従来より最大50%上乗せするという規制緩和も実施。耐震性の高い建物を増やしつつ、歩行者ネットワークを拡大することで都市機能の向上を図ります。
(※1)1975年以前に建てられた6階以上、延べ床面積3千平方メートル以上の建物
博多コネクティッドは、10年間の期間限定で20棟の建て替えを目指しています。福岡アジア都市研究所(福岡市)の試算によると、計画通りに進めば延べ床面積が現在の1.5倍にもなるそうです。
博多は天神よりも福岡空港に近いため、高さ規制を大幅に緩和することができません。それでも、博多駅前に高いビルが増えてくるとなると、街の景色や印象はガラッと変わっていくのではないでしょうか。
また、JR九州は「アミュプラザ博多」や「博多阪急」などが入るJR博多駅ビルを、南側に大幅に拡張すると発表。このプロジェクトは、2019〜2021年度にかけて着手を検討しているそうです。
「博多コネクティッド」は「天神ビッグバン」に対抗するような形で発足したプロジェクトで、まだまだ不透明な部分も多いため、今後の発表が楽しみですね。
なぜ、ここまで積極的にに天神・博多エリアの再開発が進められているのか。その背景には、慢性的なオフィスとホテルの不足があります。
まずオフィスに関してですが、市内中心部の空室率は2%を割り込み、東京都心に並ぶ低さ。現高島市長の取り組みによって福岡市がグローバル創業・雇用創出特区に指定されたことで、関東に本社を置く企業や、スタートアップ・ベンチャー企業の誘致だけでなく、新たな起業も促進され、オフィス不足に拍車がかかっている状態です。2016年にMonocle誌が発表した「世界で最も住みやすい都市」で福岡が7位に選ばれるなど、住環境の良さも追い風になって、若年層を中心に就労人口が急増していることも大きな要因でしょう。
次に、ホテル不足の問題について。市の観光統計によれば、福岡の訪日外客数は2011年~2017年で約3.4倍にまで増加しているそうで、インバウンド需要がいかに高まっているかが分かります。ただ1つ気になるのは、福岡を訪れる外国人観光客の60%以上が韓国からだということ。釜山ー博多間でフェリーが就航しているなどアクセスの良さが人気ですが、日韓関係の悪化が今後どう影響していくか、慎重に見守る必要がありそうですね。
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