HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【スペースマーケット】新しい場所が新しいアイデアを生み出す――オフィスのあり方はどう変わるのか?代表取締役・重松大輔氏インタビュー
昨今は技術の進歩、そして働き方の意識変化により、テレビ電話を使ったリモートでの打ち合わせやリモートワークというものが盛んになってきました。そんななか、オフィスのあり方は今後どうなっていくのでしょうか。
今回、空きスペースを簡単に貸し借りできるサービス『スペースマーケット』運営の株式会社スペースマーケット代表取締役である重松大輔氏に、未来のオフィスのあり方についてお話をお伺いいたしました。(公開日:2017/01/24)
―― 現在、スペースマーケットはどういった利用のされ方が多いでしょうか?
現在は1万以上のスペースが登録されているのですが、いま一番多いのは「パーティー利用」ですね。忘年会であったり、主婦のママ会であったりと、イベントスペースとしての利用が多いです。
そして企業のミーティング利用や個人の撮影スタジオとしての利用なども増えています。
―― 御社自身も自社オフィスだけではなく、レンタルスペースを借りてミーティングをされるそうですが、それはなぜでしょう?
なにか新しいものを生み出そうというときや、なにかを深く考えようというときって、普段と違う環境、すなわち非日常空間に行くというのが大事だなと思っていて。なので、そういったときは私たちも自社オフィスから出て、どこかスペースを借りてミーティングを行ったりしています。
先日もアパレルの店舗を借りてミーティングをしたのですが、普段とは違う場所に行くと、その場所のパワーをもらえるんですよ(笑)。しかも非日常的な空間ですから、いつも顔を合わせるメンバーも普段とは違ったテンションになったりして、打ち合わせが盛り上がるんですよね。
―― そういったミーティングのスタイル、また場所を限定しない働き方というのは増えてくるとお考えですか?
そうですね。テクノロジーの進化で、場所にとらわれなくなるというのは十分にあると思います。現にコワーキングスペースも増えてきていますし、働き方の変化はゆるやかに生まれてきていると感じています。
また、起業したてのスタートアップはテーブル1個あればよかったりするじゃないですか。一方で成長企業は人員増を見込んで、スペースにゆとりを持ってオフィスを選んだりしますよね。
そんなときに、たとえば2席だけ他の会社にお貸しするとか、間借りさせてもらうといったことがもっと活発になってくると思いますし、そういった貸し借りをスペースマーケットでカバーしていけるといいなと思っています。
―― 御社では実際にリモートワークも許容されているのでしょうか?
完全にOKというわけではありませんが、週1でリモートワークをしているエンジニアはいたりします。必要があればSkypeで打ち合わせできますからね。
ミーティングも意思決定メンバーだけで行うなど、無駄な業務が発生しないようにしています。たとえばスペースマーケットには会社の電話が1つしかないんですよ。あとは個人の電話で。電話がかかってきて席に担当者がいなかったら「席を外していまして……」といったやり取りって無駄があるなと。個人の電話であれば、すぐにコンタクトとれますからね。
―― オフィスの空きスペースの貸し借りが増えると、社会はどうなると思いますか?
「ちょっと起業してみよう」「ちょっとプロジェクトを始めてみよう」といった動きが取りやすくなるなと思います。また、少し広めの物件を借りるという企業も増えるかもしれません。
なぜなら、会社は余っているスペースをうまく稼働させることができますからね。一方で集まるスペースを探している人たちは、ホテルの会議室とかよりも安くスペースを使えるようになるでしょうし、気分に応じていろいろな会社の空きスペースを使うといった集まり方もできるようになると思います。
課題はセキュリティをどうするか、という点ですが、いまはセキュリティカメラやスマートロックも出てきているので、「スペースを貸せない言い訳」というのがなくなってきているんですよ。すでにイギリスとかだと自分の家を貸し出すサービスがあったりするくらい。そういったセキュリティツールを整えられれば、気分転換に「住む家」を変えるみたいなこともできるんですよね。
―― いま日本のオフィスが抱える課題感はどういったところにあるとお考えですか?
物件のオーナーさんが転貸を嫌がること、です。しかし、不動産会社からしても稼働率が上がりますから、もったいないと思うんです。なのでスペースマーケットが先んじて、不動産の新しい使い方を発信していきたいと思っています。
―― 最後に、スペースマーケットの今後の展望を教えてください。
イベントのプラットフォームになっていきたいと思っています。イベントをやろうと思うと、まず場所を探さないといけませんよね。なので「場所の選択肢」を増やすということが1つ。またイベントは飲食が絡むので、スペースマーケット経由でケータリングなどを予約できるようにしたいと考えています。
その結果、東京都内に限らず、地方でのイベントを盛り上げていきたいと思っていて。都心から地方に人が流れて、お金を落としてもらうという社会をつくっていけたらいいなと。
なぜなら、テクノロジーが進化していてもイベントというのはロボットに置き換えられないんですよ。体験にお金を使う流れがあるなかで、非日常体験の価値を提供できるのは人間だけ。
そのためにも、まずは場所を使って誰でも商売ができる、というのを認知してもらえるようにしたいです。最近もいい物件なのに25年間、誰も使っていなかったスペースがあったんです。なぜかと聞くと「使い方がわからなかった」と。そういった活用されてないスペースを稼働させることのメリットや手軽さというのを、もっと発信していけたらと思います。
(書き手:永田 優介)
昨今「シェアリングエコノミー」が注目を集めているなかで、スペースの”賢い”活用というキーワードが記憶に残るインタビューでした。店舗を営業時間外にミーティングルームとして貸し出したり、事務所の空きスペースを撮影スタジオとして一時利用できるようにしたり。貸す側と借りる側、どちらにとってもお得なサービスで、まさに”賢い”利用に思えます。誰にも使われずに余ってしまっているスペースが、他の誰かにとっては是非使いたいスペースであったりする。世の中に眠っているそんな空間を、今後も沢山発掘できるだろう、と楽しみになりました。
【TABIPPO】テーマは「旅するように働き、生きる」。働き方もオフィスも、社員の“理想”を実現するために改革していく
2018/02/27
「旅で世界を、もっと素敵に」を理念として2014年4月に設立された、株式会社TABIPPO。旅についてのイベント「旅大学」を年間100回以上開催したり、WE...
【エアークローゼット】「airWork」をコンセプトに、企業文化を体現したオフィス。活発なコミュニケーションを生み出す空間へ
2018/04/26
プロのスタイリストが洋服をお届けする月額制ファッションレンタルサービス『airCloset(エアークローゼット)』や、“選ばないお買い物”アプリ『picks...
【アルサーガパートナーズ】“余白”を残したオフィス移転により、コミュニケーションが活性化。全員で作り上げるワークプレイスを目指して
2024/05/13
アルサーガパートナーズ株式会社さまが渋谷マークシティから渋谷サクラステージにオフィスを移したのは、2024年2月。賃貸物件探しでもっともこだわったのは「渋谷...
“ご近所さん”のような距離感で、人々が交わり合う空間を。デザインを通じて緩やかな繋がりを生むコワーキングスペース「flat5」とは
2018/05/15
茅場町にあるコワーキングオフィス&シェアスペース「flat5」。緑あふれる居心地のいい空間が、訪れる人々の心を惹きつけています。一般的なコワーキングスペース...
【atama plus】オープンなオフィス環境と、カルチャーづくりを意識して。AIを活用した学習教材で、教育の未来を変えていく
2019/01/23
AIの技術を活用し、子どもたち一人ひとりに合わせたオーダーメイドな学習教材「atama+」を提供するatama plus株式会社。2018年9月に移転したオ...