HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【SKIYAKI】常識にとらわれない経営で「居抜きオフィス」を選択する理由。大切なのは“モノ”を持つことではなく、働きやすい“場所”をつくること。
「世界中のアーティスト・クリエイターを支援すること」をビジョンに掲げるベンチャー企業、株式会社SKIYAKI。1つのIDで、オフィシャルサイト・ファンクラブ・ECサイト・チケット先行販売などさまざまな機能を管理できるプラットフォーム『SKIYAKI EXTRA』の開発・運営を行うほか、新たなマーケットを生む“FanTech”(“Fan×Technology”を意味する造語)の領域で事業を展開。今年10月26日にはマザーズに新規上場し、今後の成長性が話題を呼んでいます。
そんな上場直後の11月1日、同社は渋谷・道玄坂に事務所を移転。これまでのオフィスは全て、コスト面を意識したうえで、居抜き(前テナントの内装や什器、造作が残っている状態)で借りているのだそうです。同社の働き方やオフィスに対する考えを探るべく、代表取締役社長の宮瀬卓也さんと、創業メンバーでもある経営企画室の石野晋弥さん、そして広報の山田悦子さんにお話を伺いました。(公開日:2017/12/12)
宮瀬:2003年の創業後、これまで代々木、渋谷、渋谷と引っ越しをして、現在3拠点目になります。代々木では小さなオフィスビルのワンフロアを借りていて、なんとか15人くらい入れるほどの広さでした。次に移った渋谷の物件は、ついこの間まで入居していたんですが、もともとビズリーチさんが入られていたところなんです。ワンフロア80人ぐらいの広さでしたね。
宮瀬:いえ、実は特に理由はなくて。たまたま上場がオフィス移転の時期にかぶっただけなんです。オフィス移転は、今年の2月には決まっていました。理由は、メンバーが増えたことで純粋に面積が足りなくなったからです。
宮瀬:この辺りには、国道246号という大きな道路が通っているんですが、通称“レコード通り”と呼ばれるくらいレコード会社が集まっているんです。たとえば、エイベックス・グループさん、Warner Music Japanさんなど、全て246沿いにオフィスを構えています。私たちはエンタテインメント関連の事業を行っているので、最寄りが渋谷駅だと、近隣にあるクライアントさんの社屋への行き来もしやすいので、すごく便利です。
渋谷はもともと音楽の街でもありますし、渋谷区長の長谷部さんが「エンタテインメントの発信地にしたい」と公言されたりもしています。なので、私たちにとってこの渋谷という街にオフィスを構えていることは、とても重要だと考えているんです。
でも一番の理由は、渋谷から近いところに住んでいる社員が多いからですね。駅からの近さに応じて住宅手当を支給しているので、もし全然別の場所にオフィスを移転したら、みんなに怒られてしまうと思います(笑)。
宮瀬:実は、理想のオフィス像というものがないんですよ(笑)。このオフィスも、前テナントであるオークファンさんの居抜き物件なんです。内装や什器はそっくりそのまま使わせていただいていて、机もイスも、何一つ新たに買っていません。
山田:執務スペース内には、ファミレス席のようなボックス型のミーティングスペースがあるのですが、そこもいただいた当時のまま使っています。
宮瀬:はい、毎回居抜き物件を狙っています。今回は、使い勝手の良いレイアウトという点が決め手になりました。1つ前のオフィスもビズリーチさんの居抜きだったので、実は今までオフィス家具を買ったことがないんです(笑)。
宮瀬:特にベンチャー企業は、急拡大の度に移転を繰り返すことが多いので、コストも社員の時間も費やしてしまいがち。なので、私たちはオフィス移転をする際、なるべく広めのフロアを借りるようにしてきました。以前のオフィスは、ビズリーチさんが100人で働いていたスペースを20人で借りたので、移転当初はガラガラの状態でしたね。
石野:以前、「みんなでお花見をしよう!」ということになったんですが、仕事が忙しくて外にお花見をしに行けなかったんです。なので、桜の枝をネット通販で購入してブルーシートを持ち込み、オフィスの余ったスペースでお花見をやったこともありましたね。あと、相撲とかサッカーもやっていました(笑)。
山田:他にも、ゲーム好きな社員は、平日の昼休みにテレビのところでテレビゲームなどをやっていたり。比較的のびのびとオフィスを使っているな、という印象はありますね。
山田:SKIYAKIでは、さまざまなことを投票制で決めています。たとえば、オフィス内のドリンクは無料なのですが、どんな種類のドリンクを入れるかを社員の投票で決めました。
新オフィスのカーペットも、有志の引っ越し委員会がコーポレートカラーのグリーンを基調にした4つの柄の案を提案して、5つの部署が投票する形で決めたんです。コストや柄も重視しましたが、結果的に私たち社員が最も居心地良いと感じられる空間になるようなカーペットを選びました。
宮瀬:どのお弁当の業者さんを呼ぶかや、オフィスファミマの商品ラインナップのリクエストについても、投票などにより社員の意見を積極的に取り入れています。
宮瀬:SKIYAKIが掲げているクレド(志・信条・約束)のなかで、第一条に「笑顔」、第二条に「遊べ、学べ」と謳っていて、仕事の前にまず遊ぶことを重んじているんです。年に3回の長期休暇を設けていて、2017年のGWは9連休、夏季は6連休、年末年始休暇は10連休もあります。
山田:年に数回まとまった休みがあるので、とても予定が立てやすいです。他の社員と遊びや、旅行の計画を立てるのも楽しいですよね。
宮瀬:岐阜にある未来工業さんのように、「日本一休みの多い会社になろう」という試みをはじめたんです。社員のみんなには、休みを使って旅に出たり、思いっきり遊ぶことで、仕事の中だけでは出会えない経験や知識に触れてほしい、と考えています。
宮瀬:ざっくりと部署ごとのスペースだけを決めて、あとはそれぞれで座席の配置を考えてもらっています。
ファンクラブ業務を行う特性上、個人情報を扱うので、社員はUSBキーなどもオフィスに持ち込めないように私物は全てロッカーに入れ、透明のポーチに使うものだけを入れてフロアに入るようにしています。
さらに個人情報を扱う担当者は、セキュリティーロック付きの特別な部屋で、アカウント制限されたPCで業務を行っています。今回の移転で、セキュリティー面の強化のため、個人情報の管理室だけは新しく作りました。
宮瀬:個人情報管理など、固定の場所で行うべき業務ももちろんありますが、今後は働く場所がより多様化していくと考えています。
SKIYAKIでは年内にリモートワークを一部展開する予定で、現在社内のイントラネットを構築中です。これが完成すると、個人の成績やファンクラブのリアルタイム会員数、経理処理など、全ての経営情報を1つのプラットフォームでオートメーション化でき、リモートワークがしやすくなります。
近い将来、持たざるものが強い時代が来るでしょう。企業においては労働生産性と利益率の向上が課題になるため、資産はどんどんスモールにしていく方が効率的です。SKIYAKIのオフィスも、世の中の流れと同じように、「そこに何があるか」ではなく、「誰と何のために集まるか」という本質を大切にしていきたいですね。
(photo:森田剛史/text:横山由希路)
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