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“オフィス”は貸室内にとどまらない。新宿野村ビルの共用ワークスペース「NEON」が挑む、新しい働き方のきっかけづくり

「西新宿」という地名を聞くと、皆さんはまず何を思い浮かべるでしょうか。

空高く伸びる高層ビル群や、足早に過ぎるオフィスワーカー。

どれも、この街の代名詞とも言える光景です。

高度経済成長期に続々と誕生した摩天楼を見上げていると、長らく日本の経済を支えてきた誇りと威厳、そして歴史の重みを感じずにはいられません。

2018年6月、そんな西新宿の一等地にある新宿野村ビルで、「NEON」という新しい概念のワークスペースが誕生しました。

もうすぐ1周年を迎えるこの施設は、入居企業専用の施設でありながら、イノベーティブな働き方が実現できる空間だと話題を呼んでいるのです。

オフィスビル内の共用部としては珍しいこの施設、いったいどのような思いから誕生し、利用者の心を掴んでいるのでしょうか。

NEONの立ち上げに携わった野村不動産の石垣朝子さん(写真中央)と、空間設計を担当したコクヨの花田陽一さん(写真右)、そして現在NEONの運営に携わるコクヨ&パートナーズの鷲見幸代さん(写真左)にお話を伺いました。(公開日:2019/05/29)

【参考記事】新宿野村ビルの食堂&ワークスペース「NEON」に行ってきた!

構想から4年、念願叶って誕生した「NEON」

── 2018年6月に新宿野村ビルでオープンしたNEONですが、まずは立ち上げの経緯から教えてください。

石垣:最初のきっかけは、4階1フロアの改修計画が持ち上がった2014年頃までさかのぼります。もともと食堂や大会議室がありましたが、老朽化が進んでいたフロアでした。

2018年でちょうど竣工40周年を迎えるということもあり、「単なるリニューアルではなく、せっかくなら入居企業さまにとって今一番必要とされているものをつくりたい」という思いがあって。空間づくりにおいて幅広い実績があるコクヨさんにご協力いただき、4年という長い年月をかけて、一緒にNEONの構想を具現化していきました。

── この企画が生まれた背景には、どのような思いがあったのでしょうか?

石垣:リモートワークや在宅ワークなど、働き方の多様化が進むなかで、ビルオーナーとして今一度「オフィスにくる必要性」を再考し、その付加価値を提供したいと思っていました。

近年、「同じ部署の人で固まって働く」という従来のスタイルではなく、さまざまな人達と関わり、シナジーを生み出すようなオフィスレイアウトが注目されつつあります。しかし、入居企業さまの貸室内だけでこれを実現するのは難しい。会社のオフィス内にこもっていると、思考が広がりづらいですよね。NEONはその足りない部分を補い、自然な交わり合いを生み出したり、自由な働き方を実現できる場所にしたいと考えていたんです。

NEONインタビュー_石垣朝子さん

野村不動産・石垣さん

個人的に、新宿というエリアは高層ビルが建ち並び、「働く街」「忙しい街」といったネガティブなイメージがあって。行き交うオフィスワーカーさんを見ていても、生き生きと楽しそうに会社に向かう人は少なく、働くことに対してマイナスの感情を持っているのではないか、という印象がありました。

私たちは本来、世の中がハッピーになるため、自分自身の成長のために仕事をしているはず。それなのに、なぜこうもネガティブな思いで仕事をしなければならないんだろう。このマイナスイメージを払拭するために、ビルオーナーという立場で何ができるだろうか。そんなことを考えたとき、「オフィスビル内の共用空間を通じて、一人ひとりが充実した働き方を実現するためのサポートをする」という一つの解に辿り着いたんです。

NEONインタビュー_西新宿の高層ビル群

── NEONがオープンするまでに4年かかったとのことですが、大変だったことはありますか?

石垣:社内でNEONの企画が通るまでの過程が非常に大変でした。実は、新宿野村ビル4階では過去何度かリニューアルを検討していたようなのですが、いずれも実現には至っていませんでした。一番のネックは、費用対効果が見えづらいこと。オフィスビル運営という観点で言えば、共用部は収益を生まない施設ですから、「そこまでの費用をかけて効果があるのか?」という壁が常に立ちはだかっていたんですね。

そんな高ハードルの改修計画が今回通ったのは、「なんとしてもNEONをつくりたい、つくった先に何かが変わる」という私たちの熱意が大きかったのかもしれません(笑)。あと、新宿野村ビルが満室稼働していたことも一つの要因ですね。新たに賃貸の募集を出すのではなく、既存の入居企業さまにとって必要なものをつくることで、企業成長を後押しし、長く入居いただくための施策に着手できた、という背景もあります。

── 企画立ち上げの段階から、野村不動産さんとコクヨさん共同で企画を進められたそうですね。

石垣:はい。食堂やラウンジ付きの新築ビルをつくる事例はよくありますが、既存ビルを大規模リニューアルして共用のワークスペースを新設するというのは、自社では前例がありませんでした。野村不動産社内でほぼ知見がない中でのスタートだったので、背景にある思いを具現化するために、より専門的な視点での判断が必要だと。そこで、コワーキングや食堂などの空間設計を多く手がけているコクヨさんにお力添えいただき、一緒に企画を進めていくことになったんです。

花田:この企画は、野村不動産さん側とコクヨ側、それぞれ数名のプロジェクトメンバー合同で進めていきました。僕は設計担当として、NEONの企画立ち上げから入らせてもらっています。当初は「フィットネスがあったらどうか?」「託児所があったら便利なんじゃないか?」など、いろいろな意見があって。1フロアという限られたスペースを使い、何をどこまでやるべきかを熟考しながら、半年くらいかけてハード面の検証を行っていきました。

NEONインタビュー_花田陽一さん

コクヨ・花田さん

── 「NEON」という名前には、どんな由来があるのでしょうか?

石垣:新宿なので「ネオン街」を連想される方もいるのですが、実はそうではなく、「NEO」と「ON」を組み合わせた造語なんです。「新しいこと(NEO)や新しい自分を起動する(ON)」という意味が込められています。ネーミングは、「伝え方が9割」というベストセラーを書かれた佐々木圭一さんにご依頼しました。

会社から「だめ」と言われているわけではないが、無意識的に自分の働き方を規制してしまっていることってありますよね。NEONは、ONとOFFのあいだ、ワークともライフとも取れないような過ごし方を許容する場所。「自由に、主体的にやっていいんだよ」というメッセージを表しています。この空間を通じて得た知識や人との繋がりによって、その人の働き方が豊かになり、新しい自分に生まれ変わっていくきっかけになればいいな、と。

花田:NEONという名前は、当初から決まっていたわけではなく、空間設計の構想を練りながら同時並行で決めていきました。おおかたの機能を決め、利用者さまの求めるものがなんとなく見えてきたなかで、「この空間に合う名前はなんだろう」という風にして決めていった形です。

「都会の中の公園」をイメージした、過ごしやすい空間へ

NEONインタビュー_ダイニングの様子

── 開放的でおしゃれな内装が印象的ですが、NEONの空間コンセプトを教えてください。

花田:全体のコンセプトは「Parking Life」。会の中の公園、といったイメージです。ニューヨークのセントラルパークのように、働いている人やリフレッシュする人が同じ空間に居て、それぞれが自由な過ごし方をしている。そんな場所を目指してつくりました。

デザインのコンセプトは「High Contrast & Green Wood」で、公園をイメージしながら内装を設計していきました。自然光が入ってコントラストが効いた雰囲気を出すために、白やダークブラウン、黒などを基調としています。木目の家具も多く入れました。

設計担当としては、“野村不動産さんらしさ”みたいなものを取り入れたいな、と思っていて。新宿の高層ビル街という土地柄も考慮し、カジュアルダウンするのではなく洗練された雰囲気で、ビジネスのワンシーンという印象から離れないように意識しました。

NEONインタビュー_ラウンジの様子

── 置かれている家具は、色や形もさまざまですね。どのように選定されたのですか?

石垣:コクヨさんのショールームも含め、10社くらいメーカーさんをまわって家具ツアーをしました。カタログやネットで見ただけでは分からない、座り心地や質感、色合いなどを確かめたかったからです。チェア一つとっても、実際に自分の目で見たり座り比べることによって、利用者さまが快適に過ごせるものをしっかり選ぶことができたと思っています。

花田:たとえば、こちらの会議室に入れているコクヨの「ing」というオフィスチェアは、座面が前後左右に360度動く商品です。姿勢が変わることで体にかかる圧力が分散されるので、長時間座っていても疲れにくいんですね。また、体が動くことで頭が働き、いいアイデアを出しやすくなるという効果もあります。

NEONインタビュー_オフィスチェア「ing」

会議室で導入されているチェア「ing」

花田:家具選びに関してこだわったのは、クセが強いものではなく、品があるものを選ぶこと。また、会議室とラウンジ、食堂はそれぞれ機能が違いますし、昼と夜で見せる顔も変わってくる。すべての利用シーンを考えながら、利用者さまにとって快適な空間を提供できるよう、一つひとつ決めていきました。

── 7つある会議室のコンセプトもすべて違うと聞き、驚きました。

石垣:会議室に関しては、事前に新宿野村ビルの入居企業さまに何度もヒアリングをして、各社が専有スペースで持っている会議室の数やサイズを確認させていただいたんです。そのうえで、外部で借りなければならない広さや、欲しいけれどなかなか導入できない機能を備えた会議室をつくりました。

コンセプトが一つずつ違うのは、NEONが利用者さまから引き出したい「主体性」ともリンクしていて。利用シーンや用途を分けたり、部屋の雰囲気を変えることによって、主体的に会議室を選ぶという行為が生まれますよね。こうしたきっかけをもとに、自分自身の働き方に対しても、どんどん主体的になっていったらいいな、という思いが込められています。

NEONインタビュー_会議室

── ほかに、空間設計や内装デザインでこだわった部分はありますか?

花田:照明や音響、アロマなど、こだわりはたくさんあります。なかでも特徴的なのは、NEONのさまざまな場所に散りばめた動物のモチーフやアートです。これも、NEONのコンセプトである「Parking Life」にもとづいています。

公園って、銅像があったり大きなモチーフがあったりして、パブリック・アートと必ずセットになっているんですよね。NEONは、ラウンジ・ダイニングともに白や黒を多用していて、シンプルなデザインになっているので、アートだけが色付き際立っている状況を作り出すことで、より公園らしさを演出できるだろう、と考えました。

NEONインタビュー_リスのモチーフ

ダイニングにあるリスのモチーフ

NEONインタビュー_トイレ壁面のアート

トイレの壁面に描かれたアート

石垣:動物のモチーフやアートに関しては、正直プロジェクトメンバー内でも意見が分かれました。正解がないうえに、効果を数値化できないからです。ただ、実際に入れてみると思った以上に利用者さまからの反応がよくて。遊び心や安らぎや、愛着を感じてもらえるような空間になったと思います。

利用者の主体性を引き出し、「自分の居場所」と思ってもらえるように

── NEONがオープンしてから約1年ですが、利用者さまからの反応はいかがですか?

石垣:ありがたいことに、利用者さまからの評価はとても高いです。なかには、「快適すぎてこのビルから出られなくなっちゃう」みたいな話をしてくださる入居企業さまもいらっしゃって。

ほかにも、新卒採用がしやすくなった、社員同士のコミュニケーションが増えたなど、さまざまなお声をいただきました。なかなか数値化しづらい部分だとは思いますが、多くの方にご満足いただけているようで、ほっとしています。

鷲見:私は現在、野村不動産さんと一緒にNEONの運営に携わっています。利用者さまを間近で見ていて感じるのは、想定以上に会議室の需要が高いということですね。これまでは外部で借りなければならなかった規模の部屋を、同じビル内で押さえることができるので、とても便利になったという声をよくいただきます。

NEONインタビュー_鷲見幸代さん

コクヨ&パートナーズ・鷲見さん

鷲見:ダイニングは夜の貸し切り予約ができるのですが、こちらもさまざまな用途で使われています。とある企業の社長さまが弾き語りの社内イベントを開いたり、またある企業さまはマジックショーを開催したりと、実にバラエティ豊かです。

ラウンジは、社員の方々が飲み会前に0次会として集まっていたり、朝活でお勉強をされている方がいらっしゃったりと、こちらも自由に使っていただいています。

── 運営上、工夫されていることはありますか?

鷲見:2019年に入ってから、コンシェルジュカウンターを新設しました。利用者さまが気軽にコンシェルジュに相談できるようにするためです。ご相談としては会議室利用関係が多いのですが、最近は「こんなイベント開きたいんだけど、どのようにしたらいいですか?」といった感じで具体的にお話してくださる方が増えて。運営側としても、単にお部屋を用意するだけでなく、より深くサポートさせていただけるので、とても嬉しいですね。

あと、月1の企画としてNEONでイベントを開催しています。初年度はワーク系よりライフ系の企画を多く打つことで、より参加しやすく感じてもらえるように工夫しています。同じビルで働いているけれど繋がり得なかった人同士が、イベントを通じて知り合い、共通の趣味を発見したりすることで輪が広がっていったらいいなと思っています。

NEONインタビュー_イベントの人気投票

取材当日は、イベントの人気投票が行われていました

── さまざまな仕掛けをされているんですね。利用者さまへのアンケートなどはよく実施されているんですか?

石垣:はい。嬉しいことに毎月20件ほどリクエストをいただいていて、すべてに目を通しています。コクヨ&パートナーズさんと一緒に、寄せられたリクエストを参考にさせていただきながら、ライブラリに並べている書籍のラインナップを変えてみたり、新しいイベントを企画したりしています。

鷲見:コンシェルジュのスタッフも日頃からアイデアを出してくれるので、常に新しく挑戦したいことが出てきますね。新宿野村ビルに入居している企業さまは、業種も会社規模も多様で、その分NEONの利用者さまの層も非常に幅広いんです。皆さんにとってベストなものは何か?を考えつつ、日々実験やトライを繰り返しながら運営しています。

NEONインタビュー_ダイニングのスタッフさん

── それでは最後に、今後NEONがどのような場所になっていって欲しいか、皆さんのお気持ちを聞かせてください。

石垣:今はコクヨ&パートナーズさんと野村不動産とでイベントを手がけていますが、ゆくゆくは私達が企画せずして利用者さまが自由にイベントを実施するくらいに、主体的にこのNEONを活用してもらえたら、と思っています。私たちはバックヤードで、企画や集客のお手伝い、運営のサポートなどをしていくイメージですね。

今私たちが仕掛けているイベントは、「NEONはこんな使い方ができるよ」「自由にやってもいいんだよ」という一例を利用者さまにお見せするためのものなんです。イベントを通じて利用者さまのワークやライフを豊かにするだけでなく、「こんな使い方したいな」という意欲であったり、主体的に動き出すきっかけをつくっていきたい。NEONは、新宿野村ビルのものというより、利用者さま自身のものなんですね。

そして、いつしかこのNEONがオフィスや住宅と並列の関係、つまり「自分の居場所」と思っていただけるようになったらいいなと。自分がしたいことを主体的に取り組める環境を提供し、「何か新しいことに挑戦したい」という思いを引き出すためのきっかけを、今後もたくさん散りばめていきたいです。

花田:NEONを設計しているときから一番大事にしていたのは、いつでもふらっと立ち寄れて、愛着を感じられる場所にするということ。石垣さんがおっしゃったように、まさに「自分の居場所」と思ってもらえるようになったらいいですね。

そして、5年後、10年後にも、いまと同じ新鮮な感覚で使える場所であってほしい。時間の経過と共に古くなっていくのではなく、常にアップデートして変わり続けていくことが大切だからです。NEONはつくって終わりではない、「生きている場所」なんですね。

利用者さまがNEONで得た知識やアイデアを、自分のオフィスに持ち帰って実践してもらえたら、こんなに嬉しいことはないなと。そのきっかけとなるためには、NEONは常に新しく、最先端を体験できる場所であるべきだと思っています。

鷲見:NEONは、2019年6月にオープン1周年を迎えます。これまでは施設を日々正常に稼働させて、滞りなく運営することを目標としていましたが、これから目指すべきは大目標である「利用者さまのための場所」にしていくこと。利用者さま自身の成長に寄与できるよう、きめ細やかなサービスを提供していきたいと考えています。

コンシェルジュやカフェスタッフからも、NEONをより良くしていくためのアイデアがたくさん出ていて。利用者のみなさまにとって過ごしやすい環境をつくるために、あらゆることにチャレンジして、日々歩みを止めずに進化し続けたい。それが、運営スタッフ全員に共通している思いです。これからも「かゆいところに手が届く」サポートをしつつ、利用者さまのポジティブな感情を引き出していくことで、新宿野村ビルで働くことの新しい価値を届けていきたいですね。

NEONインタビュー_トーク風景

(photo:森田剛史/text:澤木香織)

*NEON公式サイトはこちら

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