HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【SHEworks】私らしさが、私だけの仕事をつくる。新しい時代を生きる女性が、働く環境に求めるものとは
(photo:服部健太郎/text:澤木香織/edit:梁原立寛)
突然ですが、あなたの会社は女性にとって働きやすい職場ですか?
日本における女性労働者の割合は、年々増える一方。今や全労働人口の40%強を占めるそうです。
初の女性都知事誕生が話題になったり、女性が活躍する企業ランキングが発表されたりと、女性の社会進出は現在でも多くの注目を集めていますね。
今の時代、働く女性って本当にみんな頑張り屋さんだと思うんです。
男性と肩を並べて働くためにも、仕事はいつだって全力投球。家に帰ると家事や育児に追われて、あっという間に一日が終わる。でも、ファッションや美容だって手を抜きたくないし‥‥。
そんな忙しい毎日に心が疲れてしまったり、もっと好きなことに没頭する時間が欲しい、と悩む女性も少なくないでしょう。
そんな中、初の女性専用のコワーキングスペース「SHEworks」が、2017年9月に表参道でオープンしました。従来のコワーキングスペースと違って、女性にとって嬉しいサポートが充実していることから、SNSを中心に話題を呼んでいるというのです。
女性が活躍する新しい時代において、働く環境は一体どうあるべきなのでしょうか。そのヒントを探るべく、「SHEworks」を手がけるSHE株式会社の代表取締役社長 中山紗彩さんにお話をうかがいました。(公開日:2017/10/05)
「SHEworks」は女性のための会員制コワーキングスペースで、フリーランスや起業家の方などを中心とした、21世紀を生きる女性たちに向けたサービスです。一般的なコワーキングスペースに比べて、「女性入居者の方々にとって働きやすい環境」をより深く追求しており、現在弊社が運営している事業「SHElikes」「SHEloves」と密接に関わっています。
「SHElikes」は、自分の好きなものを見つけるため、ライフスタイルからキャリアまで様々なレッスンを受講できるレッスンクラブ。「SHEloves」は、好きなことをより深掘りして専門化し、ビジネススキルにしていくためのレッスンを受講できるトレーニングクラブです。そして「SHEworks」は、こうした専門性を活かして働く女性たちにとって充実した環境を提供するためのコワーキングスペースで、「SHElikes」や「SHEloves」で提供しているサービスも割引価格でご利用いただけるようになっています。
特にフリーランサーの方は、日々アウトプットをすることで精一杯になってしまい、中々自分の専門以外の学びを得る機会がない、という声をよく聞きました。上記レッスンクラブの併設でこうした課題を解決するような仕掛けをつくっています。様々な人との交流が促進されるような工夫をしたり、入居者の方々が理想の働き方をできる環境をつくっていこうと考えています。
きっかけは、SHE株式会社の立ち上げ時まで遡ります。私たちは、会社のビジョンである「ひとりひとりが自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を作る」を実現するために、今私たちが取り組むべきことは何か、という軸で事業を考える姿勢を大切にしていました。 SHE株式会社は、私を含め役員が3人とも20代後半~30代前半で、うち2人が女性。そこで、まずは同世代の女性が今抱えている課題の解決に焦点を当てることにしたんです。
私が小中学校に通っていた10~15年前は、まだ女性が男性と同等に働くという概念が希薄だった時代。両親や世間が言う「いい会社」に就職して、結婚したら仕事をやめて、家庭に入る。そんな価値観が標準だと思っていました。
いつしか時代は変わり、男女平等や女性の社会進出が叫ばれるようになりました。周りの友人たちはみな、就職活動を目前にして困惑した様子でした。単なる“ライスワーク”としか捉えていなかった仕事を何十年も続けるなんて、どう向き合っていけばいいのだ、と。ましてや家庭と両立しながら、それをどう実現させていくべきなのか、と。
今や副業・兼業も容認される世の中ですから、せっかくなら自分の好きなことを仕事にして、やりがいのあるライフワークを見つけたい。でも、その一歩をどう踏み出したらいいかわからない、という声が多かったんです。こうした友人たちの声をきっかけに、女性が自分にしかない価値を発揮し、生き生きと働けるための支援をしたいと思いました。
運営側の意見だけだと主観に偏ってしまうので、多くの方の声を聞いて、その声を元に議論することを大切にしています。
「SHEworks」開設にあたっては、自分たちで色々なコワーキングスペースを回って調査しながら、実際に利用している方にヒアリングをしたりして、のべ200名以上の女性の声を聞いていきました。
特に多かった意見は、従来のコワーキングスペースは場所の提供どまりで、それ以上のメリットがないということ。それなら家やスタバで仕事するのと一緒なんですよね。せっかくお金を払ってコワーキングスペースに入居するのであれば、自分の事業がスケールする支援や、ライフスタイルが豊かになるような支援が欲しい、という声が多く寄せられました。
女性のための新感覚コワーキングスペースとして、主に3つの特徴があります。
1つめは、女性のための快適な空間。一般的なコワーキングスペースというのは、一見オシャレな造りにはなっているけれど、男女両方に向けてつくられているもの。女性だけをターゲットにしている空間ではないんですよね。女性に喜んでいただけるような内装にするなど、そこに来るだけで働くのが楽しくなるような空間を意識してつくりました。
2つめは、女性のためのコミュニティ。女性が自分の”好き”を仕事にするという文化は次第につくられつつありますが、それを実践している人はまだまだ少数です。リスクをとって挑戦する女性同士が同じ場所に集まり、交流や協業が促進されるようなきっかけをつくりたいと思っています。
「SHElikes」のイベントとして起業家や投資家、メディア関係者を呼ぶなど、入居者の方にとってプラスになるような出会いをつくっていきたいですね。
そして3つめは、女性のためのライフスタイル支援。入居者さまが思いきり仕事に専念できるよう、育児、食、ファッション、美容などの面で幅広いサポートを行っていきたいと考えています。仕事以外の時間でこれらすべてを自力で成し遂げるのは、なかなか大変ですからね。仕事とプライベートどちらも全力投球したい女性のために、今後も様々なプランを展開していく予定です。
当初は「情報感度・ファッション感度の高い人」というペルソナ設定をしていたので、ほぼ表参道の一択でしたね。他には、アクセス面で3路線以上通っていたり、駅から徒歩5分圏内など利便性が良いという点も重視していました。そんな贅沢な要素を満たした上で、大通りから一本裏に入っていて静かという加算ポイントもあったりして、とっても気に入ってます。
「21世紀を生きる女性のためのサービス」なので、最初はこの層に人気のミレニアルピンクを使おうか、という話もあったんです。ですが、色々な方にヒアリングしていると、「ピンクだと入りにくい」「落ち着かない」「女性感がありすぎて、そこに所属してるってことをあんまり言いたくない」などの意見をいただきまして。
そこで、女性らしさを保ちながらも、少し中性的な雰囲気ということで、グレーを基調とした内装にしました。室内は土足禁止にして、まるで家のようにリラックスできる空間にしています。
「来ることがとても楽しみになる」「静かでリラックスできて穏やかな気持ちで働ける」という空間に対する声をいただいています。
また、「SHElikesで様々な学びを日々得たり、気分転換をして楽しみながら働けている」「入居者同士の交流で新しい協業も生まれそうで楽しみ」という提供コンテンツに対する反応もいただいています。
「自分らしくいられること」なのかなと思っています。集中できたりリラックスできたりすることはもちろん、自分の価値観を表現して笑って泣いて怒れる、色々な感情を表現できる場所。孤独感を抱えることなく安心感があって、仲間と共に前進できる場所。お互い高め合って価値の発揮に夢中になれる場所。
大分抽象的ではありますが、こういった要素を保有した場所が存在して欲しいなと思ってこの「SHEworks」を作っています。ひとりひとりが自分にしかない価値を見つけ、生かし、それで生きる。ひとりひとりが自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる。そんな場所にしたいと思っています。
「SHEworks」については表参道に第一号拠点をオープンしたばかりですが、まずは東京都内を中心に拠点数を増やしていきたいと考えています。複数拠点を行き来できるようなプランも作って、ご自身のライフスタイルに合わせて、働く場所も自由に選んでいただけるようにしたいですね。
ここ何年かで、自分の好きなことを仕事にするハードルは確実に下がってきています。しかし、こうした事実はまだまだ世の中で一般的ではなく、世間で十分に浸透するにはもう少し時間がかかると思っています。
社会を変革するためには、サービスの規模を拡大していく必要があります。
今後もとにかく真摯にユーザーの声に耳を傾けながら「ひとりひとりが自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中」を一緒につくっていきたいです。
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