
【Roaster】デザインの着想は映画から。新しいアイデアを生み出すための“風通しの良い”オフィスづくり
人気女性誌やティーン誌をはじめ、様々なメディアのコンテンツ制作を手がける株式会社ロースター。常にクリエイティブなアイデアを生み出す彼らのオフィスには、内装や立地など随所にこだわりが詰まっています。
最初のオフィスを北参道に構え、神宮前、富ヶ谷と移転してきた同社。代表取締役の大崎安芸路さんに、物件の探し方や内装のポイント、今後の展望を聞きました。(公開日:2018/03/16)
チェックしたのは100件以上! 妥協ゼロの物件選び

── 現在までのオフィス遍歴を教えてください。
10年前に会社を設立したのですが、最初にオフィスを構えたのは北参道です。仕事柄、表参道や原宿エリアで取材や撮影をすることが多いので、その辺りへのアクセスがいいことを第一に考えました。当時は東京メトロ副都心線が開通したばかりで、「最近できた副都心線の『北参道駅』の近くです」と、初対面の方との会話のきっかけにしやすいなと思って、最初のオフィスを北参道に決めました。
エリアを決めてからは、かなりこだわって物件を探しました。北参道駅周辺だけで100件以上はチェックしたと思います。不動産屋でマンションの名前を聞いたら、「ああ、あそこね」ってわかるくらい(笑)。最終的に、大使館の方々が住んでいたというマンションをリノベーションした物件を借りました。
北参道には4年いて、その後神宮前へ移って5年、そして今(富ヶ谷)に至ります。3つの共通点は、どれも市場に出る前の、リフォーム前の物件でした。

── エリアへのこだわり、立地に求めるポイントを教えてください。
表参道・原宿エリア周辺というのは大事なポイントではありますが、それ以上に重視しているのは、“緑(自然)があるかどうか”。オフィスの窓から見える景色も、空間の心地よさを決定づける大事な一要素だと思っています。
立地の話とはちょっと違いますが、いい物件に出会うコツは、街を歩いて探すこと。気になる物件を見つけたら不動産屋に問い合わせれば、まだ出回っていないものでも内見させてもらえるかもしれません。
今の富ヶ谷のオフィスは、もともと有名な映像スタジオとして使われていた場所です。4.5mと天井が高いことと窓が大きいこと、そしてこの富ヶ谷を中心とした「奥渋」の雰囲気が決め手でした。まだ内見のときは映像スタジオのままだったので、窓も全て塞がれた防音遮光の密室でした。そこからスケルトンにしていただき、自分たちで基礎工事含め、一から内装のデザイン、施工を行いました。
デザインのインスピレーションは映画から

── オフィスのデザインはどのように決まったのですか?
最初のコンセプトはいつも僕が決めますが、そこからのデザイン&設計は、15年来の友人でもある、デザイナー佐々木玲氏にお願いしています。これまでの3物件とも、彼の作品です。
デザインはそのときに好きな映画から影響を受けることが多いです。例えば、最初の北参道のオフィスは、映画『かもめ食堂』に出てくるカフェをイメージしました。バーカウンターを作ったり、オフィスっぽさをできるだけ出さないように「備品に黒いものを使わない」というルールを決めて、パソコンや椅子の足も白ベースのものにこだわりました。何かものを作るときは、逆にルールで縛った方が面白いものができるんですよね!
今のオフィスは、映画『マイ・インターン』のオフィスをイメージしました。劇中のアン・ハサウェイが社長を務めるオフィスは、古い印刷工場をリノベーションしたという設定なのですが、天井が高く、窓が大きくて、白を基調としながらもインダストリアルな味が残っていて、とても気持ちがいいんです。
── 設計のこだわりポイントは?
僕は、物理的にも気持ちの面でも、「風通しが良い」ということを大事にしたいと思っています。なので、オフィスの設計においても、日当たりや窓からの景観が気持ち良いかどうか、人の流れが活性化するかなどを意識しています。バーカウンターやカフェのような打ち合わせスペースも、風通しの良い雰囲気を作るためのこだわりです。
人の流動性が新しいアイデアを生み出す

── 移転後、社員の方々や外部の方からの反応はいかがですか?
最初は、「こんな広いとこ借りて大丈夫?」と心配そうな声も聞こえてきましたが(笑)、実際にオフィスが出来上がると、みんな喜んでくれました。
スタジオもあるので社内で撮影をしたり、バーカウンターで仕事をしたりと流動的に動けるので、人の流れが活発になりましたね。外部の方を呼んで、バースペースでイベントを開催することもあります。
オフィスに活気があると新しいアイデアも生まれやすくなるので、思い切って広いスペースを借りてよかったと思います。
── オシャレであることと使いやすいことって、両立しづらかったりしませんか?
デザインを仕事にしていることもあり、「デザイン = 機能性を兼ね備えたもの」でなければならないと考えています。オフィスのデザインにこだわったのも、ただ単に「おしゃれにしたい」というわけではなく、空間を広くとることで風通しをよくするとか、アイデアが出やすい雰囲気を作るとか、「ここで働くのは気持ちいいな」と思ってもらうためです。
「おしゃれだけど使いにくい」というのはデザイン本来の目的に反してしまうので、そのようなことがないように普段から気をつけています。
人が集う、サロンのような空間へ

── 御社にとってオフィスとはどんな存在でしょうか?
“発信”のベースになる場だと思っています。「奥渋」と呼ばれるこの辺りのエリアは、カフェや飲食店のレベルも高く、現在国内外から注目されているエリアです。
そういう場所からおもしろいものを生み出すために、このオフィスは人が集まる・行き交う場所であるべきだと思っています。気持ちよく仕事をする場所であることはもちろん大前提としてありますが、クリエイティブな社交場としてのサロンのような場にしていきたいですね。
── 最後に、今後の展望を教えてください。
会社を始めて10年が経ち、オフィスが変わるとともに仕事の内容も変化してきましたが、僕らが作り続けてきたのはメディア&コンテンツ。おもしろいメディアやコンテンツを作って、これからも発信し続けていきたいという気持ちは変わりません。
雑誌やWebメディアに限らず、おもしろいものを作るために大事なのは、“何を作るか”よりも“誰と作るか”。そのために、このオフィスに素敵な人たちが集まって、自然と交流が生まれる場所に育てていきたいです。
(photo:森田剛史/text:バンブーボンバーズ)

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