HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【Retty】移転先はグルメなエリアで。サービスを日々発展させるためのオフィス戦略──CEO・武田和也氏インタビュー
日本最大級の実名グルメサービス「Retty」。提供しているRetty株式会社が、麻布十番に新たなオフィスを構えました。これは、創業7年目にしてすでに6回目のオフィス移転。短いスパンでオフィス移転を繰り返すのには、一体どのような理由があるのでしょうか。そこには、CEOである武田和也さんが思うサービスへのこだわりが関係していました。(公開日:2017/09/19)
2010年の創業時は、赤坂のマンションの一室でスタートしました。このエリアなら、いい人材を見つけやすいんじゃないかと思ったからです。僕の自宅兼オフィスというかたちで、広さは5畳半ほど。そこに5人ほどのメンバーがすし詰めになって仕事をしていました。
それから10か月くらい経って、VCから出資を受けられることになり、インキュベーション施設に移りました。さすがに自宅をオフィスにするのは限界を感じていたので(笑)。次の物件が見つかるまでの仮のオフィスとして3か月ほど入居しました。
次に移転したのが六本木。まだマンションの一室でしたが広さは倍の10畳ほどありました。ここにも10か月くらいいましたね。そして、次に移転したのが築地です。決め手となったのは、おいしいお店が立ち並ぶ銀座エリアに自転車で行けることでした。
築地で1年2か月ほど過ごしたあと、はじめてオフィスビルの中に入居したのが広尾です。会社が急激に成長しはじめたのもこのころで、1年半で手狭になり高輪に移転しました。オレンジ色のエントランスが特徴的なオフィスで、入居期間は少し長めの約2年間。
そして今年の6月に、現在の麻布十番オフィスに移転しました。
様々なエリアでおいしいお店を開拓したい、というのはありますね。Rettyのビジョンは「食を通じて世界中の人々をHappyに。」すること。だからまずは、サービスを作る自分たちがおいしいものを食べに行かなければならないと思うんです。築地に移転したころから、場所選びにはそういう狙いもありました。
会社の制度のなかにも、その狙いは取り入れていて。月に一度、値段の上限なく好きなものを経費で食べられる「グルメ調査費」や、他部署のメンバーと一緒に出かける際のタクシー代を会社が負担する「ランチタクシー」といった制度を設けているんです。
まだ制覇していない都内のグルメエリア、と考えたときに麻布十番かなと。あまり企業がオフィスを構える場所というイメージがなかったのですが、移転を考えだしたとき、今回入居したオフィスビルの竣工のタイミングが一緒で、ちょうどよかったこともあります。
実際、麻布十番周辺は、老舗のお店からニューオープンのお店まで、おいしいところが多くて、「Retty」にもたくさんの口コミが投稿されています。しかも東京の真ん中なので、利便性もばっちりですね。
一番のこだわりは「Retty」のサービスとしてのイメージを踏襲すること。だから、エントランスは木目調を活かしたカフェのような雰囲気にして、来社した人にあたたかくオープンなイメージを持ってもらえるようにしています。
それと、いろいろな人にRettyを訪れてもらえるように、イベント用のスペースを設けました。社外の方を招待しておいしい食事を振る舞う、月に1度の「イイゴハンの会」もこのスペースで行っています。
自分たちが何のためにサービスを作っているのか、常に意識できるような環境にしておくことで、社員のモチベーションが変わると思います。エントランスに大きく「食を通じて世界中の人々をHappyに。」というビジョンを掲げているのもそのためです。
今回の麻布十番オフィスでは、常にユーザー視点のサービス開発ができるよう、ユーザーさんたちが笑っている写真やいただいたプレゼントを目立つところに飾っています。
また、世界展開を目指すにあたり、壁一面に世界地図の絵を描いたり、各会議室の前には社員が自らRettyに投稿している世界の名物料理の写真を飾ったりしています。社員には常に世界を視野に入れながら仕事をしてほしいので。
現在はアジアを中心に展開していて、順調に広がりを見せています。今後は欧米にも徐々に進出していく予定です。ただサービスのモデルとして、質のいい口コミを集めていかなければならないので、一朝一夕でできるものではありません。今、担当者が月の半分ほどは現地に赴き、市場調査をしたり、イベントを開いてグルメの領域で発信力のある方々を集めたりしている段階です。
たとえば、オープンなスペースでは、隣の人との距離が一定以上離れて座れるような配置にしています。そうすると、自分のスペースとして認識できて、集中力が上がるんだそうです。
また執務スペースの壁をホワイトボードにしたり、スタンディングデスクを設置したりすることで、わざわざ会議室まで行かなくても、ディスカッションがしやすい環境を整えています。
それと、これは「働きやすさ」とは言えないかもしれませんが、代表の僕自身があまり決まった場所で仕事をしないようにしています。高輪のオフィスが手狭になったころには、ダンボールの上で仕事をしていましたし(笑)。場所にとらわれずオープンに働くことを僕自身が体現できていると思います。
全員が「User Happy」というRettyの行動規範を体現することです。自分たち自身がいろいろなお店にでかけ、その情報をRettyのサービスに投稿するのも、その一例です。そうやって、ユーザーさんの気持ちや求めるものが自分ごととしてわかるからこそ、「食を通じて世界中の人々をHappyに。」というビジョンを達成していけると信じています。
(photo:森田剛史/text:近藤世菜)
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