HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【CRAZY】オフィスも働き方も、自分たちの手で創っていく――CRAZY WEDDING創設者・山川咲さんインタビュー
長年強固にフォーマット化されていたウェディング業界に一石を投じて世間の注目を浴びる、株式会社CRAZY運営のオーダーメイド結婚式『CRAZY WEDDING』。
「個人の力はたかがしれている。自立した個人が集まってこそ偉大なことができる」と語るCRAZY WEDDINGの創設者・山川咲さんに、理想的な働き方や組織についてお話を伺いました。(公開日:2017/04/25)
私たちの事業は、元々ある事業をより本質的なもの、理想的なものに再定義することです。世の中に対して、理想的な生き方、事業のあり方を提案しています。ウェディング事業もそのひとつ。人が人間らしく、意志をもって自分の人生を生きていくということをビジネスで表現しようとしたときに、対象となったのがウェディングだったんです。
これまでの結婚式は非常にフォーマット化されていました。真に人生を向上させるには、あまり理想的ではないなと。そこで再定義したのがオーダーメイドの結婚式『CRAZY WEDDING』。まず、結婚する理由やどんな人生を歩んできたかという背景、ゲストはどういう存在で何を伝えたいか、などの詳細なヒアリングから始めます。そこからライフエピソードを引き出し、おふたりだけのコンセプトを考えます。
私自身、結婚式は人生が変わるほどのインパクトがありました。大勢の人に支えられて、これからの人生をこの人と生きていくと宣言する、圧倒的な思い出が残る体験であり、人生の礎になるシンボリックなもの。だからこそ、理想の未来からみたウェディングというものを再定義したいと思ったんですね。
新しい時代を生きる人たちのために、幸せに働いて幸せに生きるプラットフォームをつくりたい。それがビジネスとしても世の中に良い循環を生み出していけたら、というのが私たちの考え方です。そしてそのために、新しい職場・組織と経営のあり方を開発・発明しようとCRAZYを立ち上げました。
今いちばん重要だと感じているのは、”場づくり”です。人が豊かに生きるプラットフォームを支えるのは、「カルチャー・人」「システム・環境」「事業・ビジネスモデル」という3要素だと私たちは考えています。組織として、こうした理念や考え方を実感できる場をつくることはとても重要で、さらに目の前に存在する人を信頼できることも大事だと思うんです。
「毎朝の朝礼」「毎日全員と握手する」「毎日全員でランチを食べる」など、実感を持てるための場づくりです。一般的に職場では、感情を出さず当たり障りなく接することが重要視されます。でも、私たちは共に生きていくと決めた、自立した個人が集まった組織なので、感情的なことでも仕事を成し遂げるために必要ならちゃんと伝え合い、受けとめ合います。そういう人間関係があって初めて、世界を変えるような創造的で生産的な仕事ができるし、自分自身も進化し続けられるから――。
たとえば、ランチ。ビジネス上では必要がないことを話します。その日偶然隣の席になった人と「最近どう?」「何か悩んでる?」とかそんなこと(笑)。
未来のために自分の枠を超えて、もっと偉大な仕事をしたいと集まっているのがCRAZYです。その仲間が弱っていたり自分の人生を偽っていたら困ります。だからこそ個人的な部分にもどんどん踏み込んで話していく。そういう付き合いが必要だと思います。短期的なビジネス視点では非生産的かもしれませんが、長い目でみれば生産性に大きく関わる、人間として非常に重要なことだと思っています。
理想は人によっても年齢や能力によっても変わるので、ロジカルには理想の働き方は存在しないと思います。だから、仲間と理想について語り、「共通理想」をつくっていくことが大事。違いを認めたうえで、成果を出したいとか成長したいという共通理想を引き出し、それを実現するための新しい制度や働き方を開発できたとき、初めて自分たちの理想の働き方になるんですね。だから、理想を語り合える場が最善の組織につながるし、その場こそがオフィスだと思います。
年1回年末に、2週間すべての業務をストップして全社員で共通体験をする「全社員企画」という企画があるのですが、その企画として、「境界線があいまいなオフィス」というコンセプトでオフィスをリノベーションしました。自分たちで床もやすりをかけて磨きましたよ(笑)。天井にみんなでペイントしたり、新しく壁をつくったり。10日間かけてみんなでリノベーションをしたので、メンバー間のコミュニケーションもたくさん取れました。会社が用意したオフィスではなく、自分たちが創ったオフィスなので、みんな自分の家のようにくつろいでいるし、何より思い入れがあるんですよね。仕事に対してもより主体的に取り組めるようになり、生産性が高まったと思います。
個人的に、私はオフィスには、人生のすべてがあると思っています。労働、食、人間関係、自分の成長、いろんなものが詰まっているから。でも、一般的にオフィスってただ人が集まって働いて帰っていく場所でしかないと思います。私たちは、そんなフォーマット化されたオフィスのあり方を再定義したいんです。オフィスという場で、働く一人ひとりにとっての理想の働き方を創っていき、自立した個人が集まって偉大な仕事を成し遂げる。私たちが、そんな新しい世界の始まりになれたらいいなと思っています。
(書き手:新川 五月)
2年前にオフィス移転のお手伝いをさせて頂きました。CRAZYさんが入居する以前は、繊維会社の倉庫として利用されていたこちらの物件。ベルトコンベアが1階から3階まで貫いていて、内見時の衝撃は今でも鮮明に覚えています。まさかここまで素敵なオフィスになるとは想像もしていませんでした。いきいきと働かれている皆様のご活躍を楽しみにしています。
「オフィスは人生の目的を叶える場所」という考え方が素敵で、非常に心揺さぶられるインタビューでした。ビル1棟をまるごとリノベーションするという大胆な試みは、普通の会社ではそう体験できないことだと思います。案内していただいたオフィスは内装がおしゃれなだけでなく、手作りしたからこその愛着や、働き方・生き方に対する強い思いが感じられました。幸せに働き、幸せに生きるプラットフォームが、今後世界中の会社に広まっていったらいいなと思います!
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