HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【ココナラ】6年間で7つのオフィスに移転「スタートアップで同じ場所に1年半いるなんて恥ずかしかった」代表取締役・南章行氏インタビュー
「見たい社会を見たい、と思ってベンチャーをやっている」
そう語るのは、株式会社ココナラの代表取締役・南章行氏。2011年に創業し、6年間で7つのオフィスに移転してきた同社は、スタートアップとして同じ想いを抱くメンバーと共に急成長をしてきました。そして2017年1月には渋谷から五反田へ移転し、事業をさらに加速させるためのこだわりが詰まったオフィスへ。
そこで今回、同社のオフィス遍歴から現オフィスのこだわりポイントまでを伺いました。(公開日:2017/07/11)
2011年に創業し、この6年間で7つのオフィスを借りています。最初は大塚にあるオフィスを無料で借りまして、5ヵ月くらいいましたね。そのときはまだ『ココナラ』というサービスをやることは決まっておらず、リサーチ期間としての5ヵ月でした。
そして『ココナラ』のビジネスをやろうと決まったタイミングで、たまたまソウ・エクスペリエンスの代表が「五反田でコワーキングスペースをはじめたんですよ」と教えてくれて、半年ほどそのコワーキングスペースにいました。鍵も仕切りもない場所で、すごくオープンな環境でしたね。
その後、ベータ版としての『ココナラ』ができあがり、スタートアップとして狭くて密度が濃い場所が必要だなと思ったんですね。そこでオフィスを探し始めるのですが、なかなか審査が通らなかったんですよ。ただ、47さんに紹介してもらった物件で審査が通り、2012年6月に渋谷・桜丘側のオフィスを借りました。最後は11坪で8人、トイレの壁もベニヤという、ギリギリの状態でしたね(笑)。
そこには1年近くいて、その間にサービスも本格リリース。人数も増えて、次も渋谷のオフィスに移転しました。
4つめのオフィスは20坪で最大16人ほどだったのですが、「1つの机を1人で使うのはもったいない」と詰め詰めでデスクを使ったり、ひとり風邪を引くとみんな風邪を引く状態で(笑)。さらに広いところに移転しようと(笑)。
5つめのオフィスは渋谷・宇田川町で40坪のオフィス、6つめは桜丘で79坪のオフィスと渋谷エリアで移転を繰り返してきました。そして「次は160坪ほしい。しかし渋谷は高いから無理だな」ということで、2017年1月からいまの五反田にオフィスを構えた、という流れですね。
スタートアップなのに、同じ場所に2年いるというのはあんまり、と思ってます。5つめのオフィスのときは1年半いたのですが、「俺たち成長してないじゃん」と、ちょっと恥ずかしいと思っていました。1年くらいで倍くらいのサイズのオフィスへ移る、それくらい急成長していないとスタートアップとしてはダメだなと。
理由は3つあって、1つは渋谷は活気がある街なので、スタートアップには向いていると思うんですね。青山も検討したのですが、青山は落ち着きすぎていて。やっぱり渋谷だなと。
2つめの理由は、採用がしやすいとうこと。スタートアップに入社を希望する人は、「前職も渋谷でした」という人が多いんですよ。しかも、渋谷が嫌だ、というベンチャー系の人間は少ないと思うので、採用がしやすいエリアでした。
そして3つめは、ベンチャー企業の歴史的な要素もありますが、「渋谷は、審査が通りやすい物件が多い」ということですね。これが一番の理由です。他のエリアでは、ベンチャー企業だと審査が通らない物件も多いんですよ。
だから渋谷のベンチャー企業ってまず桜丘のオフィスいって、次に道玄坂のオフィスいって、のような「ベンチャー企業の渋谷すごろく」みたいなのがあって面白いですよね。
いくつかこだわりポイントがありまして、1つめは定量的にオフィス設計をしたことです。オフィスデザインをこだわっても「社員満足度は高いけど、重要度は低い」ということもあるじゃないですか。そこで様々な項目について満足度と重要度について社員にアンケートを取り、分析したんですよ。
その結果、たとえば「会議室の数を増やすだけではなく、執務スペースにちょっとした打ち合わせができるスペースがほしい」といったニーズが見えてきて。逆に「日常の業務において、おしゃれな玄関には意味がないな」というのも数値データでハッキリとわかりまして。現在のオフィスになって、社員からの不満がない状態になりましたね。
そしてもう1つのポイントは、「有機的なオフィス」というコンセプトを掲げてオフィス設計をしました。機能的で、かつ、集まる場所は複数のコンテキストで利用できるにしようと。そのため、例えばオープンスペースは社内打ち合わせにも使えて、来客にも使えて、作業にも使える空間になっています。
お金はかかったんですけどね(笑)。オープン感を出すために、ガラス張りにはこだわりました。やはり見えないと不安になるし、「あいつ、サボっているんじゃないか」と疑いの気持ちをどこかしらで抱いてしまうんですよね。
ガラス張りで見えるようにすると「あいつ真剣な顔して、がんばってるじゃん」「あいつとあいつがMTGしてるんだ」と見えるのは安心しますし、オープンな関係でいられるなと。
実は、僕の席も執務スペース入ってすぐの場所にあって、入り口から僕のパソコン画面が丸見えなんですよ。というのも、ヒエラルキーを感じない設計にしたいと思い、僕が奥の方の偉そうな場所に座っているのをやめようと。オフィスという毎日見る景色に「上がいて、下がいて」という状態を視覚的につくると、会社自体がそういう雰囲気になるんですよね。
オフィス設計においては、そういった思想が見えるというのが重要だと思っています。
デキる人が集まってリズムよく働く、というのを大事にしたいと思っています。ベンチャーだからといって無理に働いて体調を壊したり、結果的に退職者が増えたりするような環境は避けたいと思っています。
また、会社が理由で仕事以外でも悩みを持つような環境にはしたくないんですよね。社員の家族から「あんたの会社ってどうなの?大丈夫なの?」と心配されない環境のほうが健全じゃないですか。
そのため、リモートワークも全然ありですし、たとえば子どもが熱を出したら全然帰って大丈夫、という文化です。
リモートワークなどの制度って、社員が後ろめたさを感じたらダメなんですよね。家でやりますと言って、他のメンバーの「チッ」って顔が浮かんだらツラいじゃないですか。
そこで制度を成り立たせるためには文化が必要なので、過去には「月1〜2日は会社に来るな」としていました。
そうするとテレビ会議の機会が増えたり、情報共有のやり方がこれまでと変わるので、最初は「面倒くさいね」となるんですよ。議論をテレビ会議でするのは生産性が悪いので。そこで、あらかじめ議題を明確にして、細かくアジェンダをつくる文化が生まれてきました。
いまでも、月に1、2回はリモートワークをしていい制度にしています。集中ゾーンに入ったら、ずっとやり続けたいときってあるじゃないですか。合間に打ち合わせがある30分が10個の5時間と、ぶっ続けで作業ができる5時間って、生産性は全然違いますからね。
オフィスは「青春」だと思っています。
「見たい社会を見たい」と思ってベンチャーをやっているので、同じ想いを抱いているメンバーが集っていて、みんなで1つの目標を追いかける。朝どんなに疲れていても、オフィスに入ったら「やってやろうぜ」となれる場所。
つまり「青春がつくられている場所」、それが僕にとっての理想のオフィスですね。
(書き手:永田 優介)
「オフィスに入る瞬間スイッチが入るような、わくわくする場所をつくりたい」というお言葉がとても印象的でした。社員アンケートの結果を目に見えるような形で数値化したり、ヒエラルキーを感じさせないレイアウトにしたり。戦略的に「オフィス」という場を設計しているのがとても興味深かったです。ますます加速していくココナラさまのサービス、今後も楽しみにしています!
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