HOME > officee magazine > エリア特集 > <前編>梅田再開発の歴史と「うめきた2期」の誕生に迫る
現在、梅田で大規模な再開発が計画されているのをご存知ですか?
その名は、「うめきた2期」。
なんと、駅前に4.5haもの広大な森が誕生するんです。
今回は、梅田再開発のこれまで・これからに注目。
前編では、梅田駅誕生の歴史や、大規模再開発の背景、「うめきた1期」グランフロントのオープン秘話についてご紹介したいと思います。
(公開日:2019/03/06)
梅田駅はもともと、貨物駅として誕生した駅。大阪駅から貨物輸送の機能を分離する目的で、1928年に開業しました。梅田貨物線という貨物専用線が通っており、この辺り一帯は昔から「大阪北ヤード」と呼ばれていたエリアです。
1940年代には、阪神百貨店の前身である阪神マートが誕生し、街は徐々に賑わいを見せていきます。戦後は闇市も出現しましたが、復興の過程で郊外住宅地を次々と開発。ターミナル駅の整備や地下街の形成、商業施設の開業などで、梅田は急速に栄えていきました。
高度経済成長期には、大阪駅南側のダイヤモンド地区(梅田一丁目)で再開発が行われ、大阪駅前ビルが第1~第4まで4棟竣工。当時の大阪では最大規模の高層ビルでした。1970年には大阪万博も開催。そんな目覚ましい発展ぶりから、「東の汐留、西の梅田」とまで謳われたそうです。
こうして巨大経済都市に発展していく間も、梅田駅の貨物線は長く使われてきました。しかし、大阪の一等地を広範囲で占めていたこともあり、1987年の国鉄分割・民営化をきっかけに貨物駅を梅田から吹田へ移転することが決まります。
この貨物駅移転によって出現した広大な土地こそ、大規模な都市開発「うめきた1期・2期」の計画地となるのです。
貨物駅の移転は、2005年頃から徐々に進んでいきました。その跡地を使って、地権者であるUR都市再生機構は2期に分けて大掛かりな再開発プロジェクトを構想。まずは1期の開発に取り掛かり、2010年にグランフロント(タワーA・B・Cの3棟)の工事を開始しました。
こうして2013年に開業した「うめきた1期」、グランフロントですが、開発着手当初の想定とはまったく異なる形でオープン初日を迎えることとなります。
思ったようにオフィス区画のテナント誘致が進まなかったのです。
グランフロントはまさに梅田の中心にそびえており、誰もがうらやむ好立地。当然のように事務所も満室稼働するだろうと考えられていました。
ところが、開発途中の2008年にアメリカで発生したリーマンショックの影響が尾を引いてしまい、景気もしばらく低迷したまま。その結果、多くの企業が「オフィスなど新しくしている場合ではない」と、移転を渋ることに。当時、近隣では新築のビルが大小複数竣工していましたが、なかなか借り手が付かず、軒並みガラ空きという状況になってしまったのです。大型の再開発とあって注目の的だったグランフロントも例外ではありませんでした。
また、グランフロントの開発に10社以上の事業者が携わっていたことも、テナント誘致にマイナスの影響を及ぼす結果に。複数の会社が同時に外部募集を進めることによって、情報が錯綜したり、テナントの取り合いが起こってしまいました。
2008年のリーマンショックによって、想像もし得ないほどの供給過多に陥ってしまったオフィス市場。一方、この頃から目立ってきたのがインバウンド増加の流れです。関西国際空港におけるLCCの増便や、「爆買い」の誕生要因にもなった円安の進行などが影響し、2010年代で訪日外国人数が5倍以上にも増えました。
こうした流れを受けて、各事業主はオフィスではなくホテルを次々と建設していきます。急増するインバウンドに対応する動きとしては正しかったのですが、同時に日本経済も回復の兆しを見せ、今度は「オフィスの空室が少なすぎて移転ができなくなる」という状況が起こりました。
2019年現在も、この傾向は続いています。開業当初は空室が目立ってしまったグランフロントも、ここ数年は常に満室。周辺の堂島・中之島エリアなどにある大型オフィスも空きがなく、深刻な空室不足に陥っています。「オフィスが足りない」と新たな事業計画をつくっても、実際に竣工するのは数年先になるので、すぐには企業の移転ニーズを満たすことができません。
こうして、大型ビルがほとんど竣工しない“空白の数年間”が生まれてしまうことになったのです。
(→後編では、気になる今後の再開発情報についてお伝えします!)
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