HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【ラクスル】クリエイティビティが生まれるのは「五感を刺激する空間」――雑誌やドラマの撮影にも使われるオフィスとは?
2015年末に目黒のオフィスへ移転したラクスル株式会社。「空中庭園」と呼ばれるスペースを含めてユニークな内装の同社オフィスは、雑誌やドラマの撮影にも使われるほど、注目を集めています。
そこで今回、オフィス設計のこだわりポイントやオフィスの使い方について、広報担当の忽那(くつな)さんにお話を伺いました。(公開日:2017/07/18)
いまのオフィスの前は虎ノ門にあったのですが、再開発に伴い、もともと退去しなくてはいけないことがわかっていました。メンバーも増えて手狭になってきたこともあり、次の物件を探していたのですが、次は5年、10年と長く居続けられる、地に足をつけてビジネスを展開できる場所を探そうと。
そこで2015年の春に、社内でのオフィス移転プロジェクトがはじまりました。代表の松本にかつて見て歩いたシリコンバレーにあるような天井が高いオフィスへの憧れが強くあり、当初は改装してオフィスにできそうな倉庫も視野に入れて物件を探していたんです。ただ、倉庫となると日本ではやはり立地的に交通の便がどうしても悪くなってしまうなと。
そこで都心エリアの天井が高い物件を探していたところ、いまの物件に出会いました。代表はオフィスの内見もそこそこに「天井高が12m」ということだけで「ここにしよう!」というくらい、即決でした(笑)。そして、2015年11月に移転をしています。
ラクスルとしては「職住近接」、すなわち社員が会社の近くに住むことを推奨していまして、社員が近くに住むのに負担の少ないエリアにしたい、というのがありました。目黒であれば、ベンチャー企業が集う恵比寿や渋谷よりも家賃含めて住みやすいなと。目黒駅はJR含めて4路線のアクセス経路がありますので、意外と便利なんですよね。
居心地のいい空間にしたかったんです。「緑の中で仕事をするのは落ち着くよね」というところから、植物を多く置いてあります。ピカピカしたかっこよすぎるオフィスって、どことなく落ち着かないじゃないですか(笑)。
また今回のオフィス設計では、「五感を刺激される空間」を意識しています。天井がガラス張りなので、「日暮れが早くなった」とか、「今日は暑い」「雨が降ってきた」といった季節や天候などを五感で感じられるようになっているんですね。そういった五感を刺激する空間は、新しいものを生み出す、クリエイティビティを生み出す上で重要な要素であると考えています。
一方で、席によっては「この時間は日差しが強い」といった状況もあるので、自席だけではなく、好きな場所で仕事ができるフリーアドレス制も導入しています。社員の気分や環境に合わせて、作業する場所を変えることでも仕事の生産性や効率性を上げることに寄与しています。
オフィス設計にもPDCAサイクルが必要だということから、最初から作り込みすぎないことを意識しました。弊社はまだまだ伸び盛り。入居してからも組織変更などにあわせてレイアウトを変えています。その時々に応じて人数も変わるし、オフィスの使い方も変わりますから、最初からガチガチに決め込むのではなく、フレキシブルに使える設計にしています。
オフィスのPDCAをまわすためには、運用ルールの周知を徹底する必要があります。たとえば、なにかモノを新しく置いたときに「動かさない」という注意書きをしたり。そのときに普通に張り紙をしただけではオフィス内の美観を損いかねないので、デザイナーがグラフィックに落とし込んだ注意書きにしているんです。そうすることでオフィスの新しい使い方が生まれたときに、オフィスの雰囲気を壊すことなく運用ルールを周知する工夫をしています。
また動線もこだわりました。座席自体は部署やチームで固まっているものの、コピー機やゴミ箱など、誰もが使うものをオフィスの中心に設置し、移動するタイミングで他のチームと自然と会話が生まれるような動線にしています。
何気ない会話から新しいアイデアが生まれたりもするので、以前よりも社員のコミュニケーションが活性化したのもよかったですね。
そうですね、箱型のミーティングボックスの上は、一箇所だけ実際に登っていただくこともできるようにしています。みなさまそこで写真を撮ってSNSなどで「ラクスルのオフィスがすごかった」と写真をシェアしてくださるのは、非常にありがたいです。
またラクスルのオフィス認知が高まったことで、最近では女性誌に取り上げられたり、映画やドラマ、CMの撮影に使いたいというお問い合わせも増えており、働いている社員も「うちの会社が雑誌に載ってる」と喜んでくれていますし、採用でも「お洒落なオフィスで働きたい」と応募してくださる方も増えて、ブランディングとしては非常に効果を感じています。
2016年末よりリモートワークを試験的に導入開始しました。まずは育児等、働く上での配慮が必要なメンバーが中心なのですが、徐々に条件範囲を広げていけたらと考えています。
そして、「午前中にちょっと病院に行きたいけど、午前休にするほどではない」というシチュエーションってあると思うんですね。そういったことへも柔軟に対応できるよう時差出勤を認めていたり、月に一度は6時間業務で帰宅できる「6時間DAY」なども導入しています。また、副業も申請をしてもらい業務に支障がないという判断になれば許可しています。
ラクスルの“武器”の1つです。これまではサービスモデルや若手起業家としての代表に注目をいただき、メディアに取り上げていただく機会が多かったのですが、そこにもうひとつラクスルという会社をアピールする非常に強力な武器として、「オフィス」が加わったと思っています。
ある意味、オフィスはラクスルを世の中に広める“優秀な営業マン”ですね。
もっともっと気持ちよく働ける環境にしたいですね。極論、家より居心地のいい環境にできたらいいなと(笑)。
いまオフィスには卓球台やヨガマット、ボードゲームなどがあり、「卓球部」「ヨガ部」「ゲーム部」としての活動も活発です。また社員同士が自主的に勉強会を開催するなど、「このオフィスを使って何かをする」というのが自然発生的に生まれているんですね。今後も「仲間が集う場所」として、より機能していくオフィスになればいいなと思っています。
(書き手:永田 優介)
天井が高く、外からの光が十分に入り込むオフィスは、まるで公園に居るかのような気分になりました。動線をあえて複雑にして、コミュニケーションの促進を図ったり、一部的にリモートワークを取り入れてみたり。事業の変化に合わせて、オフィスの在り方や働き方を柔軟に変化させていくというのは、これからの時代のオフィスとして、とても参考になるようなお話でした。また、社員から進んで、ルールを周知させるオシャレな注意書きを作成するなど、会社全体でも働きやすさを大切にしているように感じました。ラクスルさんのオフィスは、気持ちよく働ける場所に遊び心を加えたような、そんな温かみのあるオフィスでした。
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