HOME > officee magazine > ニュース解説 > 【NEWS】ソフトバンク、東急不動産と竹芝地区でスマートシティを共創
2020年に竹芝への本社移転を予定しているソフトバンクは、東急不動産が進める竹芝地区の再開発について共同で街づくりに取り組み、最先端のテクノロジーを活用したスマートシティの共創を目指すと発表しました。
【下記転載】
東急不動産株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:大隈 郁仁、以下「東急不動産」)とソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮内 謙、以下「ソフトバンク」)は、東急不動産がエリアマネジメント活動を行う竹芝地区(東京都港区)において、都市再生への貢献や産業振興の加速などに向けて、共同で街づくりに取り組むことに合意しました。これに基づき、両社は、最先端のテクノロジーを街全体で活用するスマートシティの共創を目指して、竹芝地区でデータ活用やスマートビルの構築に取り組むほか、ロボティクスやモビリティ、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、5G(第5世代移動通信システム)、ドローンなどの幅広い領域でテクノロジーの検証を行います。また、最先端のテクノロジーを検証したい企業や団体の募集も行う予定で、さまざまな事業者が竹芝地区にテクノロジーを持ち寄り、地区の発展や課題解決を実現するスマートシティのモデルケースの構築に取り組みます。
なお、東急不動産は竹芝地区で「(仮称)竹芝地区開発計画」を手掛けています。本計画は、東京都の「都市再生ステップアップ・プロジェクト」の一つであり、東急不動産は、国家戦略特別区域計画の特定事業における整備方針に基づき、業務棟と住宅棟から成る総延床面積約20万m²の国際ビジネス拠点の創出に向けて取り組んでいます。また、新たな賑わいの創出や地域コミュニティーの形成を目的に、企業や行政機関などの関係者と連携し、竹芝地区でエリアマネジメント活動を行っています。
この竹芝地区において、総合デベロッパーとして手掛ける都市開発やエリアマネジメントに関する東急不動産の知見と、ソフトバンクのテクノロジーや知見を掛け合わせ、両社の強みを活かしてスマートシティの構築を推進します。なお、ソフトバンクは、「(仮称)竹芝地区開発計画」において東急不動産が開発するオフィスビルに2020年度後半に本社を移転し、東急不動産と共にビル内外の人流データや環境データを収集・解析することで、快適な環境整備と効率的なビル管理が可能になるスマートビルを構築する予定です。
具体的な取り組み
街のさまざまなデータを活用
(1)
環境の変化や歩行者の滞留などの「イベント」に応じて最適な行動を促すアプリケーションプラットフォームを竹芝地区に導入
温度やCO2(二酸化炭素)濃度などの環境の変化や、歩行者の滞留、設備の不具合、公共交通機関の遅延など、エリア内で発生するさまざまな「イベント」をデータとしてリアルタイムに収集し、時間帯や個人の位置情報、行動の制約やその他の予測などと関連付けて分析することで、竹芝地区に滞在する人の的確な判断や最適な行動を支援するアプリケーションを提供できるプラットフォームを竹芝地区に導入します。
活用事例
ビル内での映像解析やセンシングにより不審者や異常な行動、設備の不具合などが検知された場合、屋内位置情報システムにより発生場所から最も近くにいるスタッフのスマートフォン(スマホ)に自動で状況を通知して対応を促し、迅速な警備を実現します。また、指名されたスタッフがスマホで対応依頼を受諾すると、その情報が他のスタッフに自動で通知されるため、スタッフ間で効率的に情報を共有することが可能になります。
飲食店の混雑状況を可視化し、利用者が空席状況を確認してから来店することを可能にします。また、公共交通機関の遅延を検知した場合、最適な交通の代替手段や周辺の飲食店などの空き状況をスマホアプリやサイネージなどで案内するなど、竹芝地区に滞在する人に有益な情報を届けます。
(2)
企業などによる竹芝地区のデータ活用の推進
竹芝地区に設置するさまざまなカメラやIoTセンサーにより収集したデータを取得できるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を公開し、企業などによる竹芝地区のデータ活用を推進します。例えば、竹芝地区にオフィスを構える企業は、地区内の混雑状況データを取得することで、最適な通勤時間を社員に提案するコンテンツをイントラネットなどで提供できるようになるほか、飲食店などは、施設内外の混雑情報を割引サービスなどの集客施策の検討に活用できるようになります。
また、ソフトバンクは2020年度後半に本社を移転するオフィスビルに5Gネットワークを整備していきます。5Gの「超高速」「大容量」「低遅延」「多接続」「高信頼」などの特長を活かし、東急不動産とソフトバンクは、竹芝地区において、幅広い領域でさまざまな事業者と共創し、地区の発展や課題解決を実現するスマートシティのモデルケースの構築に取り組みます。
東急不動産とソフトバンクが実現するスマートシティのイメージ
「(仮称)竹芝地区開発計画」並びに「竹芝地区エリアマネジメント」の対象範囲
出典:竹芝地区でスマートシティを共創~最適な行動を支援するアプリケーションプラットフォームを導入するほか、企業や自治体と連携して最先端のテクノロジーを街全体で活用~
編集部コメント
ソフトバンクは、日本に働き方改革のビッグウェーブをもたらしたWeWorkと合弁会社を設立しており、先日20億ドルを追加投資したニュースが話題になりました。同社の強みは、多くのグループ企業を通じた実験的な取り組みや、最先端技術への投資を積極的に行えること。街づくりという分野においては、これまで行政やデベロッパーのみで完結するケースが主流でしたが、今回のソフトバンク参画を受けて、今後多くのIT企業がそれに倣うのではないかと言われています。
再開発事業者である東急不動産にとっては、ソフトバンクとのスマートシティ共創で得られたデータを今後の都市づくりやオフィスビル建設に活かすことができるため、長い目で見ても心強いパートナーを得たと言えるでしょう。
竹芝エリアの開発によって得られるメリットは、近隣にある羽田空港を経由した国内外からのアクセス性向上や、オフィス・商業施設・住宅が充実することによる地域活性化などが挙げられます。正式な発表はされていませんが、もしソフトバンクが竹芝本社の一部をWeWorkの一拠点として位置付け、外部利用を認めれば、海外から訪日するワーカーのビジネス拠点として活用されることとなり、竹芝エリアの価値がより一層高まっていくに違いありません。
<参考>
(記事公開日:2019/07/30)
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