HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【BASE】オフィスがブランドを体現する。ECサービスをつくる上で大切なのは、対面でしか得られない情報
個人・法人を問わず誰でも簡単にネットショップを作成できるEコマースプラットフォーム『BASE』をはじめ、オンライン決済サービス『PAY.JP』、ID型決済サービス『PAY ID』を手がける、BASE株式会社。『BASE』はサービス開始からわずか5年でショップ開設数は40万店舗を突破し、急速な成長を遂げてきました。
そんな同社のオフィスや働き方には、ECのサービスを運営しているからこそのこだわりがあるといいます。「オフィスは会社を表している」と考える同社ディレクターの長 充宏さんに、移転遍歴から内装、レイアウトのポイントまでお話を伺いました。(公開日:2017/10/24)
2012年の創業時は、六本木のシェアオフィスからスタートしました。駅前の再開発計画でビルを出ることになり、一度六本木内で別のシェアオフィスに移転。人数も増えてきて、いよいよ単独オフィスを構えようということになり、2014年に渋谷の道玄坂へ移転しました。翌2015年には、同じく道玄坂で現在のビルに移り、2017年4月に増床。移転当初は20名程だった社員も、現在では80名近くになりました。
行き交う人の流行感度が高く、いろんな人も情報も集まるのが渋谷だと考えています。新しいものが生まれてくる街で、その空気感を感じたいと思い、渋谷を選びました。
道玄坂は雑居ビルやオフィスビルなどが混在していて、遊びに来る人、通勤する人など実にさまざま。ダイレクトにサービスのユーザー対象となる人が多いので、どんなファッションで、どんなものを持っているかなど見ているだけで、インスピレーションを得られます。私自身も、昼休みに散歩がてら街の様子を肌で感じたり、『BASE』でECサイトを運営しているショップさんに「最近の流行りは?」などとお伺いすることが多いです。
『BASE』のショッピングアプリのイメージをオフィスで体現しています。内装は『BASE』のショップさんの商品をできるだけ使っていますし、フロア内には商品を展示するスペースもあり、私たち自身も楽しいですし、オフィスに来てくださったお客様にも紹介できます。一般的なECサイトとは少し違って、一点ものや制作者の個性が伝わるオリジナリティ溢れるアイテムがたくさんあるということを伝えたいと思っています。
また、ブランドイメージとオフィスのイメージを合わせているのも、こだわったポイントですね。たとえば、ロゴマークに使っている5種類の色を各会議室のカーペットに使ったりしています。
コミュニケーションの活性化を意識しています。実は、一般的な社長室というような個室はつくっていないんです。プロダクトマネージャーにまじって、CEOがフロアのど真ん中にある円卓テーブルに座っているので、社員同士で普通に会話していると、近くにいたCEOがぬるっと入ってくることもよくあります(笑)。新入社員には特に、はやく会社に溶け込めるようにとよく声をかけていますし、面倒見がいいんですよね。
リラックスできる空間として、ソファを数組とスタンディングテーブルを置いて、休憩やランチ、打合せなどに使っています。誰かが旅行のお土産や『BASE』のショップさんの野菜や果物を買ってくると、社内SNSのSlackで「スタンディングテーブルにあるからどうぞ」なんて流すんです。すると、みんなが集まってきて、コミュニケーションが生まれる。特にエンジニアは、画面に向かって個人の作業になりがちなので、こうした社内スペースがコミュニケーションを活性化する役割も担っていると思います。
ちなみに、オフィスオアシスも設置しているのですが、弊社の『PAY ID』を使っているので小銭がなくてもスマートフォンからQRコードを読み取るだけで飲み物やおやつを買うことができます。
機能やサービスをリリースすると、フリースペースに社員みんなが集まり、かかわったプロジェクトメンバーをねぎらってお祝いをします。ホールケーキを用意して、みんなで写真を撮るのは毎度恒例ですね。
いろんな使い方ができるフリースペースは、すごく重要視しています。”遊び”の部分は大事で、固定概念にとらわれない新しい発想も、そうした雑談の中から生まれやすくなると考えています。
プロダクトをつくる場所、つまり「価値の交換をよりシンプルにし、世界中の人々が経済活動を行えるようにする」という私たちのミッションを達成するために、みんなが集まって一緒に切磋琢磨して生み出していく場です。真面目に仕事をする部分もそうだし、さきほどの”遊び”の部分も、すべてそのために用意しているものですね。
はい。これは社外に向けても同じです。もともとCEOの鶴岡が、大分県で洋品店を営む自分の母親でもつくれる簡単なECサイトの仕組みを提供したい、と言ってサービスを立ち上げたんです。都市部にいないから商売ができないとか、地理的要因で情報を得られずに機会損失が生まれるのは嫌だなと思いますし、地方だからこそつくれるものもあります。今は、インターネットというインフラが整って、どこに住んでいても同じように買い物ができます。
そういう離れた土地にいる人たちのために、東京にいる私たちは何ができるかと考えると、やはりリアルな対話も重要だと思うんです。だから、私ともうひとりのシニアディレクターはけっこう全国を飛び回って、ショップさんのお話を聞くことも多いです。非対面だけで進めると本当にドライな温かみのないプロダクトになってしまいますから。一部だけでも、対面で得られた情報をプロダクトに活かすことは、『BASE』がこだわっている部分だと思います。
オンラインだけに限らず、オフラインでの販売支援も力を入れていきたいです。リアルとの融合が、ネットショップの信頼にもつながると考えているからです。実は、すでにいくつかの取り組みはスタートさせています。たとえば、弊社でショップスペースをレンタルして、ネットショップの経験しかないショップさんに期間限定のポップアップショップを体験していただいたり、オフィス内のいちばん大きな会議室で成功しているショップさんに体験談を語っていただくセミナーを開催したり。『BASE』で扱っている商品を集めた展示会もしています。そのときはエンドユーザーの方も直接オフィスにお招きしたりします。
オフィスがブランドを体現すると思っていますので、個人・法人問わず、さらにエンドユーザーの方にも、このオフィスに来ていただける機会をつくっていきたいです。そして、「BASEを使ってよかったな」と思ってもらえるとうれしいですね。
(photo:服部健太郎/text:新川五月)
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