HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【AID-DCC】都心のオフィス街にはない“何か”を求めて。創造性をはぐくむクリエイターの「家」
デザインやシステム、音楽、映像など様々なジャンルを通じて、日々インタラクティブクリエイティブを追求するのは、新代田に東京オフィスを構える株式会社エイド・ディーシーシー(以下、AID-DCC)。カンヌ広告賞を含め、国内外の数々のアワードを受賞してきた同社は、クリエイターにとって働きやすいオフィス環境づくりを大切にされています。
クリエイター目線で感じる「働きやすさ」とは、一体どのようなものなのでしょうか?そのヒントを探るべく、今回同社のオフィスを訪問してきました。(公開日:2017/11/21)
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京王井の頭線の新代田駅から歩くこと、約5分。AID-DCCさんのオフィスは、閑静な住宅街のなかにひっそりと佇んでいます。敷地内には木々が生い茂り、低層のスタイリッシュな建物はおしゃれなデザイナーズハウスといった趣。まさかここに会社のオフィスがあるなんて、と目を疑ってしまうほどです。
2階のエントランスを入ると、そこに広がるのはまるでリビングのような空間。奥の大きな窓から、陽の光がたっぷりと注ぎ込んでいます。
ソファやデスクなど、インテリア1つ1つの質感や色、素材にもこだわりが感じられます。空間全体のトーンが統一されていて、とても落ち着いた雰囲気です。
2階奥にある螺旋階段を、ゆっくりとのぼっていきます。
3階にあがると、そこには執務スペースが広がっていました。机やイスはランダムな配置。皆さんPCに向かって黙々と作業されています。
こちらは一番奥にある窓際の席。日中はとても明るく、気持ちが良さそうです。
それでは、同社にてデザイナーを勤める有吉学さんと高橋呂沙(ろさ)さんに、オフィスのこだわりポイントからクリエイター視点でのオフィスのあり方まで、お話をうかがっていきたいと思います。
有吉:僕が入社した際に先輩から聞いた話ですが、まず移転のキッカケとしては、メンバーが増えたことでした。そして、特に「クリエイターが増える」ということで、よりクリエイティブなことができる場所はどこかを考えたときに、ビルに囲まれた殺風景な場所ではなく、緑があって落ち着きのある場所が良かったんですね。
そこで条件に合ったのが、この新代田という街でした。都心とも程良い距離感でありながら、緑がある。そして、各駅停車の駅ということもあって人が少なく、静かで集中できる環境が整っていたんです。
有吉:大きな窓や吹き抜けの天井など開放感のある作りであったこと、そして周りを森に囲まれた静かな場所であるということが、自分たちの求めるものづくりのための環境とマッチし、決め手となったそうです。
高橋:この物件は、AID-DCCメンバーの人柄がそのまま表れている、という印象です。良い意味で力んでいない、柔らかい人たちが多いんです。この物件のオープンな感じだったり、家っぽさというのが、私たちの人間関係そのものだなと感じています。
有吉:もともと床や壁がコンクリートの打ちっぱなしだったのですが、より開放的な印象になるように、白と木を基調とした内装に変えたそうです。また、元から閑静な場所ではあるのですが、壁を二重にするなど防音にも気を使っています。
高橋:レイアウトに関して言えば、机が有機的に配置されているのが特徴です。まっすぐではなく、変な道筋でしか自分の席にたどり着かないんですね。それによって、自然と会話が生まれていて。
たとえばアイデア出しで煮詰まっているとき、「どうしたの?」とか「この本、参考になるかもよ」といった具合に、まわりが声をかけてくれることも多いんです。誰かに話しかけにくい雰囲気もなく、コミュニケーションがとりやすいなと感じますね。
また、見える景色が変わるとアイデアも生まれやすいということで、4半期に1回、くじびきで席替えをしています。窓が大きいぶん、天気の変化や季節の移ろいも感じられて、クリエイターにとっては働きやすい環境です。
有吉:デザインを考えているときって、力まずに考えないとアイデアが生まれなかったりするんですね。だけど、ここはまるで「箱根にいるのかな」と思うくらい緑に囲まれている。都心にいながら、ここまでリラックスして物事を考えられる環境というのはなかなか無いと思いますね。
あとは、住宅としても使える物件なので、お風呂が付いているんです。考えごとをしていて煮詰まったら、お風呂に入ってシャワーを浴びているとアイデアが出たりするんですよ。お風呂はあまり推奨していないので、やってるのは僕だけかもしれませんが(笑)。
ほかにも、ちょっと歩けば美味しいパン屋さんがあったり、おしゃれなお店があったりと、気分の切り替えができるシチュエーションがあるというのは、クリエイター的にはありがたいなと思います。
高橋:こちらの2階のスペースは「リビングルーム」と呼んでいて、いつもはお昼ごはんを食べたりブレストをしたりするスペースとして使っているのですが、たまに誰かがウクレレを演奏していたり、みんなでゲームをやったりと、本当に「家」みたいに使っているのはAID-DCCらしいなと。
先日『スプラトゥーン』大会をやったんですが、それに合わせてイカを20杯くらい用意して、1日かけて仕込みをしたり(笑)。仕事をするときも本気だし、遊ぶときも本気で取り組む。それができるのが、このオフィスのいいところだなと思います。
高橋:1つは、定時をきちんと意識するなどタイムマネジメントに取り組んでいること。こういったクリエイティブ系の会社だと、定時があってないようなものになりがちじゃないですか。なので、ちゃんとけじめをつけるためにも、定時になると「蛍の光」が流れて、いったん全員が集合し、業務状況を共有し合うんです。仕事が終わったメンバーはスパッと帰りますし、残務があるメンバーにはサポートをつけて、負担を分散させることができます。こうして、みんながダラダラと仕事しないような環境づくりを心がけていますね。
あと、AID-DCCでは「12%ルール」というのを設けていまして。「個々(またはチーム)のパフォーマンス向上・意欲促進、ライフワークバランス獲得などへの還元」を前提に、1週間の勤務時間のうち12%(約5時間)を業務外のことに充てられるんです。それぞれが個人に合わせた時間の使い方をすることで次のアウトプットに繋げることを目的としていて、自宅で頭をリフレッシュさせる人もいれば、美術館で新たな創造力に磨きをかける人もいます。私自身も、気になった個展を観に行ったりして、「12%ルール」を活用しています。
有吉:自然に囲まれていることで、「守られている感」があるというか…言ってみれば、安心できる場所だなと感じています。敷地内には森もあって、ふらっと散歩ができて。大きなオフィスビルのワンフロアとかではなく、この敷地全体がオフィス。なんなら駅についた瞬間からもうオフィスにいる感覚なんです。それくらい落ち着いた環境だからこそ、心が休まるように感じられるのかもしれません。
高橋:やはりこのオフィスは「家」のような存在だなと感じています。安心できる場所だからこそ、余計なことを考えなくていいというか、雑念が少ない環境なんですよね。また、陽の光が気持ち良くて、四季を感じられる環境は、仕事にも良い影響が生まれているなと実感しています。
そして、いろいろな価値観を持ったメンバーが集っていて、それぞれを受け入れる社風だからこそ、オフィスだけでなく、人間関係も非常にオープンな関係が築けていて。「場所」だけでなく「人」という要素も含めて、家っぽさを感じられるオフィスですね。
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たっぷりとお話を聞かせてくださった、有吉さんと高橋さん。ありがとうございました!
(photo:服部健太郎/text:永田優介)
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