
賃貸オフィス契約前に確認したいポイントを徹底解説|失敗しないオフィス移転マニュアル【契約編】
前回までの記事では、オフィス移転の目的整理から物件探し、オフィスプランニングまでをご紹介しました。
希望に合う物件が見つかったら、次はいよいよ契約です。
賃貸オフィスの契約には、敷金・保証金や解約予告期間、原状回復など、住宅とは異なるルールが多くあります。
内容を十分に確認しないまま契約すると、退去時や移転スケジュールに影響が出ることも少なくありません。
この記事では、契約までの流れと、契約前に必ず確認しておきたいポイントを分かりやすく解説します。(公開日:2026/07/15)
賃貸オフィス契約までの流れ
希望する物件が決まったら、まずは入居申込みを行います。
申込書には会社名・住所・代表者名・業務内容・取引銀行などを記入し、会社案内や登記簿謄本、決算書類などの必要書類を提出します。
申込み後は、ビルオーナーによる入居審査が行われます。企業の信用状況や事業内容などを確認し、問題がなければ契約条件の最終確認を経て賃貸借契約を締結します。
まず確認したい賃貸オフィスの契約条件
◆敷金・保証金
賃貸オフィスでは、契約時に敷金や保証金として賃料数ヶ月分を預けるのが一般的です。
これは賃料滞納や退去時の原状回復費用に備えるためのもので、住宅よりも高額になるケースが少なくありません。
物件によって異なるため、次の点は必ず確認しましょう。
・敷金・保証金の金額
・返還方法
・償却の有無
・返還時期
◆保証会社の利用が必要な場合もある
近年は、賃貸オフィスでも保証会社の利用が契約条件となるケースが増えています。
保証会社とは、万が一テナントが賃料を滞納した場合に、オーナーへ立替払いを行う会社です。契約時には保証委託料が必要になることが一般的で、更新時に保証料が発生する場合もあります。
保証会社を利用する場合は、以下の点を確認しておきましょう。
・保証会社の利用が必須か
・初回保証委託料はいくらか
・更新時に保証料が発生するか
・保証の対象範囲
保証会社の利用料は、移転時の初期費用に含まれるため、予算計画にも反映しておくと安心です。
◆共益費・管理費に含まれる範囲
毎月支払う費用には、賃料だけでなく、共益費や管理費が含まれることがあります。
例えば、以下の費用が賃料や共益費に含まれるかどうかは、物件によって異なります。
・共用部の清掃
・エレベーター保守
・空調運転時間
・電気料金
・ゴミ処理費
共用部分の管理や清掃を誰が負担するのか、また賃料や共益費にどこまでのサービスが含まれるのかを事前に確認し、入居後の想定外の費用を防ぎましょう。
◆契約開始日(賃料発生日)を確認する
契約開始日と実際の入居日は必ずしも同じとは限りません。
例えば、契約開始日から内装工事を行う場合は、まだオフィスを利用していなくても賃料が発生するケースがあります。
一方で、一定期間のフリーレント(賃料無料期間)が設定されることもあります。
契約前には、次の点を確認しておきましょう。
・賃料はいつから発生するか
・フリーレントの有無
・内装工事期間の扱い
移転スケジュールと照らし合わせることで、無駄な賃料負担を防ぐことができます。
◆手付金が必要なケースもある
物件によっては、本契約に先立ってオフィス物件をおさえるために、手付金の支払いを求められる場合があります。
手付金は、本契約が締結されると保証金や敷金の一部に充当されるケースが一般的です。
また、キャンセル時の返金条件は契約によって異なるため、支払う前に以下を確認しておきましょう。
・返金される条件
・返金されないケース
・書面の有無
現オフィスの解約手続きも忘れずに
新しいオフィスが決まったら、現在入居しているオフィスビルを退去する準備に入ります。現在締結している賃貸借契約書を再度確認し、契約書に基づいて貸主に解約予告をしなければなりません。
特に賃貸オフィスでは解約予告期間が長く設定されていることが多いため、新オフィスの契約だけでなく、現オフィスの契約内容も早めに確認しておくことが重要です。
契約書に詳しく述べられていない場合は、話し合うことも必要になるため、事前によく確認しておきましょう。
◆解約予告期間
一般的には、3〜6か月前までの解約予告が必要です。
即時解約や解約予告期間を満たさずに退去する場合は、予告期間に相当する賃料を支払わなければならないケースがあります。
◆明渡し月の賃料
退去月の賃料は契約によって異なります。
・日割り精算
・1か月分全額 など
契約書を確認し、余計な費用が発生しないようにしておきましょう。
◆預託金の返還
保証金や敷金は退去後に返還されますが、以下は契約によって大きく異なります。
・償却
・原状回復費
・返還時期
退去時の資金計画にも関わるため、事前に確認しておくことが大切です。
◆原状回復
オフィス退去時には、契約内容に従って原状回復工事を行います。
工事範囲や指定業者の有無はビルによって異なるため、以下はオーナーや管理会社と早めに確認しましょう。
・工事範囲
・工期
・引渡し期限
・指定業者の有無 など
ここまでご紹介したように、賃貸オフィスの契約では、契約条件や退去時の取り決めなど、確認すべき項目が数多くあります。
契約内容に不安がある場合は、契約前に専門スタッフへ相談することで、後々のトラブルを防ぎやすくなります。
賃貸オフィス契約書で見落としやすいポイント
契約書には賃料や契約期間だけでなく、運用に関わる細かな条件(特約)が記載されていることがあります。契約後に「知らなかった」とならないよう、事前に確認しておきましょう。
◆看板・社名表示のルール
エントランスやビル外壁への社名表示には、設置場所やデザインに制限が設けられている場合があります。
また、設置費用や撤去費用をテナントが負担するケースもあるため、事前に確認しておくと安心です。
◆原状回復の範囲
原状回復は「入居時の状態に戻すこと」が基本ですが、どこまでをテナント負担とするかは契約によって異なります。
例えば、以下は負担範囲が細かく定められていることがあります。
・天井
・床
・パーティション
・照明
・空調設備 など
退去時の費用に大きく影響するため、契約前に確認しておきましょう。
◆更新料・再契約料
普通借家契約では更新料、定期借家契約では再契約料が設定されている場合があります。
長期間利用する予定であれば、将来的なコストも見据えて確認しておくことが大切です。
契約前のチェックリスト
契約前にこちらのチェックリストを活用し、抜け漏れがないように注意しましょう。
◯入居審査に必要な書類は揃っている
◯敷金・保証金・償却条件を確認した
◯共益費・管理費の範囲を確認した
◯手付金の返金条件を確認した
◯現オフィスの解約予告期間を確認した
◯預託金の返還条件を確認した
◯原状回復工事の条件を確認した
◯保証会社の利用条件を確認した
◯契約開始日(賃料発生日)を確認した
◯特約(看板・原状回復・更新料など)を確認した
まとめ
オフィス契約は、入居時だけでなく退去時にも大きく影響する重要な手続きです。
特に、敷金・保証金や解約予告期間、原状回復などは物件ごとに条件が異なるため、契約前にしっかり確認しておくことが重要です。
また、新オフィスの契約だけでなく、現オフィスの解約スケジュールも並行して進めることで、余計な賃料やトラブルを防ぐことができます。
オフィス契約は、一度締結すると変更が難しい項目も少なくありません。契約前に条件をしっかり確認し、不明点は解消したうえで進めることが、失敗しないオフィス移転につながります。
契約条件やスケジュールに不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
次回の「失敗しないオフィス移転マニュアル」では、移転準備をテーマに、引越しまでに必要な手続きやスケジュール管理、社内外への各種届出などを分かりやすく解説します。











