
個別空調とセントラル空調、何が違う?それぞれのメリット・デメリットを解説
オフィスを借りる際に注意すべきポイントの1つが、空調設備(エアコン)。入居後の利便性はもちろんのこと、月々のコストにも大きく影響してきます。なんと、オフィスでかかる電気代のうち約5割が空調費用なのです。
空調設備には大きく分けて2種類、個別空調とセントラル空調があります。今回は、それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介したいと思います。
(公開日:2018/06/04|最終更新日:2025/11/19)
【動画での解説はこちらから】
個別空調とセントラル空調の違い
個別空調は、フロア毎あるいは部屋毎に空調のON/OFFや冷暖房の切り替え、温度調節ができるタイプ。各フロアまたはゾーン毎に熱源が分散設置されています。中規模以下のビルは、ほとんどこの個別空調方式を採用しています。
一方、セントラル空調は別名「中央管理空調/中央式空調」とも呼ばれ、中央管理室等で一元的に制御されているタイプ。熱源は一箇所(地下や屋上にある機械室など)にまとまっています。1フロアが300坪を超えるような大型ビルでは、ほとんどがセントラル空調が採用されています。
ごく稀ではありますが、ビルオーナーによっては大型物件でも個別空調を採用している場合も。また、元々セントラル空調しか設置されていなかったビルに後から個別空調を設置するなどして、セントラル空調・個別空調が併用されているケースもあります。→【大型ビルの空調について】で詳しくご紹介します。
個別空調のメリット・デメリット
個別空調には、下記のようなメリット・デメリットがあります。
◯ 必要な時にだけ使用できる
ON/OFFの切り替えを自由にできるので、使っていない部屋がある時はOFFにするなど、電気料金の無駄を省くことができます。使用制限もなく、基本的には24時間使用可能です。
◯ 空調の設定を自由に変更できる
冷暖房の切り替えはもちろん、風の強弱、温度なども比較的自由に設定することができます。ただし、中には個別空調でも自由に設定を変更できないケースがあるので、内見の際などに必ずご確認ください。内装工事で各部屋毎に独立させることもしやすく、たとえば執務室では暖房を、サーバールームでは冷房を入れるなど、目的に応じて設定を変更することができます。
✕ 利用した分だけ料金がかかる
個別空調の場合は、使用した分メーターが回り、電気単価✕使用kw数で計算されます。電気基本料金がある場合は、その料金にプラスされます。

セントラル空調のメリット・デメリット
一方、セントラル空調のメリット・デメリットとしては下記が挙げられます。
◯ コアタイムの空調利用であれば別途費用がかからない
セントラル空調を採用しているビルでは、「コアタイム」と呼ばれる空調利用時間が設定されています。コアタイム間の空調使用料は共益費に含まれているケースがほとんどのため、別途費用はかかりません。ただし、コアタイムは土日祝日が除外されるケースが多く、「7:30~19:00、9:30~18:00」など建物全体で一律設定されている場合もあれば、「一日連続9時間」という形で時間帯をテナント毎に設定できる場合など、ビルによって実に様々。コアタイム以外での営業活動がほとんどない企業であれば、費用を抑えることができます。
✕ 空調の設定を自由に変更できない場合が多い
セントラル空調は各室でのON/OFF切り替えや温度調整ができないため、個々の希望に沿いにくいというデメリットがあります。特に季節の変わり目では、ビル全体で暖房/冷房が一斉に切り替えられるため、暑さ、寒さを感じる場面も多いようです。ただ、中には各室で温度調整ができるセントラル空調もありますので、賃貸前に確認することをおすすめします。
✕ 残業や休日出勤が多い企業に不向き
コアタイム外に空調を稼働させる場合は時間外の運転料金が必要となり、その費用は割高であることが多いため、残業や休日出勤が多い会社には不向きと言えます。

大型ビルの空調について
大型のオフィスビルの場合、導入している空調システムや管理方法は実に様々です。ここでは、オフィスを借りる際に意識しておくべきポイントをいくつかご紹介します。
◆築浅の物件は、セントラル空調でも利便性が高い
築年数のある大型物件の場合、セントラル空調も古いタイプが導入されていることが多く、個別制御ができないケースがほとんど。ただし、築浅の大型物件であれば最新鋭の空調システムを導入していることがあり、セントラル空調にありがちな“不便”を解消できるんです。
たとえば、ゾーン毎にオンオフを切り替えることができれば、不必要に空調を稼働させることもなく、無駄な電力消費を減らすことができたりします。
また、古いセントラル空調だとコアタイム外の空調利用が1時間単位になってしまうところを、新しいタイプだと分単位で調整ができる場合もあります。
◆VAV方式(可変風量式)の空調がおすすめ!
VAV(Variable Air Volume)方式とは、室内の温度差をセンサーが感知して自動で風量を調節してくれる、新しい空調システムです。新築物件などで導入されるケースが増えてきました。運用上はセントラル空調ですが、手元のスイッチで個別に風量を調整をすることができます。
VAV方式空調が注目されている最大の理由は、省エネルギーや節電、経費削減が期待できるということ。テナントのコストもかなり軽減されます。
こうした最新の空調システムを採用している物件では、テナントの業務時間帯にあわせてコアタイムを申請できる場合もあり、セントラル空調ではながら個別空調と同等以上の利便性を享受できます。

(出典:VAV/株式会社エムジー)
◆セントラル空調と個別空調の併用は、メリットが多い
ビル全体ではセントラル方式の空調を採用しているものの、それとは別に各部屋各階に個別空調を部分設置しているケースもあります。これが、セントラル空調と個別空調の併用です。
全体的な温度管理はセントラル空調で行い、時間外空調を使用したい際や、温度・風量の微調整として個別空調を用いることができます。VAV方式空調ほどではありませんが、コストを抑えやすく快適性も上がるので、メリットが多いです。
◆ペリメーターゾーンの空調管理に要注意
オフィス空間は、ペリメーターゾーンとインテリアゾーンとに分かれています。
ペリメータゾーンとは、建物の窓や外壁に面するエリアのこと。屋外の影響(外気温や日差し等)を受けるため、空調で設定した温度通りにならず、高温・低温になりやすいという不便さがあります。一方、インテリアゾーンは屋外の影響を受けにくいため、空調効率が良いエリアとされています。
オフィスビルを選ぶ際は、ペリメーターゾーンの空調対策を行っているかどうかも重要なポイントになります。
大型物件のセントラル空調の場合、ペリメーター空調とインテリア空調に分けられているビルがあります。空調が分かれていることにより、それぞれ適切な温度設定をすることができ、どのエリアでも快適に過ごせるよう工夫されているのです。

オフィス空調の2025年最新情報
オフィス空調は快適性だけでなく、環境配慮やSDGs達成にも寄与します。最新設備や補助金活用で省エネとコスト削減を実現できます。
◆2025年時点の空調設備導入に使える補助金制度紹介
近年のオフィス空調では、省エネ性能の高い設備導入と運用改善がますます重要になっています。2025年時点では、国や自治体が提供する空調設備の導入補助金制度を活用することで、初期費用を抑えつつ最新機器に更新できるケースが増えています。たとえば、全国の中小企業等が利用できる「省エネルギー投資促進・支援事業費補助金(省エネ補助金)」や、自治体独自の業務用エアコン更新支援などがあり、導入コストの負担を軽減しながら省エネ効果を得られます。
●全国共通制度:省エネルギー補助金
●東京都独自支援の例:ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業
◆脱炭素ビル・グリーンビルディング認証との関係
脱炭素ビルやグリーンビルディング認証(ZEB、DBJ Green Buildingなど)の取得を目指すオフィスでは、空調設備の効率化や省エネ運用が評価項目の一部になり得ます。空調の高効率化を進めることは、認証取得の条件を満たすだけでなく、長期的なエネルギーコスト削減にもつながるため、補助金と認証を組み合わせた “サステナブルな空調計画” が合理的です。
officee編集部が選ぶ空調に力を入れているビル
大林組と三菱電機は、システム天井のグリッドにサイズを合わせたカセット型空調室内機「スキットエア」を開発しています。
セントラル空調ですが、週〇〇時間までコアタイム設定としているテナントには、省エネになるため、オススメです。
PMOシリーズは個別空調でIT系企業やスタートアップにも好まれています。
個別空調に加えて、大型ビルでは取りにくい自然換気を採用しており、空調の対流や社内換気の面でも、とても合理的でかつ、環境配慮もされています。
オフィス空調のよくある質問(FAQ)
【Q1】 オフィス空調はどのくらいの頻度で更新すべきですか?
A. 一般的には10~15年程度が目安です。
ただし、設備の省エネ性能や故障頻度、運用コストを考慮し、必要に応じて早めの更新も検討してください。
【Q2】 空調設備導入に使える補助金はどのようなものがありますか?
A. 2025年時点では、国の「省エネルギー投資促進・支援事業費補助金(省エネ補助金)」や、自治体独自の支援などがあります。
最新の情報は各リンクをご確認ください。
【Q3】 快適性と省エネを両立させる設計のポイントは?
A. 適切な室温・湿度設定、ゾーニング(エリア別運用)、空気の流れの最適化、そして高効率機器の導入が重要です。IoTやセンサーを活用した運用改善も有効です。












