
【ChatWork】リモートワークが生まれてもオフィスが必要な理由とは?ChatWork 専務取締役 山本正喜氏インタビュー
「世界の働き方を変える」というビジョンのもと、ビジネスチャットツール『チャットワーク』を運営しているChatWork株式会社。創業当初からリモートワークだったという同社は、なぜチャットツールを立ち上げたのか。またリモートワークという働き方が増えていくときにオフィスは必要なのか、ChatWorkにて専務取締役を務める山本正喜さんにインタビューいたしました。(公開日:2017/01/13)
―― チャットワークというサービスをつくった理由を教えてください。
実は創業当初の2000年、僕たちはチャットワークというサービスをやっていなかったんですね。当時は海外のITサービスを日本に持ってきたりして、中小企業のIT活用をサポートしていました。
チャットワークを事業化したのは2011年からで。それまでチャットワークは社内ツールとして使っていました。もともと社内コミュニケーションツールとしては、Skypeを使っていて。24時間Skypeを立ち上げてて、Skype用にパソコンを用意したり(笑)。
でも、スマホで既読にしたのにノートパソコンではまだ未読になっているだとか、過去のログを検索できないとか、社内からいろいろ不満も上がってですね。じゃあ自社でつくっちゃおうとしてできたのが、チャットワークでした。
―― なぜメールではなく、チャットツールだったのですか?
僕たちは立ち上げ当初からリモートワークだったんです。大阪オフィスが5人、東京オフィスが3人で、頻繁に出張したりしていて。なので、自然とリモートワークがしやすい環境はどういったものなのかを、ずっと考えていたんですね。
そしてメールだと社内メール、社外メール、営業メールなど、いろいろなコンテキストを含むメールが同列に並んでいるじゃないですか。しかも「お世話になっております」みたいな自己紹介と「〜の件ですが」といったコンテキスト共有をしなくちゃいけない。でも結局言いたいことは1〜2行みたいな(笑)。
なのですぐにコミュニケーションがとれるチャットツールが便利だったんです。ただ、それまでのチャットツールって同期的で、リアルタイムにコミュニケーションしなきゃいけなかったんですよ。「そろそろ、落ちるね」みたいな(笑)。いつ発言してもいいし、いつ終わってもいい、さらに過去のタイムラインを追うだけでコンテキストを共有できるチャットツールがあったら便利だなと。
チャットワークであれば、なにか聞かれても、コンテキストを共有できているので「了解です」で済む。つまり、不必要なコミュニケーションが減るので、リモートワークのときには非常に有効なんですよね。

―― 御社にとって、対面のコミュニケーションの意味とはなんですか?
よく勘違いされるのですが、僕らはリアルなコミュニケーションも大切にしていて。表情であったり声のトーンであったり、テキストだけのコミュニケーションでは落ちてしまう情報がたくさんある。それを軽視すると痛い目に合うというのはわかっているので、僕らはITをやっている会社だからこそ、デジタルとアナログを使い分ける会社にしよう、と言ってます。
弊社代表の座右の銘が「餅は餅屋」なんですが、「得意なことは得意な人に任せる」という考え方はITと人にも適応していて、ITがすべきことはIT、人にしかできないことは人がやる、というのを大切にしています。
対面で「体調どう?」といったコミュニケーションや、ブレストなどの企画会議だったり、対面じゃないとできないことってあるわけで。人間の温かみみたいなのが必要ないコミュニケーションはITに任せて、ハートフルな部分は人間がやる、そういう考えを持っています。
―― ちなみに先日、『予定調整bot』(自動スケジュール調整機能)をリリースされていましたね。
はい、というのもチャットツールってLINEだったりFacebookメッセンジャーだったり、いくつかあると思うんですけど、チャットワークはビジネスに特化していきたいと思っていて。
ビジネスのシーンでは "流れたら困る情報" というのが必ずあるんですよね。たとえば「報連相」と呼ばれるものは見落としてはいけないじゃないですか。だからタスク管理であったり予定調整機能であったりと、ビジネスシーンに必要な機能は今後も強化していきたいと思っています。

―― 御社では、リモートワークをどう捉えていますか?
リモートワークって適切なITツールがあればいいというわけではないんですよ。リモートワークに向いている人/向いていない人、また向いている職業/向いていない職業、向いているタイミング/向いていないタイミングがあると思っていて、僕らも慎重に進めています。
本当にデジタルとアナログの使い分けが大切で、対面でないとできないことがめちゃくちゃたくさんあるんですよね。
なので、「入社した初期は出社してね」「キックオフのタイミングは出社してね」といったハイブリッドな形にすることが大切かなと。新しくサービスをローンチするときも、最初の構想を詰めたり、企画を出したりするときは対面で、途中の実装フェーズはリモートでよく、最後の追い込みは対面の方がよかったりするので。ちょっと制限を緩めるだけで、いわゆるライフワークバランスがよくなるんです。
だから僕らはリモートワークを推奨しているのではなく、なるべくなら出社してほしいけど、リモートワークを適宜OKとするという考えです。
―― リモートワークを許す文化は、オフィスにどう影響を与えていますか?
リモートワークって、実はオフィスの環境がすごい重要で。
ひとりリモートワークの人がいたりすると、社内の人は「ビデオ繋ぐのが面倒だな」とか「なかなか繋がらないから始めちゃおうか」と、リモートワークをしている人が疎外感を感じてしまうんですよね。
そのためにも、リモートワークが当たり前のオフィス環境を整えることが大切です。僕らはいろいろな場所にスピーカー設置したり、イヤホンマイクを全員に支給したりして、環境を整えています。
その結果、僕らは会議室を使わない会議がすごく多くなりました。チャットワークのビデオ機能を使って自席からリモート会議をします。会議室のいらない会議ってすごく効率的で。会議室を使って会議をすると、移動したり会議室予約したり、5分で終わってもせっかくだから話そうか、みたいになったり(笑)。そういった無駄なコストがなくなるのは、どこでも会議ができるメリットかなと。

―― 未来の働き方はどうなるとお考えですか?
将来は、働き方の自由度が増すんじゃないかなと思ってます。
眠っている労働力ってすごく多いと思っていて。主婦の方であったり、地方にいる方であったり。「労働力が足りない」って言われているけど、そういった眠っている労働力を掘り起こさないといけない。
そのためには今までできていないことをやらないといけないんですよね。それこそリモートワークもそうですし、副業を許すこともそう。それに合わせて、いろいろな雇用形態が生まれると思ってます。
そういった未来でも、やっぱりオフィスはあった方がいい。雑談が生まれたり、対面だからこそできるコミュニケーションがたくさんあるので。だから海外の事例だとGoogleとかはオフィスに来てほしいから、ご飯をタダにしたりボーリング場つくったり、いろんな魅力的な設備が整っていて、「オフィスに来ると楽しい」という雰囲気をつくってますよね(笑)。同じように、出社するのが楽しくなるオフィスが増えるのかなと。
―― 最後に、チャットワークをどんな企業に導入してほしいですか?
僕たちは「世界の働き方を変えたい」というビジョンを持っているので、IT業界の企業だけに使ってもらうだけではなく、いろんな業界の企業にチャットワークを導入いただきたいと考えています。
そのためにもいまは使い方のサポートだったり、対面でご説明したり、体験会を開催したりとWeb上だけでないアプローチも始めていて。「今後はITが必要だ」とお考えの企業にはぜひ使っていただきたいですね。
(書き手:永田 優介)

取材を終えて
編集担当:阿久津
ChatWorkさんのサービスは私もチーム内のコミュニケーションツールとして大変お世話になっているため、今回のインタビューは個人的にはとても楽しみにしていました。
ChatWorkさんは対面での交流をとても大事にされているとお聞きしました。対面の方が良い内容の場合は直接伝えるようにしたり、リモートワークでも必ず一度は会う機会を設けていたりなど、あえてオフラインの方法もとっていると聞いてすごく温かみを感じました。
自分が普段使っているサービスの運営者のお話を聞く機会は中々無いので、今回は大変勉強になりました!貴重なお時間ありがとうございました。










