HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【トレタ】「オフィスは企業としての価値を生み出している場所」最高のプロダクトを目指すための空間設計とは──代表取締役・中村仁氏インタビュー
「食の仕事を、おもしろく」というミッションを掲げ、飲食店向け予約サービス『トレタ』を運営する株式会社トレタ。もともと飲食店を経営していたという代表取締役の中村仁氏は、オフィス設計においても「お店と同じ感覚だった」と語ります。
今回はトレタの移転遍歴から、創造性を発揮するためのオフィス設計のこだわり、そしてトレタにとってオフィスはどんな存在なのか、お話を伺いました。(公開日:2017/09/12)
創業したのは2013年7月、最初は渋谷でした。そのときはTOC第二ビルという、オンザコーナー(カフェ)の上でしたね。そして約半年後の2014年3月に目黒へ移転、さらに約半年後の2014年8月には恵比寿へ移転しました。今いる五反田のTOCビルへ移転してきたのは、2015年9月です。
好み、というのもありますが、飲食に携わるビジネスをしている以上、食と相性のいい街がいいなと思って選んでいます。
ビジネスを行う上で場所はそれなりに重要だと思っていて、我々は「東京のど真ん中のオフィス街」ではなく、「食の豊かなエリア」にオフィスを構えることを企業文化として大事にしたいなと思っていました。
ひとつ前の恵比寿のオフィスは約60坪くらいだったんですね。そこから移転するとなると、妥当に考えれば次は100〜120坪くらいのオフィスだと思うのですが、100坪を越える物件ってなかなかないんですよ。あったとしても、日本だとOAフロアで天井もがっちり作り込まれているオフィスビルばかり。スタートアップとしては違うなと。
アメリカのスタートアップって、だだっ広い倉庫を借りてオフィスにしてたりするじゃないですか。同じように、広くて内装も自由にできて、坪単価も安いところがよかったんです。だけど、そういった倉庫物件は日本だと交通の便が悪いエリアだったりして、なかなか理想の物件が見つけられず。
そんなときに、たまたまこの五反田のTOCビルの物件が出てきたんですね。しかももともと大手家電メーカーの工場だったらしく、広さも250坪近くあり、「まさに倉庫だ!」と即決しました。
快適でリラックスできる空間でしかクリエイティビティは生まれないと考えているため、快適な環境づくりにこだわっています。また私自身が過去に飲食店をやっていたこともあり、オフィスもお店の感覚で設計しました。というのも、飲食店って唯一「五感」を扱う商売だと思っていて、オフィス設計においても木のぬくもりや抜け感、また採光の良さなど五感でリラックスできる空間にしたいなと。
たとえばエレベータを出るとすぐエントランスが見えるのですが、エントランスの奥には窓があり、外の景色が見えるんです。こういった「抜け感」のあるレイアウトにこだわりました。
また「大物は天井が高いところでしか生まれない」というのを聞いたことがあったので(笑)、天井を高くしたり。そして「触ってぬくもりがある素材がいいよね」ということで、デスクはオーダーメイドで暖かみのある木を使用しています。一般的なオフィスデスクは使っていないですね。
考え方の基本として、「嘘をついちゃいけない」というのを大切にしています。毎日通うオフィスで、嘘のものに囲まれていると、考えることやつくるものが嘘になると思うんですね。
そのため高価なインテリアにする必要はありませんが、「木のように見えるもの」ではなく本物の木を、「アンティークのように見えるもの」ではなく本物のアンティークを使おう、という考え方です。見た目だけ本物に似せたような、まがいものは使いません。
まがいものに囲まれていたら、生み出すものも「これでいっか」という中途半端なものになってしまいます。そしていくら言葉で「最高のアウトプットを心がけよう」と伝えても、文化として浸透させるのは難しいこともあります。しかし本物に囲まれることで、自然と意識が高まり、本物のアウトプットが生まれてくる──そう思い、インテリアは本物にこだわっています。
社内のコミュニケーションが活性化するような設計を心がけています。たとえばカウンター。
コーヒーマシンを用意しているので、コーヒーを飲みたい人が集まり会話が生まれることはもちろん、自席よりもカウンターの方が声をかけやすかったりするので、カウンターで仕事をしているとちょっとした相談や打ち合わせが自然発生的に生まれています。居心地がいいのか、出社して1日中カウンタースペースで仕事をしているメンバーもいますね(笑)。
また、デスクは整然と並べるのではなく、ランダムに並べています。社長席もみんなと同じスペースにあり、ヒエラルキーを感じさせない、ラフなオフィスを意識していますね。
というのも、弊社がやっているのはBtoBのビジネスなので、放っておくと真面目になってしまうんですよ。そのため真面目さを崩していき、 “ラフな感じ” というのはオフィスもそうですし、企業文化としても大事にしたいなと思っています。
飲食店をやっていたときは、オフィスは売上を生み出さない、いわば “コストセンター” だと思っていました。しかしいまトレタにとってオフィスというのは “プロフィットセンター” だと思っています。
なぜなら、オフィスは企業としての価値を生み出している場所だからです。そのため、できる範囲の中でオフィスへは投資をしていくべきだと考えていますし、まだ世の中にないもの、つくったことのないものを生み出そうとしているので、クリエイティビティが生まれるオフィスというのを大事にしたいなと思います。
(text:永田優介)
編集担当:梁原
好きなお店が「トレタ」を導入されていることが多く、予約時に利用させていただいて、「使いやすい」「便利だなぁ」と感じていました。今回お訪ねして、ビル自体の雰囲気と、オフィス空間の“ギャップ”にまず圧倒されました。そして、オフィスなんだけれど、おしゃれで、カフェや素敵なレストランにいるかのような居心地の良さ。中村さんが「本物」とお話しされていましたが、まさにこの空間あってこそ、「トレタ」というプロダクトがあるんだなぁと感心しました。
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