HOME > officee magazine > ワークスタイル > 【Moff】オフィスでは仕事に集中。カフェで息抜きしてもOK。メンバーの自主性を尊重する働き方とはーー代表取締役・高萩昭範氏インタビュー
マッサージルームや美容室などを設置する企業もあれば、リモートワークを推進するがゆえにマンションの1室をオフィスとする企業と、昨今のオフィス事情は企業によって様々です。
そんな中、「オフィスは仕事をする場所である」と謳い、社内にリラクゼーション設備を設置しないこだわりを見せるのは、神保町にオフィスを構える株式会社Moff。2013年に創業し、ウェアラブル端末「Moff Band」などでIoTスタートアップの旗手として知られる同社は、オフィスをどのように活用しているのでしょうか。代表取締役である高萩昭範氏にお話を伺いました。(公開日:2017/06/13)
創業時は、渋谷にあるコワーキングスペースにいました。2名で創業したため、最初はそこで十分でした。しかし6ヵ月経って「やはり、自分たちの場所を持とう」ということで、間借りする形でいまのオフィスに移転しました。
コワーキングスペースだと、他の人たちの物音がどうしても気になるんですよね。そして使う席も打ち合わせスペースも取り合いになりがちで。やはり、「行ったら自分たちの席がある」というのは重要ですし、気兼ねなく使える打ち合わせスペースもほしいと思い、コワーキングスペースを出ることを決意しました。
また、コワーキングスペースって意外と横のつながりがなくて。一方、いまのオフィスは間借りのため、他の会社のメンバーの方々と繋がることができたのはよかったですね。
風通しの良い、開けた空間にしたいと思い、間借りの立場ですがモノを結構減らしました。本棚が窓を塞いでいたり、窓際にモノがいろいろ置いてあったり、どこか閉塞感のある雰囲気だったんです。
そういったモノをなくすことで単純にスッキリしましたし、空間全体が明るくなりましたね。そしていまはメンバーも15人まで増えたので、さらにオープンな雰囲気にしたいと思い、レイアウト変更のための図面をいままさに書いている最中です。
家庭持ちのメンバーが多いため、「家族を大事にしてください」というのをよくメンバーには伝えています。そのため、定時というのは特に設けておらず、出社時間はみんなバラバラです。また土日は会社に来なくていい、としています。ベンチャーだからといって、家族に賛同を得られないような働き方はメンバーにしてほしくないなと。
家庭でのトラブルがあるとやはり仕事にも影響してきますし、そもそも私たちは「家族のために」「自分たちの子供と親のために」という想いで創業しているため、家族を大切にした働き方を実現していきたいんですよね。
とても気に入ってますね。以前、五反田に移転しようかと考えたのですが、やはり神保町がいいなと思い、ここに留まったくらい。神保町はなぜか文化の香りが漂っていて、一方でちょっと歩くといろいろなお店があるんですよ。本の街だと思っていたんですけど、意外と画一的でない感じが好きです。
カフェも多くありますし、ランチには困りませんからね。「本当に儲かってるの!?」と思うようなお店も多く、また、絶対にしゃべってはいけないラーメン屋さんがあったり、手を震わせながらつくるラーメン屋さんがあったり。掘れば掘るほど面白さが出てくる街ですよ。
そして場所柄が怪しくない、というのは大きなポイントだなと。ベンチャー企業というのは最初、なかなか信頼がなかったりするじゃないですか。僕たちも医療機関などと取引をさせていただいてますが、神保町にあるということで「いい場所にオフィスがあるのですね」と言っていただき、信頼関係を築くひとつの要素になっていると感じています。
立地や建物の雰囲気がよければ、特にエリアへのこだわりはありません。ただ、東京ではなかなか無理があると思うのですが、理想を言うと “のんびりした環境” がいいなと思っています。
新しいことをやろうとしているベンチャー企業というのは、シリコンバレーのような環境にあるのが理想だと思うんですよね。決まったことをスパスパこなしていくのは、高層ビル群に囲まれた都会的生活が合っているのかもしれないのですが、創造的な活動をする上ではちょっとのんびりした雰囲気の方が合っているなと。
オフィスは「仕事をする場所」だと思っています。
たとえば、最近は社員のためのリラクゼーション設備のあるオフィスが増えていますが、僕たちは「リラックスするのは外でいい」と思っていて。そのため、メンバーも気づいたらオフィスにいなくて、どこかに行ってたりするんですよ。近くのカフェに行ってたり、外をプラプラ散歩していたり。
はじめは「サボるのでは?」という懸念もあったのですが、なんだかんだでみんなやるべきことをやってくれているため、気にしなくなりましたね。しかも、そういうひとりの時間のほうが、アイデアって出てきたりするじゃないですか。
長時間労働が当たり前だった時代は、仕事中にサボるしか自分の時間を持てなかったわけです。しかし、いまは長時間労働が美徳ではありませんし、「家族との時間」を大切にするためにも、オフィスは「仕事をする場所」として割り切るのがよいと考えています。
なので、僕らのオフィスは今後も卓球台とかは置くことはないかなと思います(笑)。
まずはメンバーの自主性を大切にするために、「邪魔をしない」というのを意識しています。仕事中にカフェに行ったりするのを許すのも、邪魔をしないことの1つなのかなと。そして主体的にやってくれているメンバーを、いかにサポートしていくかが大事だなと思っています。
また、ミーティングでは細かくアジェンダを設定し、議論しなくていいことはミーティングでは話しません。みんな何も決まらないミーティングが嫌いなんですよね。
お昼も昼食を取らないメンバーが多くて、みんなでお昼に食べに行くというのがなかなかなくて(笑)。しかし、メンバー全員のマインドセットの場は週次で必ず設けるなど、バラバラのように見えて、組織としての一体感を持ったチームだなと思います。
組織に関して言うと、多様性のあるチームにしていきたいと考えています。年齢、性別、国籍も様々なメンバーで構成していけたらいいなと。
そしてビジネス面においては、僕たちは「体を使って楽しく健康になってもらいたい」というビジョンのもと、子ども向けの「Moff Band」から、いまは教育、医療、介護領域にまで展開しています。2013年に創業して、ようやくデータが溜まってきたため、このデータを活用した展開を今後は注力していきたいですね。
(書き手:永田 優介)
編集担当:阿久津
近年、オフィス内にカフェやリフレッシュスペースを設け社内での様々な働き方を推奨している会社が増えている一方で、Moffさまのような「オフィスは仕事をする場所」でありそれ以外の事はオフィスの外ですれば良い、という考え方がすごく新鮮で面白いなと思いました。カフェや飲食店が多いがどこも適度な混雑状況という神保町の特徴を活かし、オフィスで働きたいときはオフィスで、気分転換したい場合は近くのカフェで働く、というようにオフィスと街をうまく活用するというのも、今後の新しい働き方の一つになるかもしれません。
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