HOME > officee magazine > エリア特集 > 横浜・みなとみらいの再開発ラッシュ。東京オリンピック直前の駆け込み竣工が続く
横浜駅前とみなとみらい地区で、大規模な再開発が進められています。東京オリンピック前に竣工する施設が多い上に、商業施設がメインということもあって、広く注目を集めているようです。
プロジェクトのポイントや、予想される今後の動向についてご紹介したいと思います。(公開日:2019/10/09)
建物の老朽化の問題から、2011年に惜しまれつつ閉館した横浜CIAL。その跡地に建設されているのが、JR横浜タワーです。新たな駅ビル誕生までかなりの時間を要していたので、横浜の人々は首を長くして待ちわびていましたが、ようやくオープン目前まで迫ってきました。開業は2020年3月頃を予定しています。
JR横浜タワー内の商業ゾーンは、新宿にもある「NEWoMan」のほか、「CIAL横浜」や「T・ジョイ横浜」などが入ります。「T・ジョイ横浜」は、多目的利用型エンタテインメント・コンプレックスで、全9ホール、約1,300名収容という規模。ライブ感が楽しめる演劇等の実演や、最新の映像・音響システムを駆使したパブリックビューイングなどのコンテンツを展開する予定だそうです。
また、少し離れた場所に併設されるJR横浜鶴屋町ビルには、駐車場施設や商業施設「CIAL横浜 ANNEX」、ホテル、フィットネス&スパが入ります。
今回の再開発では、横浜モアーズが地下通路を介して駅直結になるとのこと。地上ルートでもさほど距離があるわけではありませんが、ずいぶんとアクセスしやすくなりそうです。地下で複数の商業施設が繋がることによって、利用客の回遊性もより高まるのではないでしょうか。
横浜駅は、数十年に渡って改築工事が行われてきました。そのあまりの長さに「日本のサグラダ・ファミリア」と揶揄されたり、「横浜駅SF」という小説まで作られるほど。まだすべての工事が完了する訳ではありませんが、西口に関しては2020年で一段落といったところです。周辺環境も大きく改善されて、通行のストレスが軽減しそうですね。
一方のみなとみらい地区では、ライブ会場が3つも新設されるとのことで、エンタメ色の強い再開発ラッシュとなっています。
「果たしてそんなに需要があるのか?」という疑問が湧いてきますが、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会によれば、スタジアム・アリーナ、ホール、ライブハウス、野外などでおこなわれるライブの公演数は年々上昇傾向で、その売上額も右肩上がり。日本全体で深刻な会場不足に陥っているというのです。
2020年のオリンピックでは日本武道館や東京国際フォーラムといった会場が利用されるため、音楽イベントの会場不足はより深刻に。そこで、近隣エリアのみなとみらいで施設の建設が急ピッチで進んでいるという背景があります。
2020年春に竣工を予定しているのが、チケット販売大手のぴあが建設中の「ぴあアリーナMM」と、ゲームソフト開発大手のコーエーテクモゲームスが建設中のライブハウス「KT Zepp Yokohama」(仮称)です。
ぴあアリーナMM
KT Zepp Yokohama(仮称)
また、少し先になりますが2023年には不動産販売のケン・コーポレーションが「Kアリーナ」を建設予定。こちらは前述の2つを遥かに上回る約2万人収容という規模で、隣接のインターナショナルブランドホテルやオフィスを含めた一大ミュージック・パークを形成する、としています。
Kアリーナが建設されるのは、マリノスタウンや横浜みなとみらいスポーツパークの跡地。2019年10月現在は更地になっていますが、かなりの敷地面積です。
Kアリーナ
ライブ会場の増加に伴って必要となってくるのが、遠方からくる利用客のためのホテル施設。2019年9月には国内最大級2,311室のアパホテル&リゾート「横浜ベイタワー」が開業したほか、2020年には横浜初進出のハイアットリージェンシーや、長期滞在型サービス付きの高級ホテル「オークウッド」が開業を控えていたりと、着々と対策が進められています。
横浜みなとみらいホール(コンサートホール)や横浜スタジアム(野球場)、パシフィコ横浜(大会議場)など、既存の大型施設も多いみなとみらいエリア。新設されるライブ会場の運用状況やオリンピック後のインバウンド需要がやや心配ではありますが、再開発後に街の魅力が一段と高まることを期待したいですね。
横浜エリアは、横浜駅周辺と、みなとみらい地区(桜木町)とで街の雰囲気が大きく変わります。
横浜駅はJR・相鉄線・東横線などの各線が乗り入れているため、アクセス性が高く、店舗の出店も多いエリア。BtoCサービスを展開する企業は、みなとみらいではなく横浜駅周辺に支店や支社を出す傾向が強いです。
一方のみなとみらい周辺は、赤レンガ倉庫や山下公園などの観光スポットと、横浜ランドマークタワー・クイーンズタワーなどの高層ビルが同居し、商業・ビジネスそれぞれが調和しながら大きく発展しています。横浜新市庁舎が2020年の6月頃に完成すると、観光・行政・オフィスの「三位一体」が完成し、街の魅力をより一層高めていくでしょう。
それぞれのカラーを打ち出しながら進化を続けている、横浜とみなとみらい。東京オリンピック前の駆け込み竣工が多いようですが、その真価が問われるのはむしろ五輪後なのではないでしょうか。「施設をつくって終わり」ではなく、近隣住民・企業を巻き込みながらイベントや展示会を積極的に企画するなど、ハード・ソフト両面での街づくりが促進されることを期待したいですね。
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